司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

2015年1月

1月 21 2015

成年後見の「本人収支表」は、正しく記入しないと損をする!(成年後見①)

目次

本人収支表に記入する支出は?

家庭裁判所に申立をする成年後見。
預金、保険、不動産などの資産とともに、「本人収支表」と呼ばれる、家計簿のようなものを提出します。
わたしが、成年後見についた案件で、長年親族後見人の「本人収支表」が誤って記入されていたことがありました。

親族後見人は、このことにより、年12万円も自腹を切って支払っていたのです。

認知症などで、本人の意思がほとんど確認できなくなった場合、事前に何らかの対処をしていない限り、成年後見制度を利用することになります。

この制度で提出する書類の中に、「本人収支表」と呼ばれるものがあります。
本人(認知症になっている人)の家計簿のようなものです。
収入らんは、通常、年金や各種手当を記入します。
もし、家賃収入があれば、それも収入に入れます。

では、支出はどうでしょう。
医療費、施設利用料、生活費が中心になりますね。
この他、所得税・住民税がかかる人は、月額に換算して記入します。
社会保険、介護保険料も同様です。
本人が加入している、生命保険料や損害保険料もそうですね。
自宅がある方は、固定資産税も月額に換算して記入します。
ここまでは、だいたい親族の方も記入されています。

あとは、何が支出に入るのでしょうか。

「本人収支表」支出らんに記入するべきこと

忘れがちなのが、雑費です。
本人のために必要なタオル、靴下、ハンドクリームなどは本人の費用として出してよいものです。
この費用を、親族の方が自分の財布から出していることも、割と多いです。
できればきちんと区分けして、支出として記入しましょう。

自動車をお持ちの方は、車検費用も、月額に換算して記入します。
本人は、乗れる状態にはありませんが、資産の維持に必要な費用です。

ここからが、見落としがちな支出です。
後見事務手数料を記入していない人が多いのです。
これは、どういうものなのでしょう。

後見事務手数料に認められる出費は?

後見事務手数料とは、親族の後見人が、本人の生活維持に必要なことをするために支払った費用のことです。

どのような費用が入るのでしょう。

例えば、病院や施設までの交通費です。
本人の見守りのために出かけるわけですから、これは支出として認められます。
ただし、通常は、公共の交通機関を利用した場合の金額です。

病院や施設が、少し不便なところにあって、車でないと移動できない場合は、ガソリン代も認められます。
リッターいくらで、何キロの往復で、月に何回かというところまで、計算する必要はありますが、親族の方が本来、自費で出さなくても良い費用です。

あとは、細かくなりますが、病院に入院している場合の、洗剤や柔軟剤です。
本人の衣類を持ち帰って洗濯する必要があるとき、これらの費用は本人のための支出として認められます。

終わりに

成年後見の本人収支表は、適当に書いてしまうと、細かい費用を親族が負担してしまうことがあります。
結果的に、年間で10万円以上負担していることも珍しくありません。

多少、手間ではありますが、本人収支表は、細かいところまでしっかり計算して記入するようにしましょう。

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