司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 18 2017

遠方の戸籍を取得するときの注意(遺産整理③)

戸籍を取り寄せるときの正しい請求先は?

過去に転籍をされた方が亡くなった場合、出生まで遡らなくてはならないため、場合によっては遠方の戸籍を取る必要が出てきます。
しかし、戸籍を取る為だけに遠方まで出かけていくのは交通費の無駄になってしまいますので、多くの場合、郵送で取得することになるでしょう。

遠方の役所に戸籍を取り寄せる場合は、平成の大合併と言われた市町村合併に注意する必要があります。
日本全国、非常の多くの自治体が合併によって併合されましたので、戸籍の地名には既に役所が無いという事態になっているケースも珍しくないからです。

まず、自分が請求しようとしている自治体が存在しているかどうかを確かめて、存在していなかった場合、どこの自治体に吸収されたのかを探す必要があります。
ここまでやって、始めて正しい請求先が分かります。

古い戸籍収集はなぜ大変なのか

他にも、転籍が多い方が亡くなった場合、すべての戸籍を集めるのにかなり時間がかかるということも覚悟しておきましょう。

よく、「戸籍なんか簡単に取得できる」と勘違いされている方がいらっしゃいますが、実は相続の戸籍収集はプロでも大変な作業です。

簡単だと思われている方は、現在戸籍の取得のことを想像されているのでしょう。
現在戸籍は、現代語で書かれていて機械で印字されていますので見やすいですし、1通だけなので確かに取るのは簡単です。

しかし、相続の戸籍は出生まで遡る必要がありますので、古い戸籍まで全て集める必要があります。
事前に何通になるかは分かりません。
一つ遡った戸籍が届いて、その前の戸籍の請求先が判明するからです。
高齢者が亡くなった場合は、戦前の戸籍を取得する必要も出てきます。

戸籍は古くなると手書きになりますので慣れていないと非常に読みにくくなります。
また、戸籍法は何度も改正されていて、その度に形式が変更されています。
どこに何が書いてあるかが、改正のたびに変わっていて、慣れていないと見つけるのが大変です。

更に戦前の戸籍になると、家族制度そのものが現在と全く違いますから、知識が無いと何が書いてあるのか分からなくなる恐れがあります。
戦前は、家督相続の時代なので、結婚しても新しい戸籍が出来る訳ではありません。
一つの戸籍に複数の家族が同時に入っています。

これらの戸籍を一つ一つたどっていって戸籍収集をしていくのですが、転籍が多いと、時間がかかります。
戸籍を郵送で請求して、それを見て他の自治体にも戸籍があることが判明し、その後、他の自治体にまた郵送で請求して、の繰り返しになります。

相続手続きの始まりは戸籍収集

戸籍が集まらないと、銀行預金や不動産の名義変更は出来ません。
また、銀行は相続が開始すると預金口座は凍結され、引き出しが出来なくなります。
引き出すには相続人を確定する必要があり、そのためには戸籍が必要です。

亡くなった方や他の相続人の転籍が多い場合、戸籍集めに時間がかかります。
ということは同時に、解約や名義変更と言った相続手続にも時間がかかるということを覚えておくと良いでしょう。

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