司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

相続登記(名義変更)

12月 02 2015

「敷地権の無い区分建物」の登記事項証明書の取得方法(相続登記⑤)

敷地権の無い区分建物とは、どういうものでしょう。
その登記はどうなっているのでしょうか。
登記事項証明書を取得するときの注意事項もあります。
見ていきましょう。

マンションで、敷地権の表示がある場合

マンションのことを不動産登記法では区分建物と呼んでいます。
区分建物の場合、登記の仕方が一戸建てとは異なり、登記事項証明書(登記簿)を見れば、すぐに分かるようになっています。

具体的には、「専有部分の建物の表示」という項目があり、全体の中の一部を所有していることが表示されているのです。
(一戸建てには、この表示はありません)

更に、区分建物の場合、「敷地権の表示」がある場合があります。
これは必ずある訳ではありません。

敷地権の表示がある場合は、一戸建てのように土地と建物に登記が分かれていません。
土地が建物にくっつく形で、建物の登記に土地の登記も含まれているのです。
従って、建物の登記事項証明書を取れば、土地の登記事項証明書は不要となります。
(不動産登記法では、「敷地権付区分建物」と呼びます)

マンションで敷地権の表示が無い場合

一方、区分建物であっても敷地権の表示が無い場合は、土地と建物の両方の登記事項証明書を取得する必要があります。
この時に、ちょっと、ややこしいことが起こります。

区分建物の土地の場合、当然、マンションの住人全員が、その土地の所有者となっています。
この状態を「共有」と呼び、共有している人を「共有者」と呼びます。
大規模マンションの場合は、かなりの人数の共有者がいることになります。

敷地権の表示の無い区分建物の土地の登記事項証明書を、何の指定もせずに取得すると、これらの共有者全員分の情報が記載されたものが出てきてしまいます。
大規模マンションの場合は相当に分厚い束になり驚く人も多いようです。

中身は共有者全員の住所・氏名、いつ購入したか、購入した時の借入金額、担保を付けている金融機関の名称などです。

ここまで読んで「そんなの個人情報の流出じゃないか」と思った人は、残念ながら早合点です。
上記の情報は公開が義務付けられた情報なのです。
不動産登記法では、「登記事項証明書は誰でも取得することが出来る」と規定されているからです。

もともと、不動産登記とは、買主が不良物件をつかませられないように、購入する前に不動産の情報を入手する為に整えられたものです。
不動産は高額な商品ですから、何かあったら取り返しがつきません。
それで常に情報を公開して安心して取引できるようにしたのです。

必要な部分だけ登記事項証明書を取得する方法

司法書士が敷地権の無い区分建物の登記を引き受けた時は、通常、依頼者以外の部分は記載されていない土地の登記事項証明書を取得して渡します。

例え公開が義務付けられていると言っても、わざわざ第三者の情報が満載されたものを渡すのには抵抗があります。
また、何ページにもなる分厚い書類だと依頼者の情報を探すのも一苦労で、分かりにくいというのもあります。
窓口で特定の所有者を指定して取得するのは可能なのです。

そこで問題になるのが、最近、増加してきたオンライン申請です。
オンライン申請は費用も安く窓口に出向く必要も無いので非常に便利です。
しかし、欠点もあります。
それが、「敷地権の無い区分建物の土地の登記事項証明書を取る時に特定の所有者の指定が出来ない」というものです。
つまり、オンラインで取ると必ず共有者全員分が記載されたものが届いてしまう
のです。

従って、特定の所有者のものだけを取ろうと思ったら、窓口で申請するか、郵送申請するか、しかありません。
しかし、どちらもオンライン申請よりも100円高くなります。

情報が少ない薄い方が高いなんておかしいと思った方もいるかもしれません。
発行する側からすれば、一人だけ抜き出す方が事務作業としては手間がかかる訳です。

法務省は、いずれオンライン申請でも、特定の所有者を抜き出して申請できるようにしたいとは言っていますが、目途はたっていません。
今のところは、窓口か郵送の申請で取得するしかないのが実情です。

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7月 10 2015

登記識別情報のシールはがれ、紛失の対処法(相続登記④)

登記識別情報の失効という手続

登記識別情報の目隠しシールが気づかないうちにはがれていた、あるいは登記識別情報の記載された紙を紛失してしまった、というような場合、どうしたら良いでしょうか。

こんな場合に備えて、登記識別情報には「失効」という手続が用意されています。
登記識別情報を失効した場合、そのパスワードは登記には使えなくなります。
ようするに無効になるのです。
クレジットカードを失くした時の「紛失の届出」のようなものだと言えば分かり易いでしょうか。

登記識別情報の再発行はありません!

しかし、クレジットカードとは異なる点が一つあります。
それは再発行が出来ないということです。どんな理由であれ、法務局は登記識別情報の再発行を認めていません。

これは恐らく、もし再発行を認めてしまったら、大きなトラブルになるからでしょう。
免許証などを偽造して本人になりすまして再発行を申請してきた場合に、法務局が「なりすまし」を見抜けなかったら大変です。
何しろ、不動産ですから金額も高額になりますので、謝って済む問題ではなくなります。

失効後、次に登記するには?

では失効させた場合、次に登記をする時には、どうすれば良いのでしょうか。

これについても対策が用意されています。
司法書士に「本人確認情報」というものを作成してもらうのです。
これが添付されていれば、「登記の専門家である司法書士が間違いなく本人確認をした」ということで、法務局は登記手続を受け付けてくれます。

しかし、本人確認情報は司法書士にもリスクがあります。
登記識別情報を持っていない人に対して、不動産の権利者であることを保証する訳ですから、もし間違っていたら当然、司法書士の責任になります。

ですから、本人確認情報を作成する場合、追加の費用を頂くのが通常です。
これは責任が重い立場なので、ご理解頂きたいと思います。
また、登記識別情報よりも慎重な審査が法務局でされますので、通常よりも時間がかかることも覚悟しておいて下さい。

例え時間と費用が余分にかかったとしても、他人に見られた可能性がある登記識別情報を放置しておくことは、おすすめできません。
不動産という高額の財産を安全に維持する為にも、心配だと思ったら迷わず失効手続をしましょう。

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7月 09 2015

登記識別情報とは? 昔の権利証との違い(相続登記③)

不動産登記法が改正されてから、新しく登記を行うと、従来の「権利証」とは異なり「登記識別情報」というものが発行されます。
今回は、まだ見慣れない人も多いと思われる登記識別情報について説明しましょう。

権利証から登記識別情報へ

長らく日本の不動産登記では、所有権を証明する重要書類として「権利証」が使われてきました。
権利証とは正式名称を「登記済証」と呼び、不動産を譲ることを「権利証を譲る」と表現する場合もあり、金庫などに大切に保管していた人も多かったのです。
(厳密には、権利証を持っているだけでは所有権の証明にはなりませんが、一般的にはそのように考えられていますね。)

ところが長く親しまれていた権利証が、不動産登記法の改正により発行されなくなりました。
その後は、新しく「登記識別情報」という名前の1枚の紙が発行されるようになりました。

実は、この登記識別情報は、従来の権利証とは大きく性質が異なっています。では何が違うのでしょうか。

その違いを理解するためには、まず何故、権利証が重要な書類なのかの説明をする必要があります。

売買、借入時の必要添付書類としての権利証

不動産の権利を売買で他人に移転する場合、所有権移転という登記手続が必要です。
金融機関から金を借りて不動産を担保に入れる場合も、抵当権設定という登記手続が必要です。
その手続をする際に、申請する法務局に対し必ず権利証を添付書類として提出しなければなりません。
権利証が添付されていなければ、登記は却下されてしまいます。

権利証を持っていなければ、他人に売ることができない、金を借りて担保に入れることも出来ません。だからこそ権利証は重要書類だったのです。

これが登記識別情報になった場合、どのように変わるのでしょうか。

登記識別情報の注意点!重要なのは、紙ではない!

登記識別情報とは「紙に書かれた12桁のパスワード」です。重要なのは発行された紙ではなくて、パスワードそのものなのです。

従って、売買による所有権移転登記や、担保に入れるための抵当権設定登記の際に必要なのは、パスワードであって紙ではありません。
ここが最も大事なところです。

ようするに、登記識別情報の場合は、紙が手元に置いてあっても、そこに書かれていたパスワードを他人に知られてしまったら、取られたのと同じことになってしまうのです。

「何と恐ろしいことだ」と思った人も多いでしょう。
しかし、一応、予防策があります。
それは、発行された紙には、パスワードが書かれた部分に特殊なシールが貼ってあって読めないようになっています。

そのシールは一度はがすと、二度と貼れないように特殊な加工がしてあります。
従って、次に登記手続をするまでは貼ったままにしておけば、見られる心配はなくなります。
もし、はがれていれば、それは誰かが見たということが分かるようになっているのです。

では、万が一、はがれていたのを見つけたら、どうしたら良いのでしょう。それは、次回に説明したいと思います。

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7月 07 2015

2次相続の相続登記は、遺産分割協議書の工夫が必要(相続登記②)

2次相続とは、手続前に相続人が亡くなってしまうことです。
これが発生すると、非常にややこしいことになる可能性があります。
しかし、そんな場合でも例外はあります。ご紹介しましょう。

私の事務所で受けた相談です。
父親が亡くなった後、名義変更をしないで放っておいた不動産がありました。
そのうちに母親も亡くなってしまって、「さすがにまずいかな」と思って名義変更の相談に来た人がいました。

この場合、本来ならば、

    一旦、父親の相続登記をする
    その後、母親の相続登記をする

というのが、自然な流れです。
ただし、このやり方だと手間も時間も費用もかかります。

しかし、今回紹介した事例の場合、ある条件を満たすと、1回の相続登記で手続が済んでしまうことがあるのです。
もし1回でできれば、時間も早いし費用も安いですから、その方が良いですよね。

ただし、通常の相続登記とは異なり、遺産分割協議書にちょっとした工夫が必要です。
定型的な協議書のままでは法務局の審査は通りません。

また、添付書類に関しても、取得すべき戸籍の量が増えます。
ただでさえ、相続登記は添付する戸籍の量が多い手続です。
それに加えて、母親の「出生から死亡までの全ての戸籍」が必要になります。

本来、2回で行うべき手続を1回で行う訳ですから、特殊な手続には違いありません。
確かに時間と費用は節約できますが、ある程度の手間はかかるということは知っておいて下さい。

条件に合わなかった場合は、当然、2回で行うことになります。
余分に時間や費用もかかることになります。
条件に合うかどうかは、偶然に左右されます。

ごくまれに、故意に相続登記を遅らせることを考えている人がいます。
それはリスクが大きいのでおすすめしません。
リスクを避けるためにも、名義人が亡くなったら出来るだけ早めに相続登記をしましょう。

>>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<

11月 25 2014

相続登記を放置していたら、費用と時間が何倍にも!(相続登記①)

身内の誰かが亡くなると、真っ先に気になるのは、相続税のことです。
相続税の申告は、相続開始(亡くなったとき)から10か月という期限があるからでしょう。
しかし、気にしなくてはいけないのは、相続税のことだけではありません。

不動産の名義変更、いわゆる相続登記を放置していたら思わぬ費用と時間がかかってしまうことがあります。

目次

相続登記を放置した具体例

父は既に他界していて、母が亡くなりました。
残されたのは子ども二人(姉妹)です。
遺産分割協議もしていませんし、相続登記は放置していました。

問題はここからです。

姉妹のうち、妹が亡くなってしまいました。
そうするとどうなるのでしょうか。

新たな法定相続人が現れる

姉妹のうち妹が亡くなると、妹の夫と子どもが新たに法定相続人になります。
最初は、姉妹二人だけだったのに、これだけでも複雑になりました。
しかも姉は、妹の夫や子どもとはあまり親しくしていませんでした。
面識がほとんどなかったのです。

すると、どういうことが起きるのでしょう。

妹の夫や子どもにとっては、遺産がどれだけもらえるのかということだけが、興味の対象になっていることがあるのです。

遺産分割協議がまとまらず、調停を申し立てる

遺産分割協議書を作るには、実印と印鑑証明が必要です。
ここで、妹の夫や子どもが“ごねる”ことが起こり得ます。
遺産分割に同意しないなんてこともあります。
場合によっては、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになる可能性すらあるのです。

母が亡くなった、最初の段階で、相続登記を済ませておけば、ここまで複雑なことにはなりません。
放置していたばっかりに、費用も時間も余分にかかってしまいます。
人生は何が起きるかわからないのです。

不動産の名義変更、相続登記は速やかに済ませておきましょう。

>>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<

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