11月 14 2016
子供がいない場合の遺言の検認は思ったよりも大変です(遺言③)
自筆証書遺言と公正証書遺言で最も効果が異なる場面は何かというと、遺言の検認(注)があるか無いかでしょう。
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要で、公正証書遺言の場合は不要です。
自筆証書遺言は家裁の検認を受けないと、不動産や銀行預金などの名義変更をする時に使えません。
いろいろな手続きが、先に進まないのです。
(注)検認とは、家庭裁判所が遺言があるということと、その内容を確認するために行うこと。
膨大な必要戸籍
相続が発生すると様々な手続を同時に進めていかなくてはならないので、かなり忙しくなります。
そういう時に遺言の検認をするのは相当に手間がかかります。
家裁の検認手続なんて大したことないだろうと、甘く見てはいけません。
特に子供がいない相続の場合は、かなり大変な手続になります。
とにかく集めなければならない戸籍が膨大な数になるのです。
具体的には、
- 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの全ての戸籍
- 被相続人の父の出生から死亡までの全ての戸籍
- 被相続人の母の出生から死亡までの全ての戸籍
- 被相続人の祖父母が110歳以内なら祖父母の現在の戸籍
- 被相続人の兄弟姉妹の現在の戸籍
- 被相続人の兄弟姉妹で亡くなっている方がいる場合は、亡くなっている兄弟姉妹の出生から死亡までの全ての戸籍
- 被相続人の兄弟姉妹で亡くなっている方がいる場合は、亡くなっている方の子供(おい・めい)の現在の戸籍
ざっと、これだけになります。
どうでしょう。集めるのが嫌になってきたのではないでしょうか。
正直、専門家でもすべて集めるのに、そこそこの時間がかかります。
1~7までの戸籍は一度に取ることができません。
順番に追って、取っていかなくてはならないからです。
順を追うごとに、戸籍が読みづらくなっていき、最後は手書きになります。
慣れていない方なら尚更大変でしょう。
途中で嫌になる人がいるのも、うなずけます。
公正証書遺言を残すべき理由
お子さんがいないということは、どちらかが亡くなったら、すべての財産を配偶者に、と思う方も多いでしょう。
ごく普通で、当然のことのようにも思えます。
ところが、いざ、そうしようと思うと、公正証書遺言を残しておかないと、とんでもなく手間がかかってしまうのです。
私たち司法書士が、「遺言を書くのなら公正証書にすべきです」とお勧めするのは、このような理由があるからです。
公正証書なら家裁の検認は不要なので、上記の書類は集める必要が無いのです。
相続で忙しい時に随分と助かるとは思いませんか。
特に子供がいない夫婦が遺言を書くなら、残された配偶者に大変な思いをさせない為にも、是非、公正証書を残しておきたいものですね。
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