司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

11月 15 2016

自筆証書遺言を開けてしまったら(遺言④)

5:50 PM 遺言

自宅から亡くなった方の自筆証書遺言を発見した!
このような場合、誰でも一刻も早く中身を見たいと思うのが人情でしょう。
私も、法律家という仕事をしていなかったら、同様の場面で間違いなく開けようとしたと思います。

しかし、法律では、自筆証書遺言は開封前に家庭裁判所の検認を受けることを求めています。
でも、こんな疑問を持ったことはありませんか。
「そうは言っても、人間の自然の感情として開けてしまう人も結構いるんじゃないか。そんな時、どうするの」と。

開けたら無効?自筆証書遺言

結論から言うと、開けても、それだけで無効になる訳ではありません。
書かれている遺言の内容と形式が法律にのっとっているのなら、遺言自体は有効です。
ですから、「開けちゃった。しまった無効だ。もう意味が無い。」と考えて遺言を捨ててしまったりしないように注意しましょう。

この場合、開封された状態、あるいは裸の状態で、家裁に持って行って検認を受けることになります。
家裁は開封されていても検認はしてくれます。

では、開封されている遺言が有効だとすると、家裁の検認前に開封してしまうことに何も問題は無いのでしょうか。

相続人から異議が出されることも

実は全く問題が無い訳ではありません。
遺言自体は有効で、その遺言に従った相続手続を進めても構いませんが、法定相続人の中で遺言の内容に不満を持つ人がいる場合、その相続人から異議が出される可能性があります。
例えば、「検認前に開封されているなんておかしい」とか、「何か書き換えたんじゃないか」とかです。

不満を持った相続人が弁護士に相談に行ったりすると、場合によっては、「開封されているなんて、その遺言は中身が怪しい。無効の可能性がある」と訴訟を起こされる場合もあります。

結局1番良いのは公正証書遺言

訴訟を起こされた場合、筆跡鑑定などが行われて決着がつくことになりますが、例え勝っても大変なことに違いありません。

知らずに開けてしまった場合、あるいは故人が最初から封をしていなかった場合は仕方がありません。
それだけで無効になる訳ではないので、訴訟リスクも覚悟の上で、故人の意思を尊重すべきでしょう。

このブログを読んだ方は、自筆証書遺言を見つけた場合、少しでもリスクを減らす為に、開封前に家裁の検認を受けましょう。

あと、これから遺言を書こうと思っている方は、自筆証書遺言には上記のようなリスクが、どうしても残るので、出来る限り公正証書遺言にすることをおすすめします。

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