司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

3月 24 2017

結婚20年以上で、配偶者の相続に新たな優遇案(遺産分割①)

4:50 PM 遺産分割

結婚20年以上のご夫婦に朗報です!
相続制度に関する法律の変更が新たに検討されています。
これには、戦後70年以上が経過して、今までの法律が時代に合わなくなってきているという背景があります。
今回は、配偶者の相続に関する新たな優遇案をご紹介しましょう。

結婚20年以上で住宅贈与の場合

法務大臣の諮問機関である「法制審議会」の相続部会において新たに提案がなされました。「結婚から20年以上が過ぎた夫婦の場合、配偶者が生前や遺言により居住用の住宅を贈与されたときは、遺産分割で優遇される」というものです。
相続部会では賛成者が多数だったようで、いずれ法制化される可能性が高いと考えられます。

新しい案では、結婚から20年以上の夫婦で、配偶者が居住用の不動産(建物・土地)の贈与を受ける場合が対象になります。
贈与した人が亡くなり、相続人同士で遺産分割が行われた場合、贈与された居住用の不動産については遺産分割の財産に含めないという形になります。

高齢の配偶者に対する配慮

今までの法律ですと、居住用の不動産以外にめぼしい財産が無い場合、困ったことが起きていました。
配偶者以外の相続人が遺産分割協議の席で換価分割を主張したとします。
財産のほとんどが不動産だった場合には、こういうケースも少なくありません。
そうすると、財産を相続人で分けるためには、居住用不動産を売却しなくてはならなくなります。
そのため、高齢の配偶者が長年住み慣れた家から追い出されるという不都合が生じるケースが少なからずあったのです。

今回の優遇案では、このような事態を防ぐ目的があると思われます。
ただし、自動的に配偶者が優遇される訳ではありません。
生前贈与や遺言などの方法により、法的にはっきりとした形で贈与がされていることが条件になっているので注意が必要です。
(この法案が通った場合、配偶者への生前贈与や遺言が増加することが予想されます。)

まだ成立した訳では無いので、若干の修正がかかる可能性がありますが、現行の遺産分割制度に見直しがかかる可能性は高いでしょう。

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