司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 02 2009

シリーズ 過払金⑤ 取引の分断(3)

4:05 PM 過払金請求

 今回は、取引の分断について判断するポイントは何かを説明します。

 この問題について考える時に最も影響を与えている判決があります。それは最高裁平成20年1月18日判決です。現状では、全国の裁判所が「分断か、連続した取引か」を判断する際に、この最高裁判決を参考にしていると思われます。

では、この最高裁判決は何と言っているかというと、取引の連続性を判断する際に7つのポイントをあげています。このポイントについて検証してみましょう。話を分かりやすくする為に、途中の空白は1回のみで、前半の取引を第一取引、後半の取引を第二取引として、次からの説明を読んで下さい。

1 第一取引の期間の長さ

2 第一取引を完済してから、第二取引を再び始めるまでの期間の長さ

3 第一取引の契約書を返還されたかどうか

4 第一取引がカードを使用した取引だった場合、第二取引が始まる前にカードの失効手続があったかどうか(失効とはカードを使えない状態にすることです)

5 第一取引を完済してから第二取引が始まるまでの間の、貸主と借主の接触状況(例えば、業者が再び借りるように何度も勧誘したかどうかです)

6 第二取引が契約された時の事情(例えば、勧誘されて契約したのか、あるいは、もう借りるつもりが無かった借主が急に、お金に困って借りに来たのかなどです)

7 第一取引と第二取引を比較して契約内容に違いがあるか(最高裁は特に利率をポイントにあげています)

以上が最高裁の取り上げた7つのポイントです。もちろん、これ以外にも判断材料はあると思いますが、何しろ最高裁が判決で書いているものなので、他の材料よりも裁判官が重くみる傾向があるのは間違いありません。従って、過払金を請求する側としては、いかに、このポイントを有利に主張していくかを検討することになります。

 では次回は、ポイントごとに、どういう場合に有利になるかを説明します。