8月 22 2012
残債務の請求に関する時効①
最近、時効の相談をよく受けます。以前は過払金の消滅時効に関する相談が多かったのですが、近頃は過払金の相談自体が減少していますので、変わって残債務の請求に関する時効の相談が増えています。
消費者金融・クレジット会社の残債務の請求に関する消滅時効は5年です。ちなみに個人と個人の貸金請求の場合は10年になりますので、間違えないようにして下さい。
では何でもかんでも5年経ったら支払わなくて良いのかというと、いくつか条件があります。一つは、5年の途中で、貸金業者から裁判による請求を起こされていないということです。
裁判による請求とは、代表的には貸金訴訟ですが、貸金業者が時効を止める為によく使うのが支払督促と呼ばれるものです。支払督促とは法廷には呼び出されることはありませんが、届いたまま放っておくと訴訟の判決と同じ効力をもってしまうという裁判上の手続です。封筒には裁判所から送られてきたことが、はっきりと書かれていますので、とりあえず裁判所から郵便物が届いたら放置しておくのは、まずい方法です。
支払督促は通常の訴訟よりも費用が安く済むことに加え、法廷に出頭する必要も無いので、貸金業者が時効を止める手段としては非常によく利用されます。そして、ここが肝心ですが、通常の訴訟で判決出たり、支払督促で仮執行宣言が付いたり(届いたまま放っておくとこうなります)すると、何と5年だった時効期間が10年に延長されてしまいます。しかも時効の起算点(スタートする時期のこと)は裁判が確定した時から新たにスタートします。
貸金業者の残債務の請求は契約書などの証拠も揃っていますので、裁判に訴えられたら通常は負けるでしょう(時期を引き延ばすことは出来ますが)。それなら、業者は時効になるのを放置しておくはずがなく、必ず裁判に訴えてくるのではないかと思うかもしれませんが、意外とそうとも限りません。
どういう基準で業者が裁判を起こしているのかは、はっきりとは分かりません。しかし、裁判を起こされていた場合は例え自分が法廷に出た記憶が無くても裁判が終わっている可能性もありますので注意しましょう。









