司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

4月 3rd, 2020

4月 03 2020

楽天カードの個人再生は要注意 個人再生(41)

小規模個人再生とは

個人再生には大きく分けて2種類の手続があります。小規模個人再生と給与所得者再生です。個人再生の恐らく9割近くが小規模個人再生で、給与所得者再生の件数は非常に少ないです。給与所得者再生はやったことが無いという事務所も少なくありません。

なぜ小規模個人再生の方が多いのか

小規模個人再生の方が圧倒的に多い理由としては2つあると私は思います。
一つは、認可決定後の債務者の支払総額が、小規模個人再生の方が安くなることが多いからです。債務者の負担が軽くなる可能性が高いということです。
もう一つは、書類の数が小規模個人再生の方が少ないので時間が短縮できる、という点です。給与所得者再生の方が手間がかかるのです。

ならば全員が小規模個人再生を選択するのでは?

メリットの多い小規模個人再生ですが、一つだけデメリットがあります。それが書面決議です。書面決議を避けるために給与所得者再生を選択する場合があるのです。

書面決議とは

小規模個人再生だけにある制度です。
裁判所が審査を終えてOKを出した後に、全ての債権者に再生計画案と投票用紙を配ります。この投票用紙には、「この再生計画案に反対の方のみ裁判所に提出してください」と書かれています。
そして、債権総額の過半数の反対が出たら、例え裁判所の審査が通っていても「不認可」になってしまうのです。

※他にも「債権者の頭数の半数以上の反対で不認可になる」という規定がありますが、実務上はほとんど無いので無視して良いでしょう。

書面決議での不認可は、どのくらいあるのか

書面決議における不認可の割合は現実には、それほど多くありません。一説には5%以下とも言われています。しかしゼロではありませんから気になる人はいるでしょう。ちなみに私の事務所では開業17年になりますが、書面決議での不認可は1件のみです。

どういう場合に不認可になるのか

一般的には、日本政策金融公庫とか信用保証協会などの公的な性格の強い金融機関が反対を出すことが多いと言われてきました。しかし、最近ではこれらの金融機関でも個人再生に協力的になってきて、反対しない場合も増えてきているようです。

楽天カードに要注意

今までは、消費者金融やクレジット会社は書面決議で反対することはほとんどありませんでした。損得を合理的に考えれば、個人再生をつぶして債務者に破産されたら損になってしまうからです。
しかし最近、要注意の会社が出てきました。楽天カードです。楽天カードは1社で債権総額の過半数を取っている場合、反対してくる可能性が高いのです。

楽天カードの実際の事例

私の事務所で実際にあった事例です。(書面決議で否決された唯一の事例です)
債権総額が4社で590万くらいありました。その中に楽天銀行と楽天カードがありました。楽天銀行が200万、楽天カードが100万ほどでした。
楽天銀行の保証会社が楽天カードになっていたので、債務整理を開始したら楽天銀行の債務は代位弁済で楽天カードに移りました(保証会社が代わりに払うことを代位弁済と言います)。
代位弁済により楽天カードの債権額が300万円ほどになってしまい、過半数を超えてしまいました。この状態で書面決議になってしまい、反対は楽天カード1社でしたが、小規模個人再生は不認可となってしまいました。

給与所得者再生には書面決議が無い

上記の事例で不認可となった後、私は給与所得者再生で申し立てをしました。理由は、給与所得者再生には書面決議が無いからです。裁判所の審査を通れば認可決定が出ます。
給与所得者再生には、支払総額が小規模よりも高くなることが多いとか、手続に時間がかかるとかのデメリットも多いのですが、「書面決議が無い」というメリットがあるのです。
小規模個人再生の不認可率がかなり低いので、あまり使われることが無い給与所得者再生ですが、今後は、楽天カードが過半数の金額を占める可能性がある場合は給与所得者再生を使っていく必要があるでしょう。

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