司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

1月 16 2012

住宅ローン付き破産

4:28 PM 自己破産

住宅ローンが返せなくなってローン会社から督促が来ている、けれども給料が大幅に下がった、あるいは失業したなどの事情で今後も返せるあてが無い、そういった人は現在、増えていると思います。

このような人は、やはり自己破産を選択するのが適切だと思われますが(個人再生は安定した給料が維持されていることが条件になっていますから)、問題は同時廃止で処理できるかどうかです。

破産には同時廃止と管財事件の2種類がありますが、このうち管財事件は裁判費用が約40万円と高額です(弁護士や司法書士の報酬とは別に裁判所に支払う費用です)。提出書類の数も多く期間も長期化しますので、出来れば同時廃止で済ませたいのが破産を試みる人の素朴な感想でしょう。一方、同時廃止ならば裁判費用は通常5万円以下と格安です。

しかし同時廃止を試みる時に障害になるのが不動産です。不動産は高額の財産なので同時廃止のような簡略化された手続ではなく管財事件で処理したいというのが裁判所の本音だからです。

その際、名古屋地裁の場合、こういうケースならば不動産を持っていても特別に同時廃止にして良いという基準を発表しています。それは以下のようなものです。

固定資産税評価額を調べて(市区町村役場の税務課という部署で調べることが出来ます)、その評価額を土地ならば2倍、建物ならば1.5倍して評価額の合計を出します。評価額の合計と住宅ローンの残債務額を比較してローンの残債務額の方が上回れば、その不動産は無価値とみなして同時廃止で処理して良いということになっているのです。

現在は不動産価格は下落傾向にありますので、この条件に当てはまる人は結構いるでしょう。住宅ローンが払えなくなって破産したいけど、管財事件の費用はとても払えないと考えている人は検討してみると良いでしょう。