司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

4月 28 2017

相続放棄の期間と借金の行方(相続放棄⑦)

1:26 PM 相続放棄

相続放棄の期間と借金の行方(相続放棄⑦)

相続放棄ができる期間は、被相続人が死亡したのを知ったときから3カ月以内、というのは結構有名になっていて、かなりの人がご存知だと思います。
しかし、詳しく知らないと意外な落とし穴があるのです。

基本は3か月以内

例えば亡くなった方が債務超過(借金の方が多い状態)で子どもと配偶者が相続人の場合、子どもと配偶者の両方が3カ月以内に相続放棄をしたとしましょう。
このとき、被相続人の両親がご存命の場合、借金は両親に相続されてしまいます。
これを防ぐためには両親も相続放棄をする必要があります。
では、両親の相続放棄は、いつまで可能なのでしょうか。

この問題は、勘違いされている人が多いので注意が必要です。
多くの人が、両親も、配偶者と子どもの相続放棄と同様の期間だと思っているようです。
現実には、両親の相続放棄は、子どもの相続放棄が家庭裁判所に認められてから3カ月以内にすればOKです。

理由は、子どもの相続放棄が認められるまでは両親は相続人ではないからです。
子どもの相続放棄の申述が家裁で受理されて初めて両親は相続人となりますので、そのときから3カ月となるのです。
むしろ、子どもの相続放棄と一緒に両親の手続をしても、家裁から拒否されます。
現時点で相続人でない人の相続放棄は出来ないからです。

もちろん、子どもがいない場合は両親は初めから相続人ですから、亡くなったのを知った時から3カ月です。
このとき、被相続人の兄弟姉妹がいる場合は、両親の相続放棄が認められてから3カ月以内に兄弟姉妹の相続放棄をする必要があります。

転々とする借金の行方

相続放棄の場合、第一順位(子)の相続放棄をすると第二順位(両親)に、第二順位の相続放棄をすると第三順位(兄弟姉妹)に、借金が移っていきますから、先に相続放棄をした人は、次の順位の相続人に連絡をすることが大切です。
これを怠ると後で大きなトラブルになりますので注意しましょう。

例えば、税金の滞納があった人が亡くなって、その後、子、両親と借金が移り、ついに兄弟にまで税金の請求がきた事例があります。
まさか自分のところまでは借金はこないだろうと、たかをくくっていると、実際に請求されてびっくりすることになるかもしれません。
心の片隅に、とどめておいてください。
請求が来ても相続放棄は可能ですが、油断して3か月を過ぎないようにだけは、注意しましょう。

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https://www.hashiho.com/inherit/renounce/