10月 25 2024
内容証明による請求を受け取らなかったら時効はどうなる 時効(127)
内容証明による時効の中断
内容証明による請求をされると時効が中断(更新)すると考えている方は多いと思いますが、正確ではありません。結論から言うと内容証明では時効は中断しません。内容証明による効果は時効期間を遅らせることです。
内容証明による請求をすることを法律用語で「催告」と言います。催告をすると、「催告してから6ヶ月以内に裁判による請求をすれば時効は中断する」ことになります。
例えば残り5日で時効期間が経過するような場面で、裁判が間に合わないような時は、とりあえず内容証明を送って時効期間を遅らせることができます。逆の見方をすると、催告のあと6ヶ月以上何もしないで放置したら、時効は中断しません。
※改正後の新民法では時効の中断を更新と呼ぶように変更されていますが、改正後の契約にしか適用されません。時効になるような古い契約では未だに改正前の旧民法の適用になるケースが多いので、この記事では「中断」を使います。
プロの貸金業者が放置するとは考えられない
ただしプロの貸金業者が内容証明による催告をしておきながら6ヶ月以上放置することは考えにくいです。
ですから内容証明が送られてきたら、6ヶ月以内に裁判をしてくるだろうと予想しておくべきでしょう。
内容証明を受け取らなかったら時効はどうなる
では内容証明を受け取らなかったら時効はどうなるのでしょうか。
内容証明は手渡しですから、不在ならば不在配達票がポストに入って郵便局が一定期間保管します。指定された期間に受け取りがされなければ、内容証明は差出人に返還されます。これならば時効を遅らせることを防げるのではないかと考える人もいるかもしれません。
残念ながら、この手段は使えません。内容証明を相手方が受け取らなくても、送った事実が証明できれば催告として成立する、というのが法律の考え方です。(裁判でも、このように取り扱われます)
内容証明を送付されていたら時効期間に注意が必要
実際にあった事例で、時効期間が5年を1ヶ月ほど超過していて、その後で裁判が行われて相談に来られたケースがありました。
相談者は「裁判が申し立てられたのは5年を過ぎてからなので時効で勝てると思う」と主張されました。しかし、よく話を聞くと、裁判の前に内容証明を送られていたことが分かりました。それが時効期間が経過する直前だったのです。
相談者は「受け取ってないから大丈夫だ」と考えていたようですが、法的には送られただけで時効期間が6ヶ月延長します。その間に裁判を申し立てられたら正式に時効が中断することになります。事務所としては「時効にはならないと思います」と回答しました。
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