司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

7月 11 2008

シリーズ 個人再生④

5:35 PM 個人再生

 本日は清算価値の続きです。私の地元である名古屋地裁の場合を例にして説明します。

 まず自動車について検討します。地方だと自動車が無くては生活できないし仕事にも行けないという場合も結構あるので、なかなか悩ましい問題なのです。清算価値としては不動産の次に裁判所が注目する部分でもあります。

自動車もローンを組んでいる場合が多いので、このローンが問題になります。はっきり言うとローンが残っている場合、自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。住宅ローンのような特則は認められていないので、こればかりはどうしようもありません。自営業の方で仕事で使っている場合に特例が認められる時がありますが、必ずという訳ではありません。引き揚げられた後、ローンの残債から売却価格を引いた金額がローン会社の債権となり、個人再生の債権者の一つとなります。(自動車ローンの場合、車の残存価値がローンの残債を上回ることがほとんどないので、だいたい上記のような流れになります)

ローンが無い場合の自動車は、時価で清算価値に加えられます。民間業者で見積書を取って添付します。ただし、国産車の場合は特例があって、登録から5年以上経過していれば無価値とされ、見積書の提出は不要です。(軽自動車の場合は4年で無価値となります)従って、ローン会社に車が引き揚げられてしまった人は、生活にどうしても車が必要な場合は、5年以上の国産中古車を購入して頂くと良いかもしれません。(だからと言って高価な中古車を購入するのは、裁判所も黙っていないと思いますので注意して下さい。あくまで安い中古車を購入されることをおすすめします)

 次に証券について検討します。これは、一部上場企業などに勤めている人に多いのですが、会社の持ち株が社員に割り当てられている場合が珍しくないのです。積立と同じように本人が気付いていないこともありますが、やはり給料明細に表れることが多いです。この場合、申立直前の株価を基準にして清算価値を算出することになります。

 次に賃貸住宅の場合の敷金について検討します。破産の場合、敷金は部屋を出て行かない限り返還されない金銭と言うことで財産には含まれませんが、個人再生の場合は敷金も清算価値に含みます。注意すべきポイントです。

 最後に退職金について検討します。退職金は「申立直前に自己都合で退職した場合」を想定して換算します。しかし、全額が対象になる訳ではありません。8分の1が清算価値になります。

 以上が裁判所が注目する主な清算価値になります。気になる人は自分で計算してみましょう。