司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

6月 15 2009

シリーズ 自己破産⑧ 債務増加の経緯

4:42 PM 自己破産

 さて、今回は自己破産の提出書類の中で最も裁判所が注目すると言われている「債務増加の経緯」についてです。

 「債務増加の経緯」とは、どういう書類かと言うと、どのように借金が膨らんでいったのかを、日時を示しながら、なるべく詳しく説明していく作文です。債務者にとっては、自分の借金の歴史を振り返ることにもなります。

大抵の場合、現在の借金を返済することに集中している為に、何故、自分の借金が、ここまで大きくなってしまったのかを忘れてしまっている人も少なくありません。「債務増加の経緯」を書くことによって、改めて自分を見つめ直す良い機会になったと言う人が多いのも事実です。

 また、裁判所も非常に重要視している書類で、いい加減に少ない分量しか書かれていない場合は、書き直しを命じられる時もあります。逆に非常に詳しく日時も正確に書かれていると裁判所の印象もグッと上がって、破産の審査が順調に進む傾向があります。

何故、裁判所が重視するのかと言えば、裁判所は破産において、やはり債務者に反省を求めているからだと思います。借金を法的にチャラにする訳ですから、少しは反省してもらわなければ困るというのが裁判所の本音でしょう。

「債務増加の経緯」を書くことによって、債務者に借金について、じっくりと振り返ってもらい、どういう行動がいけなかったのかを考える、きっかけにしてもらおうというのが狙いだと思います。

 具体的な書き方としては時系列を、はっきりさせてから書き始めると良いものが書けることが多いようです。

最初に、借金が増える、きっかけになったことを、まずは片っ端から書き出して、その一つ一つの事柄に対して日時を書いていきます。それが出来たら、最後に日時の順番に事柄を並べ替えれば時系列表が完成します。あとは、もう一度、時系列表を最初から読み返して矛盾したところが無いかを探します(記憶とはあいまいなものなので、大体いくつかは矛盾点が出てくるものです)。最後に記憶を確かめながら、矛盾点を直していきます。矛盾の無い時系列表が出来たら後は、それを見ながら文章にしていけば良いのです。

 文章を書きなれていない人には大変な作業かもしれませんが、矛盾点の洗い出しには司法書士も参加してアドバイスできますし、何と言っても裁判所が注目する書類ですから、頑張って頂くしかありません。

 では、次回は「破産申立その後」と題して、申立の後の流れについて説明します。