司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

4月 22nd, 2011

4月 22 2011

臨時ニュース 丸和商事倒産その2

 丸和商事の倒産は民事再生という手続によって行われることになりました。武富士の倒産は会社更生という手続によって行われています。何故、異なる手続になったのか考えてみたいと思います。

 民事再生と会社更生の最も大きな違いは、届出期間内に届けなかった場合に救済が受けられるかどうかです。

民事再生の場合、旧クレディアの例でも明らかなように、やむを得ない事情(過払いであることを知らなかったなど)で届出期間内に間に合わなかった場合は、期間を過ぎた後も配当を受け取ることが可能となっている点です。故に、届出期間の周知に関しては、新聞等の広告でも許されていました。(間に合わなかった場合の不利益が少ない為)

一方、会社更生の場合は、届出期間を過ぎてしまうと一切の救済は認められていません。配当を受け取ることは不可能になってしまいます。これが為に、届出期間の周知は徹底することを裁判所から求められます。配当を受け取る権利が無くなってしまう以上、あらゆる方法を使って全国に知らせる必要がある訳です。

武富士の場合で言うと、TVコマーシャルを流したり、過払いになっている顧客に対しATMで届出の必要を知らせたり、あるいは既に完済して取引が終了している元顧客に対しても電話連絡等で知らせたりしています。当然ながら、かなりの時間と費用がかかることになります。

今回、丸和商事からの説明によれば、民事再生を選択したのは、上記のような徹底した周知を行う為には莫大な費用がかかる為(TVコマーシャルだけでも相当な費用でしょう)、費用負担に耐えられない可能性があるからということです。

結果的には債務者にとって民事再生の方が有利な点が多い為、喜ばしい結論だと思います。届出期間を終了しても配当が受け取れる可能性がある方が、ありがたいことは確かです。最も、期間終了後も認められる為には「やむを得ない事情」が必要ですから、過払いであることを知っていながら、ただのサボリで届出をしないというのは止めておきましょう。

 最近の情勢からして、今後も貸金業者の破綻は続くでしょうから、これからは倒産の方法が、民事再生か会社更生かが注目すべきポイントとなりそうです。(会社の規模が大きいところほど会社更生を選ぶ傾向があるようです)