9月 06 2016
誰が信託を終わらせるのか?②(家族信託(民事信託)⑬ )
お話の前に、おさらいから。
委託者、受託者、受益者が、何度もでてきますね。
混乱しないように確認しておきましょう。
信託が終了するのは、どういうときでしょうか。
信託が終了するのは、信託行為で定めた事由や信託法の規定による終了事由が発生したときです。
また委託者と受益者の合意により任意に終了させることもできます。
信託契約の合意は、誰トクで考えよう
信託契約を設定する時は、委託者と受託者の間で契約は可能であり、受益者は契約に関与する必要はありませんでした。
しかし、終了させる時は、委託者と受益者の合意で可能となり、受託者の同意は不要です。
ほんとうに複雑でややこしいですね。
なぜ、受託者の同意はいらないのでしょう。
受益者は信託によって利益を受ける存在です。
利益を受けるときは、信託の設計の段階で同意が不要です。
利益を受けるのだから、まさか断るなんてことしませんよね、ということです。
では、信託終了のときはどうでしょう。
信託が終了したら、受益者は、利益が得られなくなりますよね。
だから合意が必要という構造になっている訳です。
一方受託者は、信託が終了すればどうなりますか?
管理責任から解放されるのです。
だから同意が不要と考えられるのですね。
自由度の高い信託で注意すること
信託は、自由度が高いです。
たとえば、信託行為(信託契約等)の中で、信託を終了させる権限を誰に与えるかを自由に規定することが可能です。
「受託者と委託者の合意により終了することができる。」とか
「受益者の意思表示により信託を終了することができる。」といった形で規定できます。
注意が必要なのは、遺言による信託 の場合です。
遺言による信託の効力が発生したときには、委託者(=遺言者)は亡くなっています。
さらに遺言による信託は、原則として委託者の地位は相続によって承継されないとされているため、委託者が存在しないこととなります。
そうすると、委託者と受益者の合意を得ることが出来なくなってしまいます。
これでは合意による終了が不可能となってしまいます。
誰の権限で終了できるかの規定を置いておかないと、後で困った事態になる可能性がありますので、遺言による信託を考えている場合は、この点を検討しておく必要があるでしょう。
信託を任意に終了させる規定を置くときは、よく検討する必要があります。
任意に信託を終了しやすくすると委託者の考えに反して信託を終了させられてしまう可能性もあります。
逆にあまりにも信託を任意に終了しにくくしてしまうと、当事者全員が信託を終了させたいと思っても終了させることが事実上できないという事態が発生しかねません。
信託の目的や事情などによって、終了を容易にできるようにするのか、あるいは終了しにくくするのかを検討する必要があります。
このように信託の設計というのは、簡単ではありません。
簡単ではないですが、その分、今まではできなかったようなことが、できるようにもなります。
それぞれの家族の事情によって個別に考えていく必要があるでしょう。
基本はオーダーメイドだと思ってください。
じっくり時間を取ってコンサルティングしてくれる事務所に依頼することをお勧めします。
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