司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2017年11月

11月 15 2017

オリンポス債権回収の「支払督促」 時効(27) 

オリンポス債権回収も裁判に訴えてくる時は支払督促をよく利用する業者です。(支払督促の詳しい説明については時効(26)の記事を参照して下さい)

一般の方が誤解しやすい点に、「プロの業者が裁判に訴えてくる位だから時効は成立していないのだろう」というものがあります。しかし、これは大きな間違いです。現実には、消滅時効期間が経過した後に訴えてくるケースは結構多いのです。

裁判になった場合、訴えた業者の方で、契約の内容や取引の経過などを明らかにする必要があるので、届いた裁判書類を見ると、かなり詳しい内容が分かります。これが裁判になった時のメリットの一つです。

オリンポス債権回収の支払督促の場合、「請求の趣旨及び原因」というタイトルのページの下の方に「分割金の支払を怠った日(期限の利益喪失日)」という項目があります。ここに書かれている日付から5年以上経っていれば消滅時効が完成している可能性が高くなります。

支払督促は反論する為の異議申立期間が短いので、当てはまる場合は急いで時効に詳しい専門家に相談しましょう。もし、到着してから2週間が経過してしまった場合でも、多少不利にはなりますが、反論する方法はまだあります。あきらめずに検討してみましょう。

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11月 10 2017

アビリオ債権回収の「支払督促」 時効(26) 

消費者金融や債権回収業者、法律事務所などが裁判に訴えてくる場合、方法が2種類あります。一つは支払督促と言う方法、もう一つは民事訴訟です。

送られてくる書面の表紙のタイトルは、支払督促の場合は「支払督促」と書かれ、民事訴訟の場合は「訴状」と書かれていますので、タイトルを見れば一般の方でも区別することは可能です。

また、裁判書類には必ず事件番号と呼ばれる記号と数字が書かれており、支払督促の場合は「平成〇年(ロ)第〇〇号」と書かれ、民事訴訟の場合は「平成〇年(ハ)第〇〇号」と書かれています。(元金が140万円を超える民事訴訟の場合は「平成〇年(ワ)第〇〇号」と書かれていますが、個人の貸金訴訟で元金が140万円を超えているのは滅多にありませんので、非常に少ないケースです)

かっこの中のカタカナは裁判所特有の記号で、(ロ)は支払督促を、(ハ)と(ワ)は民事訴訟を表しています。従って、事件番号が分かれば裁判の種類も分かるようになっているのです。

そして業者によって、支払督促を多く利用する業者と、民事訴訟を多く利用する業者に分けられます。

例えばギルドという業者は圧倒的に民事訴訟を選択することが多く、本社が大阪にあるため、大阪簡易裁判所から「訴状」が届くのが一般的です。

一方、アビリオ債権回収の場合は支払督促を選択することが多く、「支払督促」というタイトルで、記号は(ロ)と書かれた書類が届きます。

支払督促の特徴は大きく2つあります。

一つは、訴えられた裁判所が債務者の地元になることです。従って、債務者が大阪にいれば大阪の裁判所、東京にいれば東京の裁判所から書類が届きます。(これに対して民事訴訟の場合は、一般的に債権者の地元で訴えてくるケースが多いです。ギルドが本社のある大阪の裁判所に訴えるのが良い例です)

二つ目は、反論する為の期間が支払督促の場合は2週間以内と非常に短いことです。(民事訴訟の場合は、一般的に1カ月以上先になっていることが多いです)

支払督促は反論の期間が短いため、時間との勝負になります。うかうかしていると2週間はあっという間に過ぎてしまいます。素早い決断で反論書を裁判所に提出しなければなりません。

素早く決断する為に参考になるのが、「請求の趣旨及び原因」というタイトルのページに書かれた「期限の利益喪失日」と言う記載です。(細かい字で書かれている時もありますので注意して見つけて下さい)

一般的には、この期限の利益喪失日から5年以上経っていたら、消滅時効が完成している可能性が非常に高くなります。しかし、アビリオ債権回収の場合は、この期限の利益喪失日が間違っている場合がありますので注意が必要です。

私が経験した事例で言うと、実際には5年以上経っているにもかかわらず、期限の利益喪失日が最近の日付(具体的にはアビリオに債権が譲渡された日付)になっていた場合がありました。もし故意に間違えていたとしたら(真相は分かりませんが)、相当に悪質です。

このようなケースがあるので、支払督促に添付された計算書を見るのが最も確実です。計算書の最後の取引(貸付または返済のこと)から5年以上経っていたら、消滅時効が完成している可能性がある、と考えて、すぐに消滅時効に詳しい専門家に依頼して反論書を作ってもらいましょう。ちなみに支払督促の反論書のことを「督促異議」と呼びます。

アビリオ債権回収は、消滅時効が完成していた場合は割と早くに「取下書」が届き事件が終了します。しかも、取下書が届いたのと同じくらいの時期に契約書原本も返却してきます。消滅時効の場合、業者の契約書の返還義務は無いので(弁済の場合はあります)、これはアビリオが進んで行っている行為であり、良い特徴と言えるでしょう。

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11月 09 2017

ギルドの「支払い猶予」 時効(25) 

このブログでも何度も紹介させて頂きましたが、不当請求を行う業者の中でも特にギルドはたちの悪い業者で有名です。このギルドが最近、時効対策として行っている新たな手段がありますので、ご説明します。

それは「支払い猶予」と呼ばれるものです。具体的には、ギルドの担当者が訪問した際(電話の場合もあるでしょう)、よく一括請求をしてきます。「分割をなかなか認めない」というのがギルドの特徴なので、ここまでは予想できる対応です。最近は更に悪質になって、以下のような対応をしてくるようになりました。

一括請求をされた債務者は、たいていは次のように反論するでしょう。「一括なんてとても無理だから分割にしてくれ」とか、「今は支払えないから待ってくれ」とかです。ところがギルドは、この返事に後ほど噛みついてくるのです。

上記のやり取りがあった時は、その場ではおとなしく帰ります。しかし、担当者が記録を取っていて、「〇月〇日○時〇分に支払い猶予の返事」などと記載しておくのです。

そうすると後に消滅時効の通知を出した時に、ギルドの担当者から「支払い猶予があったので消滅時効は完成していない。もし払わないなら裁判をする」などと言ってきます。実に強気の対応です。

支払い猶予とは、債務者の方から支払時期を延期してもらうように要請したことを言います。これは支払いを約束したのと同等と判断されて、時効中断事由(時効が振り出しに戻ること)になる可能性がある行為です。

しかし、上記のようなやり取りが実際に支払い猶予に当たるのかどうかは非常に微妙なところです。まして、確実な証拠が残っていると言えるかというと更に微妙になります。

もし、「支払を延期してくれ」と書かれた書類に署名していたとか、やり取りをテープに録音されていたとしたら危ないかもしれませんが、今のところギルドの対応は担当者の記載による記録に留まっているようです。ようは担当者の好きなように書ける訳で、証拠としては弱いでしょう。

しかし、このような弱い証拠でも過去の経験から言うと、裁判を起こしかねないのがギルドと言う業者です。もし裁判になったら、証拠が弱いところをついて争うことになりますが、裁判である以上、100%勝てる保証はありません。(もし100%という専門家がいたら、その方が怪しいでしょう)

他にも「脅迫的な状態で行われた支払い猶予は時効中断事由にはならない」という判決もありますので、勝つために、あらゆる反論をしていくことにはなりますが、結構な負担であることは確かです。

上記のようなやり取りは、通常行われているものですが、今のところギルド以外で、ここまで強硬な対応をしてくるところはありません。そもそも裁判をしたところでギルドが勝てる保証も無いのですから。

しかし面倒な状態に巻き込まれるのは確かなので、ギルドの担当者に対しての発言は、くれぐれも注意した方が良いでしょう。最も良いのは担当者とは一切話をしないで「今、忙しいから〇日後にまた連絡してくれ」と言って追い返し、その間に専門家に相談に行くのが得策でしょう。

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11月 07 2017

MUニコスクレジットの不当請求 時効(24) 

MUニコスクレジットとは三菱UFJニコス株式会社の100%子会社で、三菱UFJニコスの債権の一部を承継しています。従って、ニコスカードの債務がある場合、この業者から請求されることがあります。

世間には大きな誤解があって、「クレジット会社は、消費者金融や債権回収会社のような不当な請求はしないだろう」のように思っている人が結構いますが、実はこれは間違いです。元々クレジット会社は出資法等が改正されるまでは消費者金融と同様に違法利息を取っていましたし、支払いが遅れた時に裁判に訴えるのはクレジット会社の方が多かったのです。

従って、クレジット会社であっても「消滅時効が完成した後に請求してくる」という不当な請求は行っています。油断してはいけません。

この業者の特徴としては、時効援用通知を送ると、親会社の三菱UFJニコスに調査をかけるため、結果が出るまでに非常に時間がかかります。

消費者金融や債権回収会社の場合、通知を送ってから1週間から10日間ほどで結果が分かりますが、MUニコスクレジットの場合は2週間以上かかることも珍しくありません。

もし現在、MUニコスクレジットから請求を受けている方は、消滅時効の条件が満たされていると思われた場合は、業者に連絡する前に時効に詳しい専門家に相談しましょう。

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