司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 24 2016

信託した財産はどうなるのか? (家族信託(民事信託)⑥)

信託の最も大きな特徴は、財産の名義と権利が分かれることです。
この特徴によって、他の制度では出来なかったことが可能になるのです。

信託された信託財産の「名義」は受託者※になります。
信託財産にかかる「権利」(経済的利益)は受益者※のものとなります。

※ 受託者は財産を預かって管理する人のこと。委託者とは財産を預ける人のこと。
※ 受益者とは財産から生まれる利益を受け取る人のこと。

受託者は信託法の規定及び信託の目的の範囲内で、信託財産を名義人として管理・運用・処分することができます。
たとえば、受託者は信託された不動産の賃貸借契約、管理契約、売買契約などについて、名義人として行うことができます。

ただし、信託財産から発生する経済的利益である賃料や売買代金については受益者のものとなるのです。

たとえば、

    委託者→認知症の親
    受託者→財産を管理する子
    受益者→認知症の親

のパターンですと、どうなるのでしょうか。

家族信託契約により、認知症の親の代わりに、子が財産を管理し、その収益を親の生活費や施設入居費等に使う、ということができます。

認知症になったあとですと、家庭裁判所の成年後見制度を利用するしかなくなるため、このようなことは、実現不可能になります。
なんとかなるだろうと、甘く考えていると、あまりにも制限がかかるので、驚かれると思います。
何度も成年後見人を経験したので、わたしはよくわかっています。
後で後悔しないためにも、早めに家族で話し合っておくことを、おすすめします。