司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

12月 27 2007

今年の総括

 いよいよ今年も終わりに近づいてきました。この一年を振り返ってみたいと思います。

 何と言っても大きな出来事は昨年の年末に改正貸金業法が公布されて、今年の初めから部分的に施行されたことでしょう。(改正貸金業法は5段階に分けて施行されることになっています。今年1年で施行されたのは3段階までで、利率の引下げは施行されていません) 

 この影響で主要な貸金業者は法律施行の前から利率を下げてきていました。利率引き下げについていけなかった業者の中から破綻するところが出てきました。最も話題をさらったのが、東証一部上場の消費者金融クレディアでしょう。今年下半期の話題はクレディア倒産につきると言っても過言ではありません。

 改正貸金業法の影響もあって、マスコミでもグレーゾーン金利のことが連日報道された結果、一般の人にも「払いすぎの利息」のことが広く知られるようになってきました。これにより、今年に入って急激に増加してきたのが過払金の返還請求です。

 今や5年以上取引があれば、自分は過払いではないかと考える人は決してめずらしくありません。今まで一部の人だけが専門家に相談に来て発覚していた過払金が、一斉に多勢の人が請求し始めたのです。(クレディアの破綻も結局、これが原因です)

 過払金を沢山の人が自覚して返還請求できるようになったことは歓迎すべきことです。しかし、一方で問題も起こり始めていました。中小業者で過払金が払えないところが出てきたのです。支払いは半年遅れになるとか、支払いが1年以上の分割払いになるとか、そもそも会社に金が無いので払えないと開きなおるところもあります。

 このような状況のなかで、貸金業協会に加盟する業者の中で総量規制が始まります。これは利率引き下げと同じように、法律施行前に主要な業者の間で先に規制を始めてしまおうという試みです。

 すでに大手の業者では貸し渋りが始まっていますが、より法律に近い形で、審査の際に源泉徴収票や給与明細を確認して、一定額以上は貸し出しをしないという制度にするのです。より厳しい引き締めが行われるはずなので、かなりの影響が予想されます。

 今年の大きな変化を書いてみましが、これほど変化の激しかった年は今までに無かったと思います。改正貸金業法は、まだ一部の施行に留まっており、完全に施行されるのはまだ先になります。来年以降も変化の激しい年になるでしょう。そういった情報を、いち早く、このジャーナルで伝えていきたいと思っています。