司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

1月 30 2008

特定調停

 最近、特定調停が注目を浴びているようです。

近頃は裁判所に行っても明らかに素人と思われる人が多くなったように感じます。インターネットや本などで情報を入手しやすくなったのが原因でしょう。自分で何とかしようという人が増えているようです。

特定調停は、よく出来た制度で、費用が安いことや裁判所が間に入ることで強制力が得られるなど、評価できる点は多くあります。市販の特定調停をすすめている本は、このメリットを強調しています。

しかし同時にマイナス面もありますので、その点も充分に分った上で選択しないと後で後悔することになってしまいます。

では特定調停のマイナス面とは何でしょうか。以下に説明しましょう。

第一に、業者に債務名義を取られてしまうということが挙げられます。「債務名義」とは「裁判をしなくても強制執行が出来る権利を保証してくれる書面」と言えば分りやすいでしょうか。特定調停の後、支払いが滞った場合は非常に危険な状態になることを理解しておく必要があります。

第二に、手続中は過払金が回収出来ないという点です。これを「手続が終わった後で回収できるから問題ない」という人がいますが、はたしてそうでしょうか。手続中に回収できないということは、過払金を使って残った債務を払うことが出来ないことになります。これは大きなマイナスだと思います。特定調停では残った債務は分割払いにするより仕方がありません。

以上が、おおまかな注意すべき点です。よく理解した上で納得して利用する分には、良い部分もありますから、助けになることも多いでしょう。

ただし、あまり調停委員任せにしないことです。自分でも、ある程度は勉強して行かないと、不利なことをされていても気付かない可能性があります。本人でやる手続ですから、何事も自己責任になります。その点は自覚を持ってやりましょう。