司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2017年4月

4月 20 2017

ギルドの「最後通告書」とは 時効(時効援用11)

株式会社ギルドから送られてくる書類の中でも、比較的多く見られるのが「最後通告書」です。

これは、以下のような文面となっています。

最後通告書
日頃弊社をご利用頂きまして誠にありがとうございます。
再三の請求にもかかわらず、未だ貴殿よりお支払頂いておりません。長期に渡り債務不履行の状態が継続しております。貴殿にも相当なご事情があるものと察しますが、このままの状況が続きますと、法的手続等の検討をせざるを得ません。つきましては、平成〇年〇月〇日までに「ご請求金額欄」に表記しております金額をお支払ください。また、期日までにご返済が困難な場合、返済計画のご相談を承りますので、弊社窓口までにご連絡願います。尚、本書は、平成〇年〇月〇日現在で作成しておりますので、本書と入れ違いにご入金されている場合は、ご容赦願います。

一見、ていねいな語り口で、いかにも「早く連絡しなくてはいけない」という気持ちにさせる文章ですが、ちょっと待ってください。もし、あなたが消滅時効の条件を満たしているならば、絶対に連絡を取るべきではありません。

相手は金貸しのプロです。あなたが消滅時効で借金を帳消しにできることを教えてくれることは、まずありません。むしろ、時効が後で使えなくなるように、あの手この手で、あなたを誘導しようとするでしょう。もし、この誘導に引っかかってしまったら、せっかく使えたはずの時効援用が出来なくなる可能性もあります。

ギルドの最後通告書は他の貸金業者に比べて不親切に出来ています。この書面からでは、最終支払日や過去の裁判の有無などは表示されていません。従って、時効の条件を満たしているかどうかは、あなたの記憶で判断するしかありません。

条件を満たしていると思ったら、業者に電話をする前に専門家に相談しましょう。あなたの借金は支払う必要が無いかもしれません。

より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/guild/

4月 11 2017

無職だと個人再生は出来ないのか?  個人再生(38) 

原則としては、個人再生は定期収入があることが条件になっています。減額した後の借金を3年の分割払いで支払っていくことが前提の手続だからです。しかし、無職の人でも個人再生が可能な場合があります。現実に、私が取り扱った依頼で、無職の時に相談を受けて個人再生の認可をもらった事例が複数あります。

もちろん無条件で認可をもらえる訳ではありません。無職で認可を得るには、2~3カ月以内に就職する予定があり、給料の額もだいたい分かっている場合に限ります。

逆に言えば、上の条件を満たしていれば、個人再生をあきらめる必要はありません。他の事務所で「出来ない」と言われて私の事務所に来て、条件を満たしていることが分かったので手続をして、無事に認可を得たケースが現実にあります。

個人再生の場合、全体の件数が少ないので(自己破産の10分の1程度)、慣れていない専門家も結構います。相談の時に経験の少ない専門家に当たると、上記の事例のように、可能なのに不可能と判断されてしまう可能性もあります。

無職でも就職予定がはっきりしているのなら、個人再生を検討する余地はありますので、知っておいて下さい。

より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

4月 06 2017

破産すると財産はどうなるの?  個人再生(37) 

借金を返せない場合、多くの人が最初に考えるのは自己破産でしょう。もちろん利率が高い頃から長い年数(7年以上)借りていれば、過払金が発生している可能性もありますが、最近では貸金業者の利率が下がっていますので当てはまる人が少なくなっています。

自己破産を考えた場合、まず不安になるのが、財産はどの程度、手元に残るのか、ということではないでしょうか。

この答えは実は裁判所によって異なります。私の経験では、40万程度に設定されているケースが最も多いと思います。私の地元の名古屋地裁でも40万となっています。

ちなみに、裁判所が重視する財産は、①不動産、②預貯金、③自動車(時価)、④生命保険の解約返戻金見込額、⑤退職金見込額の8分の1(退職間近の場合は4分の1)などです。これらの金額の合計が40万円以内になっていれば手元に残る可能性が高いと言えます。

しかし、40万円を超えた財産を持っている場合、管財事件となり、裁判所から破産管財人が選任されて、管財人の裁量により財産の換価処分(売却して現金に換える)が行われることになります。こうなると、費用も時間も膨大にかかることになります。(管財人の報酬は、債務者が裁判所に収める予納金から支払われますので、予納金が非常に高額になります。40万くらいが相場です)

この時、もし定期収入がある仕事を持っていた場合、あるいは近いうちに仕事に就く予定がある場合、管財事件を避けて個人再生という別の選択をすることが可能となります。これは、是非、一度は検討してみるべきだと、私は思っています。

個人再生ならば、破産の管財事件に比べたら、費用も安いし時間も早いです。そして何より、ほとんどの財産が換価処分をする必要が無く手元に残ります。これだけメリットあるにもかわらず、経験している司法書士や弁護士が少ないために、すすめる事務所が少なく、あまり利用されていないという、非常にもったいない状況になっています。

個人再生を利用すると、借金の総額が500万円以内の場合は100万円に減額されます(例えば400万円の借金が100万円になるのです)。借金総額が500万円を超えた場合は更にお得で、何と5分の1まで減額されます(一千万円の借金なら200万円になります)。しかも減額された上で、更に3年間の分割払いに変更されます。この分割払いには何と利息がつきません。単純に減額された金額を36カ月で割った金額を毎月支払えば良いのです。(例えば、400万円の借金が、毎月2万8000円の支払いに変わるのです)

これだけメリットがある訳ですから、当事務所では財産が40万円を超えていて定期収入がある方に対しては個人再生を推奨しています。実際に、個人再生を選択された結果、ほとんどの方が「個人再生にして良かった」と満足して頂いています。

個人再生は、「経験者が少ない」「慣れていない」等の理由で避ける事務所が少なくありません。良く分からないまま自己破産を選択されている人も多いです。もし自分に当てはまっていると感じた場合は、一度、個人再生について詳しく知った上で決めても遅くは無いと思います。

個人再生について、より詳しく知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/