司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

7月 07 2021

数次相続の中間省略登記 相続登記(25)

数次相続とは

登記名義人が死亡した後、遺産分割協議を決着させる前に法定相続人の一人が死亡した場合、専門用語で数次相続といいます。

例えば、Aが死亡して法定相続人が妻Bと長男Cだった場合、遺産分割協議の前に長男Cが死亡してしまい、長男Cの法定相続人はCの妻Dと、Cの長女Eだったというようなケースです。

中間省略登記とは

数次相続の場合、原則どおりなら相続登記(名義変更)は2回行わなければなりません。Aの相続登記を行ってから、次にCの相続登記を行うことになります。
これだと手続きを2回行うことになるので、登録免許税も2回支払うことになります。

しかし、ある条件を満たした場合、中間省略登記と言って2回分の相続登記を1回で済ませることができるのです。中間省略登記だと、支払う登録免許税も1回で済み非常にお得です。

中間省略登記の条件

数次相続で中間省略登記を行える条件は、「途中の相続が単独相続であること」です。単独相続とは、相続人が一人であることを言います。

事例の場合で言うと、Aの法定相続人は妻Bと長男Cの二人です。
このままでは中間省略登記はできません。

この場合、BとCの法定相続人で遺産分割協議をして、Aの相続人をCのみにしてしまえば単独相続になり、中間省略登記が使えるようになります(単独で相続するのは途中で亡くなった相続人です)。

この時の遺産分割協議に参加する法定相続人は、B・D・Eの3人になります。DとEは、死亡したCからAの相続権を受け継いだ形で参加します。

※単独相続でなければならないのは途中の相続のみです。最終の相続人(この場合はCの相続人)は二人でも構いません。
※数次相続の中間省略登記の原因日付は以下のようになります。
平成〇年〇月〇日C相続(日付はAの死亡日)
令和〇年〇月〇日相続(日付はCの死亡日)

間違えやすい代襲相続

数次相続と似ているため間違えやすいケースに代襲相続があります。

例えば上記のケースで、Aが死亡するよりも前に長男Cが死亡してしまったら、数次相続ではなくて代襲相続の問題になります。

数次相続か代襲相続かを決めるポイントは死亡の順番です。
Aが死亡するより前にCが死亡した場合は、Cには子がいますので、Cの長女EがCの代わりにAの遺産の分割協議に参加することになります。

ここで重要なのが、代襲相続の場合はCの妻Dは分割協議に参加できないということです。

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