司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

10月 19 2017

相続税の生命保険控除 (相続税③)

4:48 PM その他

前にも触れましたが、生命保険は民法上は相続財産ではありません。
従って、遺産分割協議の対象にはならず、受取人に全て渡りますので遺言と同じような効果が期待できます。

しかし、税法上は相続税の対象として扱われますので、一定の控除額を超えた場合は相続税がかかります。
ややこしいですね。

知っておきたい生命保険と相続

では一定の控除額とは、いくらかと言うと、
500万円×法定相続人の数
ということになっています。
この計算のときの法定相続人の数には、相続放棄をした人も含まれるという取り扱いです。

勘違いしやすいのが、保険金受取人1人あたりに500万円の控除があると思ってしまうことです。
しかし、この考え方は間違いなのです。勘違いしたままだと損をする可能性がありますので注意しましょう。
意外と多い間違いですよ。

具体的な例で説明しましょう。
例えば、父が亡くなって、母と子ども2人が法定相続人だとしましょう。
父が契約者の生命保険が2000万円で、受取人が子ども2人だった場合、いくらの控除がうけられるのでしょうか。

500万円×2人で1000万円の控除……ではありません。
正解は、子ども2人の受取保険金額の合計が1500万円まで控除が受けられます。
なぜなら、法定相続人は3人なので500万円×3で1500万円になり、この金額は生命保険を受け取らない相続人(この場合は母)がいても変わらないからです。

このように相続には勘違いしやすい制度がいくつもあります。
勘違いしたまま生前対策や相続手続をしてしまうと非常に損をしてしまう可能性があります。これを避けるためには、素人判断せずに専門家に相談に行かれることをお勧めします。