司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

相続登記(名義変更)

1月 19 2018

遺産相続で配偶者を優遇する規定の新設 (相続登記⑭)

現在、政府が進めている民法改正要綱案によると、遺産相続における配偶者優遇措置が強化されることになりそうです。

被相続人(亡くなった人)の配偶者が、これまで住んでいた家にそのまま住み続けられるように配偶者居住権という権利を設定できるという、法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出した内容となっています。

総務省の全国調査によると、2人以上世帯の家計資産に占める不動産の割合は全国平均で約66.5%になります。
子どもがいる場合の配偶者の法定相続分は2分の1です。
法定相続で遺産を分割した場合、現状では、子どもの取り分をねん出するため、自宅を売却する必要に迫られるケースが多くなっており、配偶者が住み慣れた家を追い出されることで問題になっていました。

  • 配偶者居住権
  • そこで新しい要綱案では、住んでいる家に限って所有権とは別に「配偶者居住権」という権利を新設。
    この権利を設定することによって、他の相続人が家の所有権を持っていても、配偶者は家に住み続けることが出来るようになる、というものです。

    この際、配偶者居住権は家の評価額よりも低くなるので、配偶者が法定相続分で相続しても、住んでいる家を失わない上に、現金・預貯金を相続できるケースが増えると見込まれています。

    配偶者居住権の評価額は住む年数などに応じて変わります。
    また、権利を行使するためには設定の登記が必要となります。
    相続登記と一緒に依頼するのが、自然な流れでしょうか。

    他にも、結婚後20年以上経った夫婦に限り、遺言による遺贈または生前贈与された居住用の家は遺産分割の対象から外せる規定も盛り込まれました。

  • 仮払い制度の新設
  • また相続開始後に預貯金が凍結され、葬儀費用などを相続人が立て替えなくてはならない問題を解決するために、遺産分割前に相続人が預貯金を引き出せるようにする仮払い制度も新設されました。

  • 被相続人の介護について
  • さらに、被相続人の介護などをした相続人以外の親族が、相続人に金銭を請求できる規定も盛り込まれています。
    これは、被相続人と同居していた長男夫婦の場合、長男の妻が被相続人を介護していたときなどが該当するでしょう。

    常々、問題になっていたことなので、画期的な改正と言えるでしょう。

    主だったものはこのくらいですが、まだいくつかあります。
    民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

    法案は今月から始まる通常国会に提出される見通しで、早ければ今年度中には成立する可能性があります。今までの相続制度を大幅に変える規定が多く盛り込まれているため、国会の成り行きを注目していきたいと思います。

    相続登記について詳しく知りたい人はこちら
    遺産分割について詳しく知りたい人はこちら

    12月 25 2017

    空き家問題は、なぜ起こるのか(相続登記⑬)

    近年、日本では空き家のまま放置される家が増加していて問題になっています。
    空き家問題とは、放置された空き家を自治体等が処分しようと思っても、思うように処分できない状態になっていることをいいます。

    景観の悪化や、不審者の住み付き、崩壊による近隣住民への被害も聞いたことがあると思います。
    近くにこのような空き家があったら、何とかして欲しいと思いますよね。

    新聞やテレビニュースでも話題になっている空き家問題ですが、そもそもなぜ空き家問題が起こるのでしょうか。これについて考えてみましょう。

    特定できない持ち主

    普通に考えると、持ち主のところに行って話をつければ良いように思いませんか。
    空き家のまま放置されるような物件は、持っていても収益にはならないような物件ですから、持ち主にとっても処分することは、そんなに悪い話ではないはずです。
    収益にならない物件を持っていても、毎年の固定資産税を払うだけ無駄ですから。

    ではなぜ問題になっているかと言うと、それは持ち主が特定できないからなんです。

    持ち主が特定できないとは、どういうことでしょう。
    それは相続登記をしないまま長期間、放置した結果、相続人が膨大に増えてしまい、生死や居場所が不明な相続人が何人も現れるという事態に陥っているということなのです。

    物件を処分する為には、すべての所有者の同意を得なければなりません。
    これが10人、いえ、それ以上になっているような物件が、日本中のあちらこちらに存在しています。

    相続放棄を放置した例

    具体例で説明しましょう。
    最初の相続で子ども3人が法定相続人だったとしましょう。このとき、相続登記をしないまま、子ども3人が死亡したとすると、子ども3人の相続人に所有権が移ります。

    例えば、子ども3人それぞれに配偶者と子ども2人がいたとしたらどうなりますか?
    相続人はそれぞれ3人ですから、3人×3人で9人が相続人になります。
    この時点で、既に9人です。
    この後、同様にして増えていくわけです。
    もちろん、この間に亡くなる人もいますが、一方で結婚や出産で相続人が増えていくことも十分考えられますね。

    更に相続登記をせずに放置していた場合、そのうち、生死が不明な所有者や、居場所が不明な所有者が出てきてしまうのです。

    こうなってしまうと、空き家を売却して処分しようとしても、すべての所有者の同意を得るのは極めて難しい作業になります。従って、崩壊して危険になっているような空き家が増えていくという大変な事態になってしまうのです。

    売りたくても売れない

    政府も重い腰を上げて対策を取ろうとしています。相続登記を放置しないように、新しい仕組みを検討していると聞きます。
    ひょっとしたら、相続登記を放置した場合に何らかのペナルティーが課せられるような制度が出来るかもしれません。
    そのくらい、空き家問題は深刻なのです。

    不動産売買には、売買契約が必要です。契約書には売主の署名押印が必要です。登記を放っておいたがために売主が特定できなければ、売買契約書に署名押印できないですよね。

    さらに、売買には登記申請も必要です。
    登記を放っておいたら、現状、誰が所有者なのか不明、という状態になりかねません。
    その状態で、不動産を買う人はいませんよね。
    所有者全員が特定できないために、売りたくても売れないという物件になってしまうかもしれません。
    この記事を読んでくださった皆さんは、相続登記を長年放置したりしないようにしてください。

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    12月 01 2017

    法定相続分での相続登記4つのポイント(相続登記⑫)

    相続登記をする場合、圧倒的に多いのは遺産分割協議をしてから、協議書を添付して行う相続登記です。
    そして、次に多いのが遺言による相続登記です。

    もう1つ、相続登記にはパターンがあり、それが法定相続分による相続登記になります。これは件数としては他のパターンよりも少ないです。なぜ少ないのか、その理由についてご説明しましょう。

    法定相続分の相続登記4つのポイント

    法定相続分による相続登記には大きな特徴があります。
    それが、法定相続人のうち1人からでも申請することが出来るという点です。例え相続人の間で話がまとまっていなくても、そのうちの1人から申請することが可能なのです。(もちろん、法定相続人全員が申請人になって申請することも可能です。)

    一見、便利そうにみえる特徴ですが、件数が少ないのには、様々な理由があります。
    順番に紹介していきましょう。

    1. 共有者が多いため売りにくい
    2. 法定相続分の登記をすると、その不動産は法定相続人全員の共有になります。すると、不動産売却の際には、共有者全員の同意が必要になります(具体的には全員分の実印と印鑑証明が必要です)。
      もちろん全員が同意すれば売却は可能ですが、1人でも売却に消極的な共有者がいると売れなくなってしまいます。

    3. 相続人間でトラブルが起こる
    4. 法定相続人の一人から申請した場合、他の相続人が知らない間に相続登記が行われてしまうことになるので、そのことで相続人の間でトラブルが起こる場合があります。時には、他の相続人が遺産分割調停などを起こして、登記の変更を求めてくる可能性があります。
      (変更が認められるかどうかは、家裁の判断となります。「登記はそのまま」という判断になる可能性もあります。)

    5. 登録免許税は全員分を支払う
    6. 法定相続人の1人から申請した場合でも、相続登記にかかる登録免許税は全員分を支払う必要があります。誤解されることが多いのですが、1人から申請した場合でも、1人分の登記がされる訳ではありません。
      全員分の登記を1人で行えるということなのです。

    7. 登記識別情報が発行されない
    8. 一般の方が最も気づきにくいポイントしては、法定相続人の1人から申請した場合、申請しなかった他の相続人には登記識別情報(昔の権利証に当たるもの)が発行されません。これが次に売却するときに注意すべき点になります。

      売却の際には、全員分の登記識別情報が必要ですが、提出できない共有者がいる場合は、その人に関しては司法書士に本人確認情報を発行してもらう必要があります。その際に追加費用がかかります。(法定相続人全員で申請した場合は、全員に対して登記識別情報が発行されます)

    上記のように、法定相続分の相続登記には注意すべき点があります。
    ただし、法的には可能な登記なので(一人から申請する場合も含めて)、申請自体は問題ありません。もし希望される場合は、注意点に対して充分に納得して行うようにしましょう。

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    11月 01 2017

    戸籍の郵送申請と定額小為替(相続登記⑪)

    相続登記の必要書類の中で最も手間がかかるのが、被相続人の出生から死亡までの戸籍であるということは、このブログでも何回かご説明してきました。

    出生から死亡までの戸籍について

    被相続人の戸籍を遡っていくと、転籍をしていることが良くあります。転籍に関しては、相続人も全て認識しているケースは稀で、取得して見たら気付いたというケースがほどんどです。

    転籍先が遠方である場合は(北海道や九州などというケースも珍しくありません)、戸籍取得の為に交通費を払う人はいませんので、通常は郵送申請になります。この郵送申請が結構やっかいなのです。

    まず、相続の特徴として、申請する段階では出生までの戸籍が何通あるか分かりません。仮に役所に電話しても、「申請して頂かないと通数は分かりません」と言われてしまいます。従って、申請書の書き方に工夫がいります。

    また、戸籍の郵送申請の場合、役所の手数料は定額小為替で支払わなくてはなりません。そのようにルールで決まっています。

    定額小為替について
    定額小為替とは、郵便局で発行してもらう少額の為替のことで、受け取った人が郵便局で換金できる仕組みです。

    定額小為替の種類は金額によって細かく分かれていますが、1枚あたり100円という結構高い手数料が取られます。小為替には50円という額面もありますが、50円の小為替でも手数料は100円なのです!
    組み合わせを工夫しないと、手数料が結構高くなってしまいますね。
    今後は、役所も支払い方法の電子化などに注力していただきたいと思います。
    予算は厳しいのでしょうが……。

    ここで先ほどの問題が再び起こります。請求する通数が事前に分からない為、定額小為替をいくら封入すれば良いかが決まりません。この場合、司法書士が行う方法は、多めの金額を封入しておいて余ったら、その分は小為替で返してもらいます。

    司法書士の場合は余った分を小為替で返してもらっても、次の仕事で使うことが出来ますが、一般の人の場合は、余分に作成した時の手数料が無駄になりますね。

    また、定額小為替には、「発行から6ヶ月以内に換金して下さい」と書かれています。これを真に受けて、返してもらった小為替の換金を忘れて6ヶ月を経過したら、あきらめて捨ててしまう人がたまにいます。実は、これは非常にもったいない行為なのです。

    実際には、発行から5年以内ならば郵便局は問題なく換金に応じてくれます。万が一、6ヶ月以上経過した定額小為替を持っていたら、覚えておきましょう。

    そして、戸籍を発行する役所の、定額小為替の扱いですが、先ほどの理屈でいくと、6ヶ月以上経過した定額小為替を封入して郵送申請しても大丈夫だと思われる方が多いと思います。
    しかし役所は通常6ヶ月以上経過した小為替は受け取りません。
    一部受け取る役所もあるそうですが、そのような柔軟な対応をしてくれる役所は少数派なので、あまり期待しないようにしましょう。

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    9月 06 2017

    出生から死亡までの戸籍(相続登記⑩)

    ピンとこない出生から死亡までの戸籍

    相続登記の必要書類の中で最も取得が大変なのが「出生から死亡までの戸籍」です。
    相続を経験されたことが無い方は、言葉を聞いてもピンとこないかもしれません。
    相続以外で「出生から死亡までの戸籍」を取得することは、まず無いからです。

    銀行でもよく聞かれるのが、「お客様に戸籍や除籍の取り寄せをお願いすると、間違っていることがよくある」とのことです。
    被相続人が死亡する直前に入っていた戸籍と相続人の現在戸籍の2通だけ持ってこられる方が多いそうです。

    専門家の立場からしても、「出生から死亡までの戸籍」について説明するのは非常に大変です。
    大半の人にとっては初めての経験なので、「戸籍の取得」と聞くと、普段、目にしている現在戸籍のことだと思ってしまうからです。

    さかのぼるのは大変な昔の戸籍

    戦後は「結婚」「引越による転籍」などで新しい戸籍に移ります。
    (近隣の引越の場合は移らないこともありますが。)
    また、戸籍法の改正があった場合も、新しい戸籍が作成されます。
    戸籍法の改正は戦後を通じて数回あります。
    そして新しい戸籍が作成されるたびに、その人の出生から死亡までの戸籍の数は増えていきます。
    複数の結婚や引越による転籍を経験している人は、戸籍の数もかなり多くなりますね。

    また戦前は、今とは全く違う「家督相続」によって戸籍が作られていますので、見慣れていないと、どこに何が書いてあるのかも分からない様式になっています。
    戦前は、筆頭者ではなく戸主を中心に戸籍が作られていて、結婚しても戸籍を離れません。
    一つの戸籍に何組もの家族が記載されることになり、ページ数も多くなっています。
    また、昔は今よりも養子に出されたり、養子を迎えたりすることも多く、関係性が複雑になっています。

    しかも、戸籍が機械化されたのは最近のことなので、少し古い戸籍になると手書きで書かれています。
    これがときに達筆すぎて大変に読みにくい場合があります。
    専門家は見慣れていますから何とか読み解くことが出来ますが、初めてだと相当に苦労するでしょう。

    甥姪(おいめい)の戸籍は特に注意

    日本は高齢化が進んでいますから、戦前生まれの方も、まだ多く生存しています。それらの方が亡くなった時、戦前までの戸籍を全て取得しなくてはいけません。私の経験では、平均して5~6通は取得していることが多いです。

    亡くなった方に子供がいなかった場合は、より取得する戸籍の数が多くなります。
    現在は、医療制度が発達していますから、高齢で亡くなる方が多くなりましたね。
    その場合、両親や兄弟姉妹も高齢ですから、既に亡くなっていることが多くなります。
    そうすると、亡くなった人に子供がいない場合は甥姪が相続人になりますね。
    実際そういうケースが増えています。当然、必要な戸籍も膨大になります。
    甥姪の数が20名以上になることもありますよ。
    そうすると戸籍の数も3ケタにまで増える可能性もあります。

    相続人が甥姪の場合

  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍
  • 父親の出生から死亡までの戸籍、母親の出生から死亡までの戸籍
  • 先に亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍
  • が全て必要になります。
    揃えるには1か月以上かかることもあるでしょう。
    特に遠方の場合は、出向くことはなかなかできないでしょうから、郵送で請求することになります。

    このように「出生から死亡までの戸籍」を取得するのは、かなり大変な作業になります。少なくとも、普段目にしている現在戸籍(一番新しい戸籍)を取得するのとは訳が違う、と言うことは覚えておきたいですね。

    >>>相続手続は、自分で出来る?司法書士に依頼する? 気になる方はこちら
    <<<

    12月 08 2016

    死亡から何年経つと住民票の除票が取れなくなる? (相続登記⑨)

    相続登記の必要書類の中に住民票の除票または戸籍の附表があります。

    このうち住民票の除票については注意が必要です。
    住民票の除票は、作成されてから5年間しか役所が保存してくれません。
    つまり、死亡時に除票が作成された場合は、5年以上放置すると除票が取得できなくなります。

    他に同じ世帯で生きている人がいる場合は、住民票自体は除票にはなりませんので、5年以上経っても取得できます。
    ただし取得する時に、「死亡した家族の分も記載したものが欲しい」と請求する必要があります。
    何も言わないと、死亡した家族は記載されませんので注意しましょう。

    では世帯で最後に亡くなった場合で、5年以上放置してしまったら、どうすれば良いのでしょう。そういう場合の対処法が実はあります。
    しかし専門的な対処になりますので、そのようなケースでは専門家に相談に行かれるのが良いと思います。

    より詳しい情報をお知りになりたい方は以下をクリック

    https://www.hashiho.com/inherit/registration/

    11月 22 2016

    父と母が亡くなった場合の名義変更(相続登記⑧)

    父・母のうち、どちらかが先に亡くなった時点で相続登記をせずに放置していました。
    その間にもう一方も亡くなった場合の相続登記は、どうなるのでしょうか。

    本来であれば、放置していた名義変更をしてから、後から亡くなった方の名義変更をするというステップを踏むことになるでしょう。
    このパターンだと2件の登記申請をすることになります。
    もちろん、この方法でも正解です。

    しかし、連れ子などがいなくて、両親とも共通の子供が相続人の場合は、登記申請が1件で済む可能性が高いです。
    1件で済めば、登録免許税も安くなりますし、必要書類も少なくて済みます。
    このことについて、きちんと把握している専門家なら、費用も安くしてくれることが期待できます。

    >>>2次相続の相続登記は、遺産分割協議書の工夫が必要<<<

    一方、同様のケースでも、不動産が父母共有名義になっている場合は話が違ってきます。

    何故なら、父が亡くなった時と母が亡くなった時では、移転する(名義変更のことを不動産登記法では所有権移転と言います)不動産の持分が異なるからです。

    具体的には、父が亡くなった日付で「父持分全部移転」母が亡くなった日付で「母持分全部移転」の2件の登記申請が必要となります。

    このように一見、同じように見える名義変更でも、申請方法は全然違うということもありえますので注意が必要です。

    より詳しい情報をお知りになりたい方は以下をクリック

    https://www.hashiho.com/inherit/registration/

    11月 21 2016

    規約共用部のあるマンションの名義変更(相続登記⑦)

    規約共用部とは?

    規約共用部とは、どのようなものなのでしょう。
    耳慣れない言葉で初めて聞いたと言う人も多いのではないでしょうか。

    規約共用部とは、契約時のマンションの規約で、あらかじめ共用部として設定されている場所のことです。
    具体的には、「管理室」「集会所」などが代表的です。
    管理人が住み込みの場合は、「管理人住居」などが含まれている場合もあります。

    これらの場所は、マンション所有者が持分割合で共有し、マンションの専有部分を売却した時は、規約共用部も一緒に移転するという取り決めになっているのが通常です。

    マンションの名義変更の相談を受けた場合、規約共用部の存在を見落としている人も珍しくありません。
    司法書士が指摘して初めて気が付かれる方もいます。

    ただ、規約共用部に関しては、権利の登記の設定が最初からありませんので、実は名義変更は必要ありません。
    専有部分と一緒に動くので不要だと考えられます。
    これは覚えておくと良いと思います。

    登録免許税の金額には注意!法務局から呼び出しも

    また、規約共用部は名義変更は不要ですが、登録免許税の計算には含めなくてはなりません。
    矛盾していますが、法務局では、そのような取り扱いになっているのです。

    これは非常に間違えやすいので、注意するポイントです。
    名義変更はしないので、申請書の不動産の表示には書かれないにもかかわらず、登録免許税の金額欄には規約共用部も含めた金額を書かなくてはいけません。
    ややこしいですよね。
    この金額を間違えると法務局から呼び出されることになります。

    不動産登記(名義変更)には細かいルールがたくさんあります。わからないまま提出すると、法務局から呼び出され、二度手間になります。
    不明な点があれば、専門家に任せるのも1つの方法ですね。

    より詳しい情報をお知りになりたい方は以下をクリック

    https://www.hashiho.com/inherit/registration/

    12月 03 2015

    兄弟姉妹の相続登記は、書類収集が大変!(相続登記⑥)

    被相続人(亡くなった人)には、配偶者は既に亡くなり、子どももいませんでした。
    そこで被相続人の兄弟姉妹が、相続をすることになりました。
    手続はどうなるのでしょうか。
    簡単にはいきません。
    証明しなくてはならないことが、たくさんあるからです。

    兄弟姉妹が相続人になる場合

    日本の民法では、相続順は以下のようになっています。
    まず配偶者は生きていれば必ず相続人になります。
    それ以外には、

    (1)第一順位  子供
    (2)第二順位  直系尊属
    (3)第三順位  兄弟姉妹

    となっています。

    上記の例の場合では、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
    そのためには第一順位と第二順位が全て生存していないことを証明しなくてはなりません。
    主に戸籍で証明します。
    他の相続人のときとは異なり、膨大な量の戸籍の収集が必要となります。
    正直なところ、司法書士ですら、兄弟姉妹の相続の資料を集めるのは相当に大変な作業です。

    では具体的に何が大変なのかを説明していきましょう。

    ①兄弟姉妹が何人いるかの証明

    これを証明する為には、被相続人の父親と母親、双方の出生から死亡までの全ての戸籍の収集が必要となります。
    なぜ必要なのでしょうか。

    被相続人の父親または母親に、過去のどこかの時点で生まれた、被相続人の把握していない子が存在するかもしれないですよね。
    だから、必要になるのです。

    実際に、ありますよ。
    「うちはそんなこと、一度も聞いたことがないから大丈夫」
    調べてみると、母親が若い頃、誰かと結婚していて子どもを1人産んでいたということは、珍しくありません。

    わたしは何度も、目にしています。

    それに、そもそも父母の戸籍自体が、集めるのに時間がかかることもあります。
    よくお引越しをされている方は注意が必要です。
    本籍も動いていたりすると、特に面倒なことになりやすいですよ。

    ②直系尊属がいないことの証明

    まずは、両親が既に亡くなっていることの証明が必要です。
    しかし、これだけでは済みません。

    祖父母が亡くなっていることの証明も必要になります。
    祖父母は、父方、母方と双方いますので、合計4名分の証明が必要となります。

    ちなみに、祖父母が生年月日から110歳を超えていることが明らかな場合は、生年月日の証明だけで良いということになっています。
    これは、法務局が、110歳を超えていれば亡くなっていると推定してくれる取り扱いになっているからです。

    裏を返せば、110歳を超えていないことが明らかな場合は、祖父母の上の世代の証明も必要となります。
    (若くして亡くなられた場合の相続では、可能性がありますね)

    ③兄弟姉妹で既に亡くなられた方がいる場合は?

    兄弟姉妹は被相続人と年齢が近い場合が多いですね。
    そうすると、被相続人が亡くなられたときには、兄弟姉妹の中にも亡くなられた人がいるケースが多くなります。

    その場合、親に代わって兄弟姉妹の子供に相続権が発生します。

    これを民法では代襲相続と呼びます。

    兄弟姉妹の相続の場合は、代襲相続が発生しているケースが珍しくありません。
    そのときは、亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの全ての戸籍を収集する必要があります。
    子どもが何人いるのかを調べる為です。

    終わりに

    いかがでしょうか。
    ここまで読んできて、うんざりしてきた方も多いのではないでしょうか。
    兄弟姉妹の相続登記は、一筋縄ではいきません。
    あれも足りない、これも足りないと、何度もあとから取る必要が出てくることもよくあります。
    法律に詳しい方でも途中であきらめしまうのも、うなづけますね。
    多少のお金で解決するなら、司法書士に依頼するのも1つの方法です。
    貴重な時間の節約にもなりますよ。

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    12月 02 2015

    「敷地権の無い区分建物」の登記事項証明書の取得方法(相続登記⑤)

    敷地権の無い区分建物とは、どういうものでしょう。
    その登記はどうなっているのでしょうか。
    登記事項証明書を取得するときの注意事項もあります。
    見ていきましょう。

    マンションで、敷地権の表示がある場合

    マンションのことを不動産登記法では区分建物と呼んでいます。
    区分建物の場合、登記の仕方が一戸建てとは異なり、登記事項証明書(登記簿)を見れば、すぐに分かるようになっています。

    具体的には、「専有部分の建物の表示」という項目があり、全体の中の一部を所有していることが表示されているのです。
    (一戸建てには、この表示はありません)

    更に、区分建物の場合、「敷地権の表示」がある場合があります。
    これは必ずある訳ではありません。

    敷地権の表示がある場合は、一戸建てのように土地と建物に登記が分かれていません。
    土地が建物にくっつく形で、建物の登記に土地の登記も含まれているのです。
    従って、建物の登記事項証明書を取れば、土地の登記事項証明書は不要となります。
    (不動産登記法では、「敷地権付区分建物」と呼びます)

    マンションで敷地権の表示が無い場合

    一方、区分建物であっても敷地権の表示が無い場合は、土地と建物の両方の登記事項証明書を取得する必要があります。
    この時に、ちょっと、ややこしいことが起こります。

    区分建物の土地の場合、当然、マンションの住人全員が、その土地の所有者となっています。
    この状態を「共有」と呼び、共有している人を「共有者」と呼びます。
    大規模マンションの場合は、かなりの人数の共有者がいることになります。

    敷地権の表示の無い区分建物の土地の登記事項証明書を、何の指定もせずに取得すると、これらの共有者全員分の情報が記載されたものが出てきてしまいます。
    大規模マンションの場合は相当に分厚い束になり驚く人も多いようです。

    中身は共有者全員の住所・氏名、いつ購入したか、購入した時の借入金額、担保を付けている金融機関の名称などです。

    ここまで読んで「そんなの個人情報の流出じゃないか」と思った人は、残念ながら早合点です。
    上記の情報は公開が義務付けられた情報なのです。
    不動産登記法では、「登記事項証明書は誰でも取得することが出来る」と規定されているからです。

    もともと、不動産登記とは、買主が不良物件をつかませられないように、購入する前に不動産の情報を入手する為に整えられたものです。
    不動産は高額な商品ですから、何かあったら取り返しがつきません。
    それで常に情報を公開して安心して取引できるようにしたのです。

    必要な部分だけ登記事項証明書を取得する方法

    司法書士が敷地権の無い区分建物の登記を引き受けた時は、通常、依頼者以外の部分は記載されていない土地の登記事項証明書を取得して渡します。

    例え公開が義務付けられていると言っても、わざわざ第三者の情報が満載されたものを渡すのには抵抗があります。
    また、何ページにもなる分厚い書類だと依頼者の情報を探すのも一苦労で、分かりにくいというのもあります。
    窓口で特定の所有者を指定して取得するのは可能なのです。

    そこで問題になるのが、最近、増加してきたオンライン申請です。
    オンライン申請は費用も安く窓口に出向く必要も無いので非常に便利です。
    しかし、欠点もあります。
    それが、「敷地権の無い区分建物の土地の登記事項証明書を取る時に特定の所有者の指定が出来ない」というものです。
    つまり、オンラインで取ると必ず共有者全員分が記載されたものが届いてしまう
    のです。

    従って、特定の所有者のものだけを取ろうと思ったら、窓口で申請するか、郵送申請するか、しかありません。
    しかし、どちらもオンライン申請よりも100円高くなります。

    情報が少ない薄い方が高いなんておかしいと思った方もいるかもしれません。
    発行する側からすれば、一人だけ抜き出す方が事務作業としては手間がかかる訳です。

    法務省は、いずれオンライン申請でも、特定の所有者を抜き出して申請できるようにしたいとは言っていますが、目途はたっていません。
    今のところは、窓口か郵送の申請で取得するしかないのが実情です。

    >>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<

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