司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 24 2020

富山家裁は回答書が不要 相続放棄⑯

4:31 PM 相続放棄

相続放棄の回答書とは

相続放棄の申立てをすると、一般的には申立て後しばらくすると回答書という書類が家庭裁判所から郵送されてきます。これは本人の最終意思を確認するという目的で送られるもので、本人が直筆で回答して署名押印してから家裁に返送するというスタイルになっています。

相続放棄の回答書が送られる理由

相続放棄はやり直しがきかない手続です。相続放棄をした後で「気が変わったので、やっぱりやめます」とは言えません。相続放棄の撤回は法律上、認められていないのです。
例外的に取り消しが認められる場合もありますが、極めてハードルが高く非常に難しいのが現実です。
ですから、回答書で再び本人の意思確認をして、「本当に相続放棄をして大丈夫ですね」と念を押しているのです。

回答書の内容

回答書の質問事項は家庭裁判所によって異なります。よくある質問としては以下のようなものがあります。

    「あなたは自分の意志で相続放棄の申立てをしたのか」
    誰かに強制されて相続放棄をしたのではないという確認ですね。
    「あなたが被相続人の死亡を知ったのはいつか」
    熟慮期間(3カ月)をいつから計算するかに関する質問です。この日付が死亡日から3カ月以上経っていた場合は、別途説明が求められます。
    「あなたは、どういう理由で相続放棄をしたのか」
    債務超過と言う理由が圧倒的に多いと思いますが、亡くなった親族と疎遠でもらうつもりが無いという回答もあります。

これらが代表的な質問ですが、家裁によって質問が多いところや少ないところ色々です。

(マメ知識)
債務超過とは、マイナスの財産(借金)の方がプラスの財産よりも多い状態のことを言います。相続放棄のほとんどの理由は債務超過でしょう。

ほとんどの家裁で回答書が届く

私の事務所でも全国色々な家庭裁判所に相続放棄の申立てをしましたが、ほとんどの家裁で回答書は郵送されてきます(質問の内容は異なりますが)。
しかし、富山家庭裁判所高岡支部に相続放棄の申立てをしたところ、回答書が郵送されずに、いきなり相続放棄申述受理通知書が届きました。ようするに他の家裁よりも短期間に手続が終了するのです。

(マメ知識)
相続放棄の申立(申述)は被相続人(故人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出しなければなりません。相続人の住所地ではないので注意しましょう。

富山家裁高岡支部は例外的だと思う

相続放棄の回答書は、後で撤回ができない手続なので最終の意思確認として送っているという理由があります。従って、「回答書を送らない」という富山家裁高岡支部の取り扱いは例外的で珍しいと言えます。
早くに手続が終了するというメリットはありますが、やり直しがきかない手続きであるため、より慎重になる必要があります。
しかし、どこの家裁に出すかは法律で決まっているので、富山家裁高岡支部管轄の地域で亡くなった方の相続人の相続放棄には、こういう特徴があると覚えておいた方が良いでしょう。

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