4月 17 2012
過払金の時効
このブログでも何度か取り上げていますが、過払金返還請求には時効があります。具体的には完済してから10年経過すると請求が法的に認められなくなってしまいます。
それなら、現在、残高がある状態で長期間の取引がある場合は、時効の問題は生じないだろうと思ったら、大間違いなのです。
例えば、以下のような取引の場合(決して、珍しくありません)、残高のある長期間の取引でも時効の問題が生じてしまいます。
では、具体的に紹介してみましょう。
今は平成24年4月ですから、平成4年から平成14年3月まで取引をして一旦、完済しました。完済は店頭に出向いて行い、その時、契約書も返還されて、カードも店に返却したとします。
その後、5年ほど経った平成19年に再び契約して新たにカードも発行して再び取引を始めました。そして、現在、取引が継続していて残高は約50万円あります。この人が司法書士事務所に相談に来たとします。
この場合、本人の意識としては全体の取引期間は10年以上なので、きっと過払いになっているに違いないと思っていることでしょう。ところが、過払金の時効が大いに影響してしまうのです。
まず、契約書の返還やカードの返却、取引を止めていた期間の長さから言って、前半の取引と後半の取引は分断されていると判断される可能性が極めて高いでしょう。
そうなると、前半の取引の完済は平成14年3月ですから、相談に来た時には1ヵ月前に時効が完成していて(時効完成は平成24年3月です)、本人にとって長期間の取引だったはずの前半部分の取引は、丸ごと時効にかかって請求できなくなってしまいます。
すると残るのは、後半部分の取引だけになり、後半の取引期間は5年しかありませんから、残高が残ってしまう可能性が非常に高くなります。
結果として、このケースの場合、あと1ヶ月、早く相談に来ていたら過払金が請求できたのに、わずか1か月の差で過払金どころか残高を支払わなければならなくなった、などということが起こる訳です。(現実に似たような事例で、相談があります。もちろん、ぎりぎり間に合ってセーフだった人の相談もあります)
従って、取引の途中で完済して、その後、しばらく取引の無い空白期間のある人は、完済した時期から10年が経過していないか良く思い出した方が良いでしょう。
ぎりぎりの時期で微妙だという人は、一度、業者に連絡して自分の取引履歴を請求して取引を確認してみることを、おすすめします。(取引履歴の請求は業者の法的義務になっていますので、基本的に業者は断ることが出来ません。請求にあたって理由も不要とされていますから、聞かれても「確認したいから」で問題ありません)
それで、もし、途中完済の時期から10年がせまっていたら、急いで専門家に相談した方が良いでしょう。









