6月 28 2013
日常家事債務
日常家事債務とは法律用語です。一般の人は聞きなれない言葉かもしれませんが、日常生活で割と起こりうる場面で重要になってくることなので、知っておいた方が良いと思います。
例えば、こんな例があります。
父親と子供が一緒に英会話教室に申し込みに来ていて、申込書には父親の名前が書かれている。ところが、しばらく経つと未払いが発生して、督促をすると父親はどこかに行方不明になってしまい電話に出るのは母親だけ。そこで母親に請求すると、「私は申し込んだ覚えは無い。だから支払う必要は無いでしょう」と言われ、全く回収できない。
このケースでは、本当に母親には支払義務は無いのかが問題になります。
契約自体は父親と教室の間で結ばれているのは明らかです。よって、契約の当事者は教室と父親です。通常は、契約の当事者以外の人には支払義務は発生しません。例えば、夫が消費者金融からお金を借りた場合、保証人になっていない限り妻には返済義務はありません。
しかし、法律には、この例外として「日常家事債務」というものを規定しています。
日常家事債務とは、日常的に発生する債務に関しては、例え夫婦の一方が契約したものであっても、夫婦連帯して債務を負担するという規定です。
ようするに、夫が契約した日常家事債務に当たる支払いは、妻にも支払義務が生じるということになります。(もちろん、逆もまた、しかりです)
では、何が日常家事債務に当たるのでしょうか。
例えば、光熱費、日用品などの生活必需品、医療費、教育費などは典型的なものと言われています。他にも、夫婦の収入レベルに応じて、この範囲は拡大したり縮小したりします。(最終的には裁判所の判断になります)
すると、英会話教室の授業料などは教育費として判断される可能性が高そうです。よって、このケースの場合、母親には支払義務があると考えて、法的な請求をしていく余地は充分にあると思います。









