司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2024年11月

11月 26 2024

悪意の不法行為債権を個人再生するとどうなるのか 個人再生㊹

悪意の不法行為債権

悪意で加えた不法行為による損害賠償債権は免責されないのが原則です。

例えば詐欺をした結果、被害者から訴えられて損害賠償が確定した場合、その賠償金が破産や再生で免責されたら理不尽だと思いますよね。法律も同じように考えていて、免責はされません。

悪意の不法行為債権を個人再生にするとどうなるか

ただし悪意の不法行為債権を個人再生した場合は、特殊な取り扱いになります。

具体的には、手続期間中は他の借金と同様の取り扱いになるのです。

例えば、悪意の不法行為債権が200万円で他の借金が3件で300万円(1件100万円)、合計で500万円を個人再生した場合を考えてみましょう。

まず通常通り合計金額が5分の1に減額されて、100万円を3年の分割払いになります。(悪意の不法行為債権は40万円に、その他は各20万円に減額されます。)

「あれ免責されないんじゃなかったの」と思われた方、ちょっと待ってください。これで終わりじゃありません。

手続が終わった後で残金が一括払いになる

無事に3年間の分割で5分の1を支払い終わった後、通常の借金である300万円の残額合計240万円は免責されて支払義務はありません。

しかし悪意の不法行為債権である200万円の残額、160万円は免責されません。5分の4の残金は一括で支払う義務を負います。

支払を遅らせることはできるが……

個人再生は減額したあと分割で支払うという手続なので、このような特殊な取り扱いになります。一部の支払いを遅らせることができますが、最終的には悪意の不法行為債権は全額支払義務を負います。

個人再生について、より詳しい情報が知りたい場合は、以下をクリック

https://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

11月 18 2024

メルカリのクレジットカードはメルペイが発行 個人再生㊸

メルカリのクレジットカード

メルカリを利用している人はかなりの数になると思います。そのメルカリのクレジットカードサービスを「メルカード」と言います。

非常に間違えやすいのですが、何とメルカードと言う名前の会社がメルカリ以外にも存在します。トラブルになる可能性があるので、今回取り上げました。

カード名と同じ会社がある

カード名と同じ「メルカード」という会社があり、多くはクレジット会社ではなく、メルカリとも全く無関係です。メルカードとはスペイン語で「市場」と言う意味で普通名詞なので、複数の業態で使われているようです。市場と言う意味から、食料品関係の業者の名前に多いようです。

メルカリのカードはメルペイが発行

ではメルカリのメルカードはどこなのかと言うと、メルペイが発行しています。メルカリのメルカードが未払いになった時の窓口はメルペイになる訳です。

またメルペイは受任通知を受け取ると、提携している弁護士事務所に業務委託することが多いようです。

メルカードという名称は変更した方が良いのでは

このように同じ名前の会社があるために極めて紛らわしいことになっているメルカードですが、名称は変更した方が良いのではないかと思います。多分、最初に決めた人は、メルカリのカードだから合成してメルカードと単純に決めたのではないかと思いますが、調べてみるとスペイン語の普通名詞なので他にも使われている可能性が高い名称です。

誤解を招くのを防ぐためにも、メルペイカードなどにした方が良いのではないかと個人的には思いますね。

個人再生で債権者を間違えると大変

なぜ今回、この記事を個人再生で取り上げたかと言うと、万が一、異なる債権者を債権者一覧表に記載して開始決定が出てしまうと、開始決定が出た後では債権者一覧表の変更ができないからです。この場合、何とかする方法として考えられるのは、異議申述期間に「債権者ではないので債務額は0円」という異議を出して反論が無ければ0円で確定する、という回りくどい方法を取るしかないでしょう。

個人再生について、より詳しい情報が知りたい場合は、以下をクリック

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