1月 20 2025
不動産売買の媒介契約は3種類ある 遺産整理(遺産承継)㉕
遺産承継における不動産売買
遺産承継業務は不動産や預貯金・株式などの相続手続全般を取り扱う業務です。その際に不動産の売却のサポートを依頼されるケースがあります。売却して金銭に換えてから相続人に分配される場合もあれば、特定の相続人が不動産を相続して売却する場合もあります。
不動産を売却する時の仲介の仕組み
不動産を売却する時は、通常は不動産仲介業者に依頼して買手を見つけてもらいます。意外と知られていませんが不動産仲介は成功報酬システムです。買手と条件が合って売買契約を結んで始めて仲介手数料が発生する仕組みです。契約が結ばれない限り、何人の買手と交渉しても一切料金はかかりません。
不動産仲介契約の種類
売主と不動産会社の契約のことを不動産仲介契約と言います。不動産仲介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれ次のような特徴があります。
一般媒介契約
一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。報酬は成約した会社にだけ支払います。一見、最も良さそうに見えるので素人の方は選択しがちなのですが、実はプロはあまり利用しません。なぜなら大きなデメリットがあるからです。一つがレインズへの登録義務が無いこと、もう一つが売主への進捗状況の報告義務が無いこと、他にも仲介の優先順位が下がるという現実もあります。
不動産会社の立場から考えて頂ければ理解しやすいと思いますが、一般媒介契約は、他社で成約した場合はタダ働きになるリスクがある訳です。どうしても買い手を見つける優先順位が下がってしまいます。
レインズとは
レインズは正式名称を「不動産流通標準情報システム」と言い、売り物件が出た時にレインズに登録すると、会員になっている不動産会社は全てその情報を見ることができます。かなりの数の不動産会社がレインズの会員になっていますので、登録するだけで広範囲の買手探しにつながる訳です。
ちなみにレインズは一般の方が見ることはできません。あくまで不動産会社に特化されたマッチングシステムです。
専任媒介契約
専任媒介契約は不動産会社を1社だけに絞って仲介を依頼する契約です。メリットとしては7営業日以内のレインズへの登録が義務付けられています。他にも2週間に1回以上の売主への進捗状況の報告も義務付けられています。この2つのメリットは非常に大きいので、事情をよく知っている人は専任媒介契約を選択する傾向があります。
専任媒介にすると買手を探すのも依頼した1社だけだと誤解している人がいますが、レインズに登録してもらえれば事実上ほとんどの不動産会社に物件を見つけてもらえます。一般媒介でレインズに登録されないで複数の不動産会社に依頼するより、専任媒介の方が圧倒的に多くの買手の目に触れる可能性が高いのです。
あと専任媒介契約の特徴として、他社に仲介を依頼することはできませんが、依頼人が自分で買手を探してきた場合はその買主との契約は可能です。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、専任媒介契約の特徴である自分で見つけてきた買主とは契約できるという部分を無くした契約です。つまり自力で見つけてきた相手とも売買契約はできません。それはさすがに厳しすぎると思われる方も多いでしょう。私もそう思います。個人的には専任媒介契約が最もバランスが取れていると考えます。
専属専任媒介契約のメリットとしては、一つは5営業日以内のレインズへの登録、もう一つは1週間に1回以上の売主への進捗状況の報告です。このメリットも専任媒介契約と比較して圧倒的とは言えないので、自力で見つけた相手との契約ができないというデメリットの方が大きいかなと思います。
両手と片手
不動産仲介の業界用語として「両手」と「片手」があります。両手は売主から依頼を受けた不動産会社が買手も見つけた場合、片手は買手は別の不動産会社が見つけた場合です。
不動産売買に詳しくない方が「一般媒介契約の方が良いのでは」と思ってしまう理由の一つが、不動産仲介は基本は両手だと思っていることです。確かに両手ならば複数の不動産会社に依頼した方が多くの買手が見つかるだろうと思ってしまいそうですね。
しかし実際には専任媒介契約と専属専任媒介契約ではレインズに登録しますから他の不動産会社の目に触れて、買手は別の不動産会社が見つけてきたというケースも多いです。レインズ会員の不動産会社すべてが買手を探してくれるなら、その方が良いという考え方もあると覚えておいてください。
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