司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2024年1月

1月 15 2024

就業場所への送達 債権回収②

相手が受け取らない場合

裁判の書類は普通郵便では届きません。通常は特別送達という方法で郵送されます。

特別送達とは書留をより厳格にしたものと理解して頂ければ近いと思います。ですから本人や同居人が受け取らない場合は送ることができなくなります。書類を送れなければ裁判を始めることができません。

就業場所(勤務先)への送達

しかし相手が受け取らないことで裁判を回避できてしまったら、始められない裁判が多数発生してしまいます。そこで就業場所への送達が認められています。ただし、いきなり送ることはできません。あくまで自宅へ送っても相手が受け取らない場合に限ります。

従業員へ渡すこともできる

就業場所へ郵送した場合、本人が仕事で外出していていないこともあるでしょう。そのような時、従業員へ渡すことも認められています。これを補充送達と言います。更に正当な理由なく従業員が受け取りを拒否した場合、その場に置いてくることも可能です。これを差置送達(さしおきそうたつ)と言います。

いずれの送達でも裁判は開始します。

仮執行宣言付支払督促の送達

支払督促を送達して2週間が経過した場合、債務名義として仮執行宣言付支払督促を裁判所に申し立てることになります。

最初の支払督促を就業場所へ送達した時は、特例として仮執行宣言付支払督促を始めから就業場所へ送達することができます。自宅へ送る手間が省ける訳です。支払督促も仮執行宣言付支払督促も同じ裁判所の同じ部署だから、このようなことが可能なのです。

差押の時は再び自宅に送る必要がある

ただし仮執行宣言付支払督促を取得できた後、それを使って差押をする時は再び自宅に先に送らなくてはなりません。これは、仮執行宣言付支払督促は簡易裁判所の支払督促係、差押は地方裁判所の執行係と、裁判所も部署も異なるからです。裁判所は縦割りの役所なので、面倒でも仕方がありません。(正直、何とかならないのかと思ったことは何度もあります)

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