司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

11月 07 2016

裁判所から届いた書類は放置してはいけません  時効(時効援用8)

4:28 PM 時効

最近、時効援用の相談で増えているのが、せっかく時効が成立していたにもかかわらず、直近の裁判所から届いた書類を放置してしまった為に、時効援用が出来なくなってしまったという、非常にもったいない相談です。

場合によっては、ゼロになったはずの借金が、放置してしまった結果、100万円以上の支払いをするはめになることも珍しくありません。このようなケースに当たると、私も、やるせない気持ちになります。「もう少し早く電話をかけてくれれば、借金がゼロになったのに」、という思いです。

このようなことが起こる原因の一つに、「知恵袋」や「質問箱」などに、いい加減な回答をしている人がたまにいることです。

例えば、「〇〇裁判所から支払督促という書類が届きましたが、請求している業者に見覚えがありません。どうしたら良いでしょうか」というような質問に対して、堂々と「業者に見覚えが無いなら架空請求です。放っておきましょう」などという回答をしている人がいるのですが、これは大きな間違いです。

時効にかかっているような請求の場合、多くのケースで債権譲渡が行われていますので、最初に借りた業者とは違う名称の業者から請求を受けることは良くあります。従って、見覚えの無い業者であっても架空請求ではないケースも多いのです。(そもそも架空請求だったとしても、裁判をされたら放っておいてはいけません)

私は、消滅時効にかかっている債権の請求は、違法ではないが不当だと考えていて、このような請求を不当請求と呼んでいます。しかし、裁判を起こされて放置してしまったら、不当請求が正当な請求になってしまうのです。これは何とももったいないことだと思います。まさに業者側の思うつぼなのです。

最近は、分からないことは、まず「知恵袋」や「質問箱」などにあげて回答を見る習慣が定着していますが、回答している人は専門家とは限りません。特に法律関係では、大きな間違いが目立ちますので、疑問に思ったら専門家に相談することをおすすめします。