司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2023年12月

12月 25 2023

時効中断の基準日 時効(120)

時効の中断(更新)になる場合

時効が中断(改正法では更新)するのは、時効期間が満了する前に債務者が支払ってしまった場合が最も多く、あとは支払いが無くても支払いの約束をしてしまった場合、他には裁判で請求されてしまった場合などがあります。

裁判が最も判断が難しい

実際に支払ったか、支払いの約束をしてしまったかは、債務者は結構覚えていることが多いです。だから判断は難しくありません。難しいのは裁判をされているかどうかです。

裁判所から届く郵便は手渡しなので、不在の時は不在配達票が入ります。不在配達票を中身を読まずに捨ててしまったり、面倒で取りにいかなかったりする人は珍しくなく、そうなると裁判をされたことに気づかないこともあります。

あるいは引っ越しをして実家に届いていた裁判の書類を、家族が捨ててしまうこともあります。

裁判をされたのは、いつが基準になるか

金融業者との取引の時効期間は通常は5年です。支払いの場合は5年以内に支払ったらダメというのは分かり易いですね。しかし裁判の場合は、どうでしょう。裁判の基準日を誤解している人は結構いますので、説明しましょう。

良くある誤解が「口頭弁論呼出状に書かれている第一回口頭弁論期日」が基準日だと思っている場合です。口頭弁論とは原告と被告が法廷に呼び出される日のことです。この口頭弁論期日が5年を超えていれば時効になると思っている方は珍しくありません。

時効の基準日は債権者が裁判所に書類を提出した時

裁判をされた日(裁判の基準日)というのは、債権者(金融業者)が裁判所に訴えの書類を提出した時です。裁判所が書類を受け付けた日が5年以内ならば、時効は中断(更新)します。

このルールがあるため、裁判所では休日でも書類の受け付けは行っています。時効期間が明日に満了するという急ぎの場合でも、書類は出せるようになっているのです。

例え時効が中断していなくても放置すれば負ける

もう一つ非常に重要なことがあります。もし相手が書類を裁判所に出したのが5年以上経ってからだったとしても、裁判は放置すれば負けます。負け判決が確定してしまったらひっくり返すことはできません。せっかく時効が成立していたのに支払わなくてはいけないのです。このような人は結構多いので是非、注意してください。

ただし同じ裁判でも支払督促の場合は別です。5年以上経ってから支払督促をされた場合は、終わった後でもひっくり返すことは可能です。覚えておきましょう。

このように裁判をされている場合は素人では判断が難しいことが多いと思います。時効の専門家に相談されることをオススメします。

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