司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 16 2016

家族信託と信託銀行の「遺言信託」は別物です(家族信託(民事信託)①)

信託には大きく分けて民事信託商事信託があります。
家族信託は民事信託に含まれます。

商事信託と家族信託

まず商事信託とは、何なのでしょうか。
1番わかりやすい例をあげましょう。
金融商品の「投資信託」です。
信託銀行や信託会社などが不特定多数の人の財産を預かって投資運用をし、その手数料を得るという信託の形態です。

では家族信託とは、どういうものなのでしょう。
不特定多数の人の財産を預かるわけではありません。
特定の親族から託された財産についての管理や承継を行う信託の形態です。
様々なバリエーションがあり、依頼主の状況に応じてオーダーメードで作成が可能です。

どこが違う?信託銀行と家族信託の「遺言信託」

注意して頂きたいのは「遺言信託」という言葉についてです。
信託銀行が扱っている「遺言信託」という商品の中身は何なのでしょう。

    遺言の作成サポート
    遺言の管理
    相続が発生したときの遺言執行を行う

というものです。
正直なところ、なぜ商品名に「信託」という言葉が付いているのか疑問に思うような内容になっています。
信託銀行における「遺言信託」とは、単なる遺言の総合サポートのことを意味しているのであって、法律的な意味での信託とは関係が無いのです。

一方、家族信託での「遺言信託」とは、どういうものなのでしょうか。
遺言の中に信託契約を書き込んでおいて、相続発生と同時に信託契約が発効するように遺言に残しておくものです。
文字通り、遺言による信託契約なので、本来は遺言信託とはこの意味で使うべきでしょう。

このように同じ遺言信託という言葉を使っていても、信託銀行と家族信託では意味が全く違いますので注意が必要です。
信託銀行から「遺言信託」をすすめられたら、このことを思い出しましょう。

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