司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 20 2024

自筆証書遺言を紛失してしまったら 遺言㉚

9:43 AM 遺言

自筆証書遺言を紛失してしまった場合

実際にあった事例で、相続手続を一通り済ませたと思った数年後に故人の通帳が押し入れから見つかったということがありました。

ご主人の自筆証書遺言が残されていたケースで、家庭裁判所で検認をしてもらい、遺言の通りに相続手続を済ませていました。しかし、それから数年後に新たな通帳が見つかった時には、検認済みの自筆証書遺言は紛失していて見つからなかったのです。このような場合は、あきらめるしかないのでしょうか。

※自筆証書遺言は家庭裁判所で検認をしてもらわないと相続手続に使うことができません。(ただし法務局の遺言書保管制度を利用している場合は検認は不要です)

検認期日調書謄本とは

実は検認が済んでいれば自筆証書遺言の代わりになるものがあるのです。

それが検認期日調書謄本です。これは自筆証書遺言を家庭裁判所で検認すると、家庭裁判所に記録が残り、その記録の謄本をいつでも請求することができるのです。

そしてこの謄本は自筆証書遺言の原本と同じように相続手続に使うことができます。

検認期日調書謄本の内容

検認期日調書に記録されている内容は、「担当した裁判官の氏名、検認期日に出頭した相続人の氏名、裁判所で陳述した内容、遺言書の外観(封が空いていたとか、字がにじんでいたとか)」などです。

この検認期日調書と一緒に遺言書原本の写しも家庭裁判所に保管されます。

検認期日調書謄本で助かった事例

最初の事例ですが、相続人は故人の妻で自筆証書遺言の内容は「全財産を妻に相続させる」というものでした。子どもがいなかったので遺言が無ければ、妻と兄弟姉妹甥姪の遺産分割になります。兄弟姉妹甥姪の数が多かったので遺産分割がスムーズにいかない可能性がありました。ですから遺言による相続手続が必要だったのです。

検認期日調書謄本のおかげで自筆証書遺言を紛失しても、無事に後から見つかった通帳の口座の相続手続が済みました。本当に助かった事例でした。

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