6月 08 2015
残業代を取り返そう
未払い残業代を取り返そうとする時に、ついためらってしまいがちなのが、証拠の有無です。確かにタイムカードなどの動かぬ証拠がそろっていれば、その後の展開が楽になることは確かです。しかし、全ての人が、そんな有利な状況で請求が出来る訳ではありません。それでも、取り返すことに成功している事例はあります。ここで、そんな事例を紹介しましょう。
Aさんは、いわゆるブラック企業に勤めていて、タイムカードはあるものの、会社からの圧力で打刻時刻を強制されていました。実際に出社した時刻よりも遅い時刻で打刻させられ、また、退社に関しても、実際よりも早い時刻に打刻させられていたのです。これではタイムカードは証拠にはなりません。むしろ、会社を有利にする証拠になってしまいます。
この状況でAさんは工夫しました。スマホのアプリを使って、自分が出社した時刻と退社した時刻を記録していくことにしたのです。簡単なボタン操作で出来るので、ほぼ毎日記録し続けました。私の事務所に来た時には、残業代を請求できる過去2年間を、はるかに超える期間、記録は蓄積していました。
実際に、このスマホアプリによる記録を使って請求したところ、見事、取り返すのに成功したのです。(裁判にはなりました)
毎日こまめに記録をし続けると証拠の信憑性が高まります。裁判所も証拠として評価してくれるようになります。今回は、たまたまスマホのアプリでしたが、別に紙の記録でも、こまめにつけていれば立派な証拠になります。実際に、メモ帳に毎日記録していたもので成功したケースもあるのです。
タイムカードはあるに越したことはありませんが、今回のように会社がタイムカードをコントロールすることで、全く証拠の価値が無い場合もあります。だからタイムカードが用意できなくてもあきらめるのは早いと思います。何らかの方法で、出社と退社の時刻を記録していれば、勝てる可能性は充分にあります。









