司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

8月 08 2011

臨時ニュース 武富士その後④

武富士の会社更生手続の中で最も注目を浴びていた弁済率が先月発表されました。何とたったの3.3%です。かなり低いだろうと噂はされていましたが、現実に発表されると各方面で衝撃を与えているようです。(もっとも衝撃を受けたのは過払金請求者ですが)

この発表を受けて先月末頃から弁護士事務所や司法書士事務所、または個人で請求された人は個人の住所宛てに、続々と投票用紙が郵送されてきています。

この投票用紙に武富士の会社更生に対して賛成か反対か(厳密には投票用紙の記載は同意か不同意)を書いて返送することになります。そして、金額ベースで反対(不同意)が過半数になると武富士の会社更生は失敗に終わることになります。(反対した人の頭数ではないようです)

もし失敗になった場合、武富士に残された選択は破産しかなくなります。ようは武富士という会社自体が解散により消滅するということです。武富士が会社更生を申し立てたのは会社を存続させる為ですから、破産になるのは何としても避けたいでしょう。

ということで、投票用紙が送られてきてから間髪いれずに、武富士から各事務所に(恐らく個人にも)電話攻勢がかけられています。中身は、「破産になったら3.3%も受け取れなくなりますから、賛成に(同意)投票して下さい」というものです。また、投票用紙と一緒に同封されている書き方の見本にも同意の方に丸がうってあるという念の入れようです。(もっとも、この見本については弁護士有志からもクレームがついているようですが)

私の事務所にも複数の投票用紙が送られてきて、それぞれ依頼人に対し、「少しでも良いから回収したいのであれば賛成に、こんな低い金額なら武富士を懲らしめてやらなくては気が済まないという考えなら反対に、というのが投票の目安ではないでしょうか」と説明しました。

私は依頼人の回答は賛成の方が多いのではないかと予想したところ、見事に予想ははずれて何と9割以上の人達は反対と回答してきたのです。いかに武富士という会社が顧客から嫌われていたのかが、今回の投票で明らかになったような気がします。顧客との信頼関係を維持するような経営をしていたら、これだけ反対する人が多くはならなかったでしょう。

もっとも会社更生が決まるかどうかは金額の過半数だそうですから、今頃、武富士は高額の過払請求者にターゲットを絞って集中的に電話を架けていることでしょう。個人で請求している人は武富士からの電話に説得されてしまう人もいるかもしれませんので、最終的な結果に関しては未知数です。

武富士の結果は他の消費者金融も固唾を呑んで観察しているものと思われます。もし、成功した場合は、こんな低い弁済率で会社が存続できるのならと、追随する業者が出てくる可能性が高いでしょう。業者の倒産ラッシュに拍車がかかる恐れがあります。

一方、反対多数により武富士が破産に移行した場合は、他の業者も倒産手続に対して慎重になることでしょう。今後の貸金業界の動向に大きな影響を与える武富士の会社更生ですが果たしてどうなりますか、決定は秋頃の予定です。