司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 19 2024

親族の死亡後に見つかった借金、消滅時効か相続放棄か 相続放棄⑳

11:37 AM 相続放棄

死亡後に見つかった借金の請求書

親族が死亡した後に借金の請求書が見つかる、これは珍しいことではありません。このような相談を受けることは実際によくあります。その借金が、かなり前のものだった場合、時効で解決するか相続放棄にするか悩ましい選択になります。

まずは相続放棄を検討しよう

自分の借金ならば何社から借りていたかは把握している場合が多いでしょう。しかし、親族といえども他人の借金の場合、見つかった請求書で全部かどうかは分かりません。ひょっとしたら遅れて他の請求書が届くかもしれません。

この不安を解消するためには相続放棄の方が適していると言えるでしょう。相続放棄ならば1回認められれば、後から届いた借金にも通用します。ですからまずは相続放棄ができないかを検討するべきでしょう。

相続放棄では難しい場合

しかし相続放棄は難しい場合があります。代表的なのはプラスの財産が、そこそこある場合です。相続放棄はプラスの財産も含めて放棄しなければなりません。どうしても相続したい財産がある時は相続放棄は利用できないことになります。

もう一つは死亡してから3ヶ月以上経過している時です。相続放棄は3ヶ月という期限があるので、これを過ぎている場合は検討する必要があります。ただし3ヶ月を過ぎていても正当な理由があれば認められることも多いので、プラスの財産がある場合に比べれば利用できないとは言い切れません。判断が難しいケースなので相続放棄に詳しい専門家に相談した方が良いでしょう。

消滅時効で解決する場合

相続放棄が利用できない時は、次に消滅時効での解決を考えましょう。消滅時効は届いた業者ごとに通知を出す必要ありますので、他に借金が見つかった場合は、その都度手続をすることになります。この点は相続放棄よりも手間がかかりますね。あと全ての借金が時効になっているとは限りませんので、時効になっていない借金については支払わなくてはなりません。

他に重要な注意点としては、「時効援用通知は相続人の数だけ出す必要がある」という点です。例えば相続人が3人だったとすると、3人それぞれから通知を出さないと、出さなかった相続人には借金の請求が行くことになります。これは誤解されている方が多いので覚えておきましょう。

相続放棄について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

相続放棄