司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 30 2024

遺産分割協議書に「放棄する」と書いても相続放棄はできない 相続放棄㉑

10:20 AM 相続放棄

遺産分割協議書についての大きな誤解

遺産分割協議書は、あくまでプラスの財産の分け方について記載するものです。ですからマイナスの財産について記載しても法的な効果はありません。

分かり易く言うと、借金を請求してきた債権者に遺産分割協議書を見せても、請求を止めることはできません。遺産分割協議で借金を免れることはできないのです。
これは多くの人が誤解していることなので、よく覚えておきましょう。

相続放棄は遺産分割協議書に書くことではない

相続放棄をしたいという相談を受けた時、放棄について書かれた遺産分割協議書を作って欲しいと言われることがあります。しかし、上記でも説明したとおり、遺産分割協議で相続放棄をすることはできません。相続放棄は家庭裁判所に申し立てて認めてもらうものです。このことについて説明すると驚かれる方もいます。

相続放棄は単独でできる

遺産分割協議は法定相続人全員が参加していなければ無効になります。従って、遺産分割協議書には法定相続人全員の署名と実印による押印と印鑑証明書の添付が必須となります。

一方、相続放棄は相続人の一人から単独で行うことができます。他の相続人に知らせる義務もありません(通常は知らせることが多いとは思いますが)。相続放棄をすると法定相続人ではなくなりますから、遺産分割協議の参加資格が無くなります。

ただし、預貯金や不動産の相続手続を行う時には、相続放棄をした相続人がいることを銀行や法務局に証明しなくてはならないので、家庭裁判所が発行する相続放棄申述受理通知書を添付する必要はあります。

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