1月 23 2018
事業承継を考えた経営者隠居信託 (家族信託(民事信託)26)
高齢になる前の対策は、任意後見と家族信託がありますが、家族信託がより良いケースがあります。
企業のオーナーが子に事業を譲るときです。
企業ならではの問題があるため、任意後見ではカバーしきれない部分があるからです。
最も大きいのは税金問題でしょうか。
家族信託ならば、そこを解決できますので、オーナーの皆様はぜひ一度家族信託を検討してみてください。
贈与税と議決権
AさんはX社のオーナー経営者で、そろそろ長男BさんにX社をまかせて隠居したいと考えているとします。
ここでまず問題になるのが、株価です。
中小企業では自社の株価の評価を低く見積もっていることもよくあります。
実際にはX社の株価が高いため、長男Bに株式の贈与や譲渡をすることが、難しくなります。
なぜかというと、贈与税の問題が発生するからです。
贈与税でも相続税でも、この「自社株」がネックになってくることは本当に多いです。
税金を払うために借入をすることは、珍しくありません。
もうひとつが、議決権の問題です。
長男Bは後継者となるには、代表取締役になるだけでは足りず、少なくとも議決権の過半数は保有しないと安心して経営ができないため、そこをクリアしなければなりません。
身内のゴタゴタで、経営が不安定になってしまうことは、絶対に避けたいところです。
この問題を解決するには、どうすれば良いのかというと、Aさんは長男Bを受託者兼二次受益者として、X社株式の全部または過半数を信託財産とする信託契約を締結するという対策を取れば解決します。
信託契約の結果
X社株式の議決権は長男Bに移るので長男は安心して経営ができます。
信託の特性として受益権(この場合は株式配当を受ける権利)はAさんから移動していないので贈与税はかかりません。
税金の問題は解決しますね。
ただ、契約のとき、Aさんが1次受益者となるような信託契約を設定するということは、注意しましょう。
また、Aさんが亡くなったら、受益権が長男Bさんに移るように信託契約を設定することにより、Aさんは生前は配当を受け取り、亡くなった後は長男Bさんが配当を受け取ることができます。
Aさんは安心して隠居ができ、理想的な事業承継が可能となるわけです。
事業の継承を考えると、この方法がベストな選択ではないでしょうか。
もちろん、家族信託契約だけ行えば良いわけではありません。
Bの他に子がいる場合は、そのための対策も打っておく必要があるでしょう。
トータルでの対策が大切です。












