司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

10月 02 2013

債務整理における家族の財産

債務整理、特に自己破産や個人再生を検討されている相談者が、よく勘違いしていることに、「家族の財産は、どうなるのか」ということです。

相談していると、家族の収入を必要以上に低くく見せようとしたり、家族の車や不動産について聞くと、口ごもったりする場合が珍しくありません。これは、「家族の収入や財産について話したら、それが影響を受けるんじゃないか」と心配されているからだと思いますが、実はそのような心配はいりません。

債務整理において、「保証人になっていない限り」家族の収入や財産が影響を受けることはないのです。よくドラマや映画などで貸金業者が怒鳴り込んできて、家族に支払いを強要している場面が出てきますが、あれは法律的には完全に違法行為になります。保証人ではない家族には支払義務は全くないのです。

しかし、ドラマや映画などの影響は思ったよりも大きくて、例えば破産を考えている人は、家族の財産も全部処分しなければならないと本気で思っていたりしますので、まずは、「そんなことはない」ということを説明するのに結構な時間がかかったりします。

だからと言って、「じゃあ、事前に家族に財産を移転した後に破産すればいいんじゃないか」と考える人がいるかもしれませんが、残念ながら、そううまくはいきません。

裁判所もその辺は分かっていますので、直前の財産移転には神経を尖らせてきます。裁判所の命令で、「移転した財産を元に戻すように」指示されることもあります。世の中、上手い話はそうないということです。

まあ、1年以上前に移転されている場合は、よほど大きな金額でなければ裁判所もうるさくはないと思いますが、移転日が申立日に近ければ近いほど、相当厳しくチェックされることは覚悟しておいた方が良いでしょう。

一方で、最初から家族のものだと明らかな財産については、問題なく債務整理の範囲外になります。そのことで迷っている人がいたら、ご心配は無用ですから、専門家に相談してみましょう。