敷地権の無い区分建物とは、どういうものでしょう。
その登記はどうなっているのでしょうか。
登記事項証明書を取得するときの注意事項もあります。
見ていきましょう。
マンションで、敷地権の表示がある場合
マンションのことを不動産登記法では区分建物と呼んでいます。
区分建物の場合、登記の仕方が一戸建てとは異なり、登記事項証明書(登記簿)を見れば、すぐに分かるようになっています。
具体的には、「専有部分の建物の表示」という項目があり、全体の中の一部を所有していることが表示されているのです。
(一戸建てには、この表示はありません)
更に、区分建物の場合、「敷地権の表示」がある場合があります。
これは必ずある訳ではありません。
敷地権の表示がある場合は、一戸建てのように土地と建物に登記が分かれていません。
土地が建物にくっつく形で、建物の登記に土地の登記も含まれているのです。
従って、建物の登記事項証明書を取れば、土地の登記事項証明書は不要となります。
(不動産登記法では、「敷地権付区分建物」と呼びます)
マンションで敷地権の表示が無い場合
一方、区分建物であっても敷地権の表示が無い場合は、土地と建物の両方の登記事項証明書を取得する必要があります。
この時に、ちょっと、ややこしいことが起こります。
区分建物の土地の場合、当然、マンションの住人全員が、その土地の所有者となっています。
この状態を「共有」と呼び、共有している人を「共有者」と呼びます。
大規模マンションの場合は、かなりの人数の共有者がいることになります。
敷地権の表示の無い区分建物の土地の登記事項証明書を、何の指定もせずに取得すると、これらの共有者全員分の情報が記載されたものが出てきてしまいます。
大規模マンションの場合は相当に分厚い束になり驚く人も多いようです。
中身は共有者全員の住所・氏名、いつ購入したか、購入した時の借入金額、担保を付けている金融機関の名称などです。
ここまで読んで「そんなの個人情報の流出じゃないか」と思った人は、残念ながら早合点です。
上記の情報は公開が義務付けられた情報なのです。
不動産登記法では、「登記事項証明書は誰でも取得することが出来る」と規定されているからです。
もともと、不動産登記とは、買主が不良物件をつかませられないように、購入する前に不動産の情報を入手する為に整えられたものです。
不動産は高額な商品ですから、何かあったら取り返しがつきません。
それで常に情報を公開して安心して取引できるようにしたのです。
必要な部分だけ登記事項証明書を取得する方法
司法書士が敷地権の無い区分建物の登記を引き受けた時は、通常、依頼者以外の部分は記載されていない土地の登記事項証明書を取得して渡します。
例え公開が義務付けられていると言っても、わざわざ第三者の情報が満載されたものを渡すのには抵抗があります。
また、何ページにもなる分厚い書類だと依頼者の情報を探すのも一苦労で、分かりにくいというのもあります。
窓口で特定の所有者を指定して取得するのは可能なのです。
そこで問題になるのが、最近、増加してきたオンライン申請です。
オンライン申請は費用も安く窓口に出向く必要も無いので非常に便利です。
しかし、欠点もあります。
それが、「敷地権の無い区分建物の土地の登記事項証明書を取る時に特定の所有者の指定が出来ない」というものです。
つまり、オンラインで取ると必ず共有者全員分が記載されたものが届いてしまう
のです。
従って、特定の所有者のものだけを取ろうと思ったら、窓口で申請するか、郵送申請するか、しかありません。
しかし、どちらもオンライン申請よりも100円高くなります。
情報が少ない薄い方が高いなんておかしいと思った方もいるかもしれません。
発行する側からすれば、一人だけ抜き出す方が事務作業としては手間がかかる訳です。
法務省は、いずれオンライン申請でも、特定の所有者を抜き出して申請できるようにしたいとは言っていますが、目途はたっていません。
今のところは、窓口か郵送の申請で取得するしかないのが実情です。
>>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<