4月 07 2025
建物のみの買戻特約の抹消 相続登記㉞
マンションの買戻特約の注意点
マンションの登記事項証明書(登記簿)を見ると、たまに買戻特約が「建物のみに関する」付記登記として記載されている場合があります。「建物のみに関する」付記登記とは一体何なのでしょうか。これを理解するには、まずマンションの登記の特殊性から説明する必要があります。
敷地権付区分建物
現在のマンションの登記のことを敷地権付区分建物の登記と言います。通常、日本の不動産登記は土地と建物は別々になっていて、一戸建てを売却する場合、土地と建物の両方の登記の名義を変更しなければなりません(更地にして売る場合は別です)。
ところがマンションの登記の場合は土地と建物が一体になっていて、建物の登記の名義を変えれば土地の名義も一緒に変わるようになっています。この仕組みを専門用語で敷地権付区分建物の登記と言います。
以前は無かった敷地権付区分建物の制度
とても便利な敷地権付区分建物の制度ですが昭和59年から始まったもので、比較的新しいものです。ですからマンションでも敷地権付区分建物になっていない登記もまだまだ多くあります。
敷地権付区分建物になる前は、マンションであっても土地と建物の登記が別々で、売却する場合は土地と建物それぞれの名義を変更する必要がありました。そしてこのような古いマンションに買戻特約を付ける時も土地と建物それぞれに買戻特約の登記が付けられていたのです。
買戻特約が付いた古いマンションの登記に問題が発生
昭和59年から敷地権付区分建物の登記が始まって以降、それ以前の古いマンションの登記で、土地と建物が一体化されたものもあります。そうなると困ったことが起こりました。一体化以降は、建物に買戻特約が付いていると自動的に土地にも効果が及びます。
ところが古いマンションの場合、元々土地にも買戻特約が付いているため、土地の買戻特約が二重に付いていることになってしまうのです。よって、この問題を解決するために一つの手段が取られるようになりました。
買戻特約の二重登記問題を解決するための手段
古いマンションの買戻特約の登記が、一体化以降は土地について二重になってしまう問題を解決するために、「建物のみの買戻特約の登記」が考え出されました。
これは、買戻特約が付いている古いマンションが敷地権付区分建物で一体化された時に、建物の登記には「建物のみに関する」付記登記が書かれることになったのです。この付記登記が書かれることによって、一体化した後でも建物の買戻特約については土地には効果が及ばないことになりました。土地には一体化前から元々買戻特約が付いているので二重になることは無くなったのです。
古いマンションの買戻特約の抹消
従って古いマンションの買戻特約を抹消する場合は注意しなければなりません。なぜなら一体化する前の土地の部分に買戻特約が付いてことを忘れがちだからです。
一体化以降は建物の登記に敷地権として土地も書かれているので、マンションの場合は建物の登記だけを見る習慣が根付いています。
しかし、「建物のみに関する」付記登記が付いている時は、土地の登記に単独で付いている買戻特約も抹消しないと、そのまま残ってしまい売却の時に問題になってしまいます。
従って、古いマンションの「建物のみに関する」買戻特約の登記を見つけたら、必ず土地の買戻特約の登記も抹消する必要があることを覚えておきましょう。
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