司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

債務整理一般

10月 17 2008

臨時ニュース 4大消費者金融の協定

 本日は、また興味深いニュースがありましたので、臨時ニュースとして取り上げます。

 4大消費者金融(武富士・アコム・プロミス・アイフル)は今まで、それぞれ独自路線を歩んでおり、どちらかと言えばライバルであり、協力して何かをやると言うことはありませんでした。ところが、最近の貸金業界に対する逆風に耐えかねたのか、ここに来て一部、協力する動きが出てきたようです。

 具体的には、過払金返還請求の裁判において、重要論点に関しては簡単に妥協せず、徹底的に争っていこうという協定を組んだと噂されています。

その内容とは、①「途中空白期間がある取引の場合には、出来る限り分断の計算を主張する」、②「10年以上前から過払金が発生している場合は、出来る限り消滅時効の主張をする」、③「各地方ごとに担当弁護士を選任して、弁護士を使って徹底的に争わせる」というものです。

?については、全国で弁護士を探すのは、そう簡単には達成できないとは思いますが、見つかった地域から優先的に進めていく方針のようです。(今、貸金業者側についてくれる弁護士は、なかなか見つからないようですから)

 いずれにしても、4大消費者金融の過払金返還請求に関するガードが今後、固くなってくるのは覚悟しておいた方が良さそうです。

 

 

 

 

10月 08 2008

臨時ニュース 三和ファイナンス破産申立 その後

 三和ファイナンスの破産申立の件で、新しい情報が入りましたので、臨時ニュースとして取り上げます。

 今回の破産は債権者破産と言って、過払金請求をしていた元債務者が弁護士に依頼して申し立てたものです。従って、三和が承知していた訳ではないので、何とか破産を回避しようと懸命に動いたらしいのです。

その結果、開始決定が出る直前に三和を救済しようという会社が現れました。「かざかファイナンス」というクレディアの救済にも一役買った会社です。こんな、つぶれかかった消費者金融ばかり救済して何のメリットがあるのかと思いますが、かざかファイナンスは破産を申し立てた過払金請求者に過払金を順次支払っているそうです。過払金が支払われたということになると、破産の原因が無くなりますので、裁判所も破産開始決定を出すのを中断したようです。

 その後、判決が出ても支払われていないケースには、かざかファイナンスが資金を提供して順次支払っていくと噂されています。

これに対しては、確実に実行されるかどうかは不透明な段階です。しかし、実行されなければ、弁護団は第2・第3の破産申立も視野に入れていると言われていますので、本当に三和を立ち直らせる為には実行せざるを得ないように思います。もっとも、かざかファイナンスに、そこまでの資金力があるのかどうかが鍵になりますが。

 いずれにしても、三和ファイナンスの破産に関しては、新しい展開となりました。今後の成り行きを見守りましょう。

9月 12 2008

臨時ニュース 三和ファイナンス破産申立

 本日2件目のブログになりますが、重要なニュースが飛び込んできましたので、お伝えします。

 かねてから危険な噂のあった三和ファイナンスが、本日12日に、全国の過払金債権者600人から破産を申し立てられました。いわゆる債権者破産です。

破産には債務者(この場合は三和ファイナンス)が申し立てる自己破産と、債権者(この場合は過払金請求者)が申し立てる債権者破産の2種類があります。

過払金返還請求の判決を取っても支払わない三和ファイナンスに対して、全国の過払金請求者が怒りの声を上げ、その声を吸い上げた対策弁護団(団長、宇都宮健児弁護士)が東京地裁に破産を申し立てた模様です。

私がつかんだ情報によると、申し立てたのは約600人で、債権額は約3億2000万円だそうです。

 しばらくしたら、より詳しい情報も伝わってくるでしょう。三和ファイナンスに過払金請求権を持つ全国の債権者が配当に参加するように、呼びかけも行われるのではないかと思われます。ここしばらくは注意する必要がありそうです。

6月 06 2008

シリーズ 特定調停⑤

 特定調停シリーズの最後になります。今回のテーマは「2回目以降の期日」です。

 第1回の期日が無事に切り抜けられたら、いよいよ業者との調停になります。しかし、あまり怖がる必要はありません。前回も話したとおり、調停で一番の難関は1回目の調停委員との面談ですから、これが通過できたら、2回目以降はスムーズに運ぶことがほとんどです。

 業者との調停では、建前は業者と申立人と調停委員の3者面談ということになっていますが、現実には9割がたの業者は裁判所に出てきません。では、どうやって進めるのかと言うと、調停室には電話が備え付けてあって、調停委員が申立人の目の前で、業者に電話をかけてくれます。後は調停委員に任せておけば、1回目の期日で確認した申立人の支払能力に合わせたプランで、分割払いの調停をまとめてくれます。(まともな調停委員に当たれば、このように進むはずです)

 ごくたまに調停に出てくる業者もいます。出てきたからと言って、調停の進み方に違いはありません。調停委員がまともであれば、業者と交渉して分割払いのプランをまとめてくれるでしょう。

 非常にまれですが、一部の大変わがままな業者が調停のルールに従うことを拒否する場合があります。調停は、あくまで話し合いが前提なので、強硬に拒否されると不成立となって、その業者に関しては元の状態に戻ってしまいます。

 こういう業者がいる場合、「17条決定」と言う方法で、裁判所の判断で調停の条件を決めてしまうことも出来ますが、業者が異議を出してきた場合は「17条決定」の効力も無くなってしまいます。

 しかし、実際にそのような場面に出くわしたら、「17条決定」を出してもらうように調停委員を説得しましょう。いざ、「17条決定」が出されると、異議を出さずに決定に従う業者も少なからずいるからです。最初からあきらめてはいけません。可能性がある限り、「17条決定」は出してもらいましょう。

 まあ、このような悪質な業者はごく一部です。大半の業者は調停のルールには従いますので、あまり心配しない方が良いでしょう。ただ、不動産担保を取られているような場合は、普段はルールに従う業者でも不動産担保を盾にして調停を蹴ってくることが多いので、気をつけましょう。

 最後に、もし調停の最中に過払いが発生していることが発覚した場合は、必ず調停調書(17条決定の場合は「調停に代わる決定書」)には、「債務無し」と記載してもらいましょう。

 この場合、あまり詳しくない調停委員に当たると「債権債務無し」と記載されるケースがあります。こう書かれてしまうと、後で過払請求をすることが出来なくなってしまいます。(過払請求権は債権になるので、債権が無いと書かれると過払いを放棄したとみなされてしまうのです) 後で気付いて泣かない為にも注意が必要です。

5月 30 2008

シリーズ 特定調停④

 今回のテーマは「第1回期日」です。いよいよ、裁判所に行くことになります。どのように手続きがすすんでいくかを、お話ししましょう。

申立がすんで、しばらくしたら裁判所から呼出状が届きます。1回目の期日が決まるわけです。では、1回目の期日では何が行われるのでしょう。

実は1回目の期日では業者は関係ありません。調停委員と申立人(債務者のことです)の間で話し合いが行われます。調停委員は名古屋だと通常、二人つきます。弁護士や役所を退官した人などが多いですが、困ったことに債務整理に詳しくない人が選ばれている場合があります。そういう調停委員に当たってしまったら、とにかく不当な処理をされないように申立人自身が注意する必要があります。

一回目の期日の一番重要なテーマは、「支払能力の有無」です。調停委員の質問も、このテーマに集中します。特定調停は圧縮した債務を3年間で支払っていく手続ですから、申立人の家計に3年間で払っていけるだけの毎月の余裕資金が出ているかがポイントになります。

意外に知られていないのですが、実は特定調停で最大の関門は第1回期日です。ここで、「あなたは特定調停で支払っていくのは無理」と判断されて調停が終了してしまう人が結構いるのです。あるいはもっとストレートに、「あなたは破産するべきです。専門家の事務所に行きなさい」と言われてしまう人もいます。全ては支払能力が無いと判断された結果です。

この判断が適切な場合もあるので、一概に厳しすぎるとは言えないのですが、先ほども挙げた債務整理に詳しくない調停委員にあたった場合、不適切な判断になるケースがあります。例えば典型的なのが、長期間の取引があるのに申立書に記載された残債務額で支払能力を判断してしまうことがあります。本来あってはいけないことなのですが、実際こういうトラブルは全国で起こっているようです。

従って、申立人としては、全ての業者の債務が利息制限法に引き直されて計算されているかどうかを確認する必要があります。期日までに取引履歴が裁判所に送られている場合が多いので、期日の直前に取引履歴の「謄写請求」を裁判所に対してすれば、取引履歴のコピーを持参して期日に臨むことが出来ます。期日になっても取引履歴が裁判所に送られていない時は、調停委員に対して取引履歴の請求を強く頼みましょう。取引履歴が無ければ正確な負債額は分からない訳ですから、正確な支払能力の判断も当然出来ないはずです。

このような関門をくぐり抜けて、第2回の期日が決定したら、特定調停の80%は成功したと言って良いでしょう。実は業者との交渉が始まる2回目の期日の方がスムーズに進むことが多いのです。

特定調停の最大の関門は、第1回期日の支払能力の判断である。今回は、これを覚えて頂いて、次回は2回目の期日について説明しましょう。

5月 20 2008

シリーズ 特定調停③

 3回目のテーマは申立の方法です。

裁判所には初めて行く人がほとんどでしょうから、最初は不安でしょう。しかし、特定調停は「素人が申し立てる」ことを前提にした制度なので、いろいろと便宜が図られています。

例えば、私の良く行く簡易裁判所では、特定調停の申立書は鉛筆書きでも良いことになっています。これは素人が申立書を書くと書き直す場合が多いからです。全ての裁判所に適用されているかどうかは不明ですが、特定調停に関しては、このように素人のことを考えた取り扱いがなされている場合が多いのです。

申立用紙は裁判所に置かれています。用紙の形式は裁判所によって若干異なるようです。ここでは、名古屋を例にして説明しましょう。

だいたい裁判所の様式に沿って書いていけばよいのですが、いくつか注意点があります。

まず、申立書は業者1社につき1枚必要です。業者ごとに事件番号がつき、それぞれ別の事件として扱われるからです。

次に、権利関係者一覧表に業者をまとめて書くのですが、この時、調停を行う業者と調停を行わない業者を分けて書くことが認められています。特定調停のメリットの一つですね。

あとは申立人の家計の状況を細かく書く欄が設けられていますから、前もって自分の手取り収入と家計の支出の状況を把握しておく必要があるでしょう。これが後にとても重要な資料になります。

窓口に持って行くと担当官がチェックして多くの場合、間違いを指摘されて一部書き直しを命じられます。この時、鉛筆書きが許されている裁判所だと消して書き直せるので、非常に便利です。

書き直しがOKならば、申立が受理されて事件番号が業者ごとに付けられます。この時に受理証明書をもらっておくと良いでしょう。手数料がかかりますが、家に帰ったら、すぐに各業者に対して、この受理証明書を郵送すれば特定調停が決着するまでの数ヶ月の間、取立・請求を合法的に止めることが出来ます。しばらく落ち着いて冷静になる時間が得られるので、是非やりましょう。

5月 02 2008

シリーズ 特定調停②

 特定調停シリーズ2回目のテーマは「どこに申し立てるのか?」です。

特定調停は簡易裁判所に申し立てます。簡易裁判所は、裁判所の中で一番多く設置されている裁判所です。では次に、どこの簡易裁判所に申し立てれば良いかを調べる必要があります。これを「裁判所の管轄」と呼びます。

特定調停における裁判所の管轄の原則は、「債権者の所在地」です。この場合、特定調停ならではの特例があります。普通、「債権者の所在地」と言ったら、業者の場合は本店の所在地になりますが、そんなことを言ったら特定調停のほとんどを東京の裁判所に出さなくてはならなくなり、これでは素人を対象にしている制度としては現実的ではありません。従って、特定調停の場合、「債権者の所在地」は支店の所在地で構わないという取り扱いがなされています。しかも、業者が複数ある場合(複数あるのが普通ですね)、最も多くの業者の支店がある所ならOKということになっています。

これで、たいていの人は自分の住まいの近くで申し立てることが出来るはずです。しかし中には、取引の途中で引っ越す人もいます。そういう場合、全ての業者の取扱支店が遠方にあるというケースも出てきます。こういう人の為に特定調停は更に特例を認めてくれる場合が多いのです。

もし、上記のケースに当てはまる人がいたら、取引の途中で引っ越した事情を裁判所に説明して、現在の住所の近くで受け付けてもらえないか、粘って説得してみて下さい。私の経験では、ほとんどの場合、認めてくれるケースが多いようです。「何事もチャレンジ」の精神で熱意をもって説明しましょう。

4月 24 2008

シリーズ 特定調停①

 最近、特定調停の質問を、よく受けるので、特定調停についてシリーズにして書いてみたいと思います。まず、1回目のテーマは「特定調停に向く人、向かない人」です。

特定調停の概要については、ホームページの本文を見て頂くこととして、そもそも特定調停は、弁護士や司法書士が行っている任意整理を素人でも出来るようにしようという目的で始められた制度です。従って、任意整理が向く人は特定調停も向く、と考えて良い訳です。

では、どのような人が任意整理や特定調停に向くのかと言うと、最も重要なのは「利息制限法で減額した後の金額を支払えるだけの収入がある」ということです。

一見、当たり前のように見えますが、意外に理解されていないと思います。「とにかく今より減れば良い」と考えている人も結構多いのです。実は、特定調停を裁判所に申し立てたにもかかわらず、この点で裁判所から断られてしまう人が多いのです。

「債務が減額される」ことと、「減った後の債務が支払える」ことは別の問題だということを注意して下さい。

多くの人が業者との交渉を心配されますが、実際には業者との交渉は調停委員がやってくれますから、ほとんど問題ありません。最も問題になるのは、調停委員から「あなたは特定調停では支払うのが無理」と判断されてしまうことです。(裏を返せば、調停委員を納得させることが出来れば、調停は7~8割は成功したようなものです)

 次に重要な判断材料は、「過払金の発生が見込めるかどうか」です。

現在の特定調停の制度では過払金の回収は認められていません。従って、「過払金を回収してから、その過払金を使って残りの債務を支払う」ということが出来ない訳です。これは「債務の圧縮」という債務整理の重要な目的からすると大きなマイナスです。

過払金の発生は、5年~7年だと5割くらい、8年以上だと8割~9割の人が見込まれると考えられています。故に、5年以上の取引がある人は任意整理を考えた方が良いかもしれません。8年以上の取引があるのなら、任意整理を選択するべきだと思います。

 

 

4月 03 2008

アエル民事再生 その2

 消費者金融アエルが民事再生を申し立ててから約10日ほど経ちました。債権者説明会などが開かれて、少しずつ詳細が明らかになってきました。

先週のブログでも話題にしましたが、民事再生には債権届出期間というものがあります。債権者(アエルに過払金返還を求める人は債権者になります)が、アエルの残り資産の中から配当を受け取る為には、債権届出期間中に届出をしなくてはならないのです。この届出期間が6月30日までと決まったようです。

従って、アエルに対して長期間の取引がある人は6月30日までに届出をする必要があります。5年以上の取引がある人は過払いの可能性がありますので、急いだ方が良いでしょう。早めに専門家に相談して下さい。

尚、アエルは6月30日を過ぎても届出を受け付ける予定だと発表しているようですが、これはあくまでも特例です。届出期間を過ぎても認められるのは裁判所が認定した場合だけですから、全てが認定されるとは限りません。(全部が認定されない可能性もあります)

従って、現時点では6月30日に間に合うように届出をするべきでしょう。

3月 25 2008

アエル倒産

 中堅消費者金融のアエルが3月24日に東京地方裁判所に民事再生の申立をして事実上倒産しました。これで消費者金融の大型倒産はクレディアに続いて2件目となります。

クレディアの後、危ないと言われていた業者は、いくつかありましたが、ついにアエルが現実のものとなりました。アエルに対して過払金請求権のあった債務者は、これで返還が大変難しくなりました。しかし、東京地裁の定める期限内に申し出れば配当と言う形で若干受け取れるかもしれません。

何もしないよりはマシなので、アエルと長期間の取引がある人は相談を受け付けますので、事務所に電話して下さい。

尚、法定利息に引き直した後でも債務が残った人は支払義務は残ります。よく、「倒産したら債務が残った場合でも支払いが無くなるのでは」と質問される方がいますが、残念ながらそういうことはありませんので注意して下さい。

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