司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

5月 01 2009

シリーズ 自己破産③ 破産にまつわる間違った噂

11:43 AM 自己破産

 今回は、一般に浸透している間違った噂についてです。

 第一回でも簡単に取り上げましたが、破産には間違った噂が非常に多く、しかも結構、信じられているので影響力を持っています。以下、順番に検証していきましょう。

噂① 「戸籍に記載される」 

 これは破産に関する噂でもトップクラスに広まっているようで、相談者の中でも信じている人が非常に多いです。結論を言えば、戸籍に記載されることはありません。もちろん住民票に記載されることもありません。

噂② 「選挙権が制限される」

 戸籍ほどではありませんが、たまに気にされる方がいます。そんなに選挙に熱心に行くのかなと不思議な感じがしますが、地方の人だと頼まれて断れないケースも多いのかもしれません。これについても、選挙権に影響は全くありませんので、ご心配なく。

噂③ 「賃貸住宅を追い出される」

 これに関しては、根本的には間違っていますが、間接的に影響が出る場合があります。まず、手渡しや銀行振込、引落しなどで家賃を支払っている方は影響ありません。金融の事故情報を不動産屋が見ることは出来ませんから。しかし、不動産屋によってはクレジットカードで家賃を支払わせるところがあり、これについては影響が出る場合があります。これは破産をするとクレジットカードが使えなくなる可能性があるからです。こういう場合は、現金払いや銀行振込に変更が可能かどうか事前に聞いておいた方が良いでしょう。

噂④ 「家族全員がブラックリストになる」

 これは全くのウソです。ブラックリストに載るのは本人だけです。しかし、金融機関の中には、同居の家族を含めて審査をする業者もあります。例えば、夫が破産して、妻がローンを申し込んだ場合、妻本人が審査をクリアしたとしても、業者が夫まで審査の対象を広げた場合、審査が通らない可能性があるということです。これについては各業者によって対応が違いますので、通るかどうかは運ということになります。

噂⑤ 「ブラックリストは一生、消えない」

 これも、たまに信じていて怖がっている人がいますが、全くのウソです。現状では、長くて7~8年だと言われています。それにブラックリストに載っていても途中で収入が好転した為に、クレジットが組めるようになったという人もいます。あくまで状況次第、業者次第ということでしょうか。

噂⑥ 「手持ちの財産は全て没収される」

 これは結構、強烈な印象で信じられている場合があります。よく、ドラマや漫画などで、家の中の家具全部に片っ端から赤紙を貼っていくシーンがあります。恐らく、若い頃に見た、こういうシーンが記憶されていて、噂を信じてしまうのでしょう。しかし、ご心配なく、破産法は鬼ではありません。生活必需品は残してくれるように法律で決まっています。実際には普通の生活をしている人なら、家具や電化製品で取られるものは、ほとんどありません。

噂⑦ 「今、勤めている会社を辞めなくてはならない」

 これも、ほとんどの場合、間違っています。破産法で規定されている一部の職業、例えば、警備、保険外交員、あと資格に基づいて行う仕事(弁護士、司法書士、税理士、公認会計士など)などに関しては職業制限がありますので、一定期間、出来なくなる場合があります。あと、金融機関は自社の社員がブラックリストになっていることが判明すると退職を求められる可能性が高いでしょう。しかし、これらに当てはまらない大半の職業に関しては、全く問題なく、皆さん勤めています。

 以上、代表的な間違った噂に関して検証してみました。破産は思ったほど怖くないと思って頂けたのではないでしょうか。これらの噂に惑わされることなく、適切な決断をして頂きたいと思います。

 では次回は「破産を決意した時に必要なもの」について話しましょう。