9月
28
2010
本日、4大消費者金融の一つ株式会社武富士が東京地裁に会社更生法の適用を申請して事実上、倒産しました。(会社更生法は倒産法の一種です)
今後は経営陣の総入れ替えと引き換えに債務カットが始まることになります。そして重要なのはカットされる債務の中に過払金が含まれるということです。
既に和解している事件や、裁判所で判決を取っているけど未払いの事件などもカットの例外ではありません。全ての過払事件がカットの対象になります。武富士は今まで倒産した金融会社とは会社の規模がけた違いですから、影響も半端ではないでしょう。多重債務者の中で武富士から一度も借りてない人の方が、むしろ少数派でしょうから。
それにしても、このブログでも何回も武富士の危険性は言及してきましたが、やっぱりという感想です。最近では、過払金を規定どおりの期日に支払えなくなってきていましたから相当、資金繰りも悪化していたのでしょう。
今後は、裁判所の審査の過程で一体何割の配当がもらえるのかが焦点になってきます。まあ5割以下なのは覚悟した方が良いと思いますが、アエルのように5%というのも勘弁して欲しいです。せめてクレディアなみの3割から4割という線に落ち着いていればラッキーな方ではないでしょうか。
配当をもらう為には裁判所に申請をする必要があります。取り扱いによっては申請していない場合も配当をもらえるケースもあるようですが、申請しておいた方が確実です。申請について良く分からない人は専門家に相談しましょう。
さて、我々としては武富士が倒産したことで、次に備える必要があります。武富士が倒産したということは全ての消費者金融に倒産の危険性があると言い切っても過言ではありません。比較的安全なのは、アコム・プロミスのような銀行系の業者だけでしょう。同じ銀行系でも新生フィナンシャル(レイク)やCFJなどは親会社の銀行の経営が悪化していますから安心できません。
このように全ての消費者金融が心配な中で、あえて一つ挙げるとすれば私はアイフルだと思います。アイフルも武富士と同様に危険だと言われ続けていました。武富士が倒れたことで、最早いつ倒れてもおかしくないと思います。アイフルに対して過払金の可能性がある人は一刻も早く請求をした方が良いと思われます。
ちなみに質問が多いのでブログで回答しておきますが、武富士に対して法定利率に引き直しても借金が残る人は今までどおり債務の支払義務は残ります。支払義務が無くなる訳ではありませんので、勘違いしないで下さい。
9月
17
2010
本日はCFJについて説明しましょう。
CFJはアイク・ディック・ユニマットという3つの会社が合併して出来た会社です。正式名称はシティ・フィナンシャル・ジャパンと言い、この名称を聞いてピンと来る人もいるかと思いますが、アメリカのシティグループが資本参加している、いわゆる外資系です。
ご存知のようにアメリカの金融業界はリーマンショック以降、深刻な不況に陥っておりシティグループも例外ではないと思われます。従って、親玉のシティとしては、過払金返還請求によって経営状態が著しく悪化した日本の消費者金融市場からは撤退したがっているという噂が絶えません。
以上のことを踏まえて過払金の回収状況について考えてみましょう。
何しろ親会社に余裕が無い状態ですから過払金の支払には、かなり厳しくなってきています。途中に空白期間がある場合は相当に激しく争ってきます。空白がある場合は、訴訟が長引くという覚悟がいるでしょう。
空白が無い場合は今のところは元金までは支払ってくるようですが、利息に関しては、やはり相当、強硬に争ってきます。他の大手よりも利息に関しての争い方は激しい感じがします。
もっとも、アメリカの経済状況を考えると、いつシティグループが手を引くか分かりませんので、現在の状況は、あくまでシティ傘下の企業であることが前提となります。
一方、債務が残った場合の分割交渉に関しては、武富士やアイフルと同じく認めない方向のようです。どうしても分割にする場合は、やはり将来利息の請求を受けることになるでしょう。大手の半分以上が、分割に際しては将来利息を求めてくるようになっている訳ですから、全くやりにくい状況になってしまいました。
では次回は中堅業者についての一般論を取り上げたいと思います。
9月
10
2010
今回は新生フィナンシャルについて説明しましょう。
新生フィナンシャルは旧商号がレイクと言えば皆さん、お分かりになると思います。今でもレイクの名前は使用しているようなので、こちらの方が馴染みがある人も多いでしょう。
新生フィナンシャルと会社名を変更したのは、バックに新生銀行がついたからです。要するに、この業者もアコムやプロミスと同じように銀行系の消費者金融ということになります。ただし異なるのは、バックにいる新生銀行は、アコムやプロミスの親会社のような巨大銀行ではないということです。そういう意味で安定感はアコムやプロミスには劣るけど、武富士やアイフルよりは勝っていると言えるでしょう。
しかし、こと過払金の支払いに関して言えば、今、この業者は消費者金融の中ではトップクラスの優等生です。何故、そんなに資金の余裕があるのか不思議に思えてしまうほどです。
このブログで1年前と今では過払金の支払状況は劇的に悪くなったという話を散々してきました。ところが、唯一、1年前と大して変わらない状況で支払ってくれているのが新生なのです。あまりにも他の業者と支払の態度が違うので、「こんなに気前よく支払って、会社は大丈夫か」と他人事ながら心配になってきます。過払いの依頼人にとっては、非常にありがたい業者となっています。果たして、この気前の良さは、いつまで続くのでしょう。
実は、先日、新聞で気になる記事を見かけました。それによると親会社の新生銀行の直近の決算が非常に悪かったと書いてありました。親会社の不景気が子会社に波及してくる可能性は充分ありそうですから、ひょっとしたら気前の良い支払いもカウントダウンに入っているかもしれません。
過払いの気前の良さを反映してか、債務が残った場合の分割払いも今のところはスムーズに応じてくれているようです。他の業者の態度の悪化が激しいので、非常に目立つ存在になっています。
それでは次回は、CFJを取り上げる予定です。
9月
03
2010
ご無沙汰しておりました。本日は、アイフルについて取り上げます。
アイフルは武富士と並んで大手の中では銀行のバックがついていない独立系と呼ばれる消費者金融です。そのせいかどうか、この2社は対応が似ているところがあって、アコムやプロミスなどの銀行系の業者に比べると強引な部分や違反スレスレのグレーな部分があります。やはりバックに銀行がないので態度に余裕が無いのかもしれません。
また、アイフルも大手の中では武富士と並んで経営悪化がひどいと噂されています。その為、過払金請求・任意整理の対応は1年前と比べても急激に悪化しています。(このシリーズでは何度も申し上げていますが、昔の債務整理の話は今とは全く状況が違いますので注意して下さい)
過払金請求に関しては大手の中では最も徹底的に争ってきます。過払訴訟では経営悪化を理由として元金の55%しか支払わないと主張してきます。(こんな根拠の無い不思議な主張をしてくるのはアイフルくらいです)
この主張を拒否すると(根拠がありませんから拒否するのは当たり前なのですが)、途中で和解するのは、まず無理で、ほとんどが判決まで行ってしまいます。従って、支払いまでが非常に時間がかかることになります。ちなみにアイフルで判決まで行っていない場合は、元金を割り込んで和解している可能性が極めて大きいので、専門家に依頼して、そういうケースに当たったら、よく確認した方が良いでしょう。
また1審の判決で支払ってきたら、アイフルの場合マシな方です。多くの場合、アイフルは1審の判決が出た後、控訴してきて2審に引きずり込もうとします。それも2審で再び審理したからと言ってアイフルに勝ち目があるとは、とても思えないようなケースでも控訴してくるのです。全く始末の悪い業者です。
こういう状態ですから、控訴された場合は更に支払期日が延びて半年以上かかるのが当たり前になっているのが実情です。
過払金の回収率に関しては、粘り強く訴訟をしていけば、今のところ元金満額は回収できるでしょう。ただし急いで回収しようとすると極端に回収率が下がるのが、この業者の特徴ですから腰をすえてかかった方が良いでしょう。
次に債務が残った場合の分割払いについてです。これに関しても、最近の傾向と同じく将来利息無しの分割払いには応じていません。アイフルは、かなり早い時期から利息なしの分割には応じていなかったので、むしろ他の業者がアイフルに追随してきたという感じです。
従って、アイフルの場合も債務が残った場合は、一括で払うか、利息付で分割にするかという悩ましい選択にせまられることになります。
それでは次回は、新生フィナンシャル(レイク)について取り上げます。