7月
25
2017
公正証書遺言の場合、証人が2人必要になります。
遺言を残す本人、公証人、そして証人2人が現場にいるわけです。
(実際には、公証人の補助事務をされる方1人が一緒のこともあります。)
この証人には利害関係者はなれないとされています。
代表的な利害関係者としては身内となります。
法律では「推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族」は遺言の証人になれないとされています。
推定相続人とは、遺言者が亡くなった場合、相続人になる予定の人のことを指します。
推定相続人本人がなれないのは何となく理解できる人も多いと思いますが、法律では、その配偶者や直系血族もなれないのです。
かなり厳しい規定になっていることが分かります。
このように身内で証人を選ぶのは現実的に厳しいので、公証役場に相談すると、公証人が証人を紹介してくれます。
ただし有料になります。1人あたり2万円くらいが相場です。
遺言の作成を司法書士などの専門家に頼んだ場合は、証人がいないときは、たいてい事務所の司法書士や所員が証人になってくれます。
作成と一緒に頼めば、公証役場の紹介よりも安い場合が多いでしょう。
遺言についてもう少し詳しく知りたい方はこちら
7月
18
2017
家族信託で良く聞く質問に、「仕組みが複雑で分かりにくい」、「結局、何がメリットなの」というものがあります。
家族信託には様々なメリットがありますが、「仕組みが複雑だから」という理由で選択肢からはずしてしまうのは、もったいないことです。
確かに仕組みは複雑で、全て理解するには高度な専門知識が必要です。
しかし、利用する為には複雑な専門知識は必要ありません。
どういうことができて、どのようなメリットがあるのかだけ分かっていれば充分です。
例えば、自動車や家電はものすごく複雑で高度な知識によって作られていますが、それらを利用する人は高度な知識など無くても普通に使っていますよね。
使う側にとって、仕組みをすべて理解する必要は無いのです。
使い方さえ分かっていればそれで良いということです。
では家族信託にはどのようなメリットがあるのでしょう。これから具体的にいくつかご紹介しましょう。
家族信託の4つのメリット
一つの契約で、いくつもの手続を含めることが出来るので、結果として割安である
家族信託契約には、
将来の認知症対策としての任意後見的な内容
公正証書遺言としての財産の引継
見守契約としての内容
足腰が不自由になった時の為の財産管理としての内容
自分が亡くなった後の死後事務委任としての内容
を全て含めて契約することが可能です。
もし家族信託を使わない場合は、上記の内容はそれぞれ別の契約になり、契約ごとに料金が発生します。
結果として、一つにまとめられる家族信託の方が割安という場合が多いのです。
アパートなどの名義を変えているのに贈与税を発生させないことが出来る
アパートなどの賃貸物件を持っている方は税金対策に熱心な方が多いと思います。
そのような方にとって、賃貸物件の引継は重大な関心事でしょう。
この誰もが悩む問題を家族信託が解決してくれる可能性があります。
家族信託では、委託者兼受益者にすれば、名義を変えても贈与税が発生しません。
(将来の相続税の対象にはなります。)
委託者が亡くなった後の財産の引継を受託者にしておけば、遺言と同様の効果も期待できます。
遺言と同じ効果があるが、遺言よりも親が納得しやすい
家族信託は、契約の中で遺言と同様の効果を持たせることが可能です。
にもかかわらず、「遺言よりも親が納得してくれる」という声が多数届いています。
恐らく遺言より「死」を直接的に感じない方が多いのでしょう。
どちらかと言うと生命保険のようなビジネスライクな感じが受け入れやすいのかもしれません。
遺言のように変更される心配が無い
遺言の特徴として、「何度でも書いた本人が書き直すことが出来る」というものがあります。
例え公正証書で遺言を作成したとしても、その後に自筆で遺言を書いて貸金庫にしまっておいたら、後で書かれた自筆の遺言の方が効力を持ちます。
家族からしたら、いつ遺言を新しく書かれたかが分からないことになります。
(遺言を残す人にとっては、変更の選択肢があるのはメリットになる場合があります。)
一方、家族信託で遺言と同様の効力を持たせた場合、信託契約の変更には双方の同意が必要なので、知らないところで勝手に変更される心配がありません。
代表的なメリットをいくつかあげましたが、家族信託のメリットはこれだけではありません。他にも知りたい方は是非、事務所までご相談ください。
家族信託についてもう少し詳しく知りたい方はこちら
7月
11
2017
戸籍は相続人を確定させるために必要なものなので、集めるのは確かに面倒ですが仕方がない部分があります。
もし相続人が間違っていたら、権利の無い人に口座の残金を支払ってしまうことになるからです。
ところが、ゆうちょ銀行の場合、残金がわずかな場合に限って、相続手続の際に戸籍が必要ありません。
正直、私も、最初に知った時は驚いて「本当にいらないんですか?」と聞き返してしまいました。
私が実務で経験した例は、残金が800円位だったケースですが、それでもこの取り扱いにはびっくりしました。
戸籍が不要と言うことは、相続人では無い人が成りすましで請求に来ても分からないということになるからです。
ゆうちょ銀行としては、「少額ならば、もしトラブルが起こって賠償を請求されても安いから構わない」という考え方なのでしょう。
手続をする立場からすると、戸籍が不要なのは、ありがたいです。
しかし実際には口座がゆうちょ銀行しかないという場合は少数派で、たいていは他の銀行にも口座があり、そちらで戸籍を要求されてしまうので、手続が楽になるわけではありません。
ゆうちょ銀行は他にも変わっている部分が、いくつかあります。
やはり、元々は郵政省管轄だった金融機関なので成り立ちから違うからでしょうか。
今回は、ちょっと驚きのゆうちょ銀行の取り扱いを紹介しました。
もし、相続財産の中に、少額のゆうちょ銀行の預金があったら、戸籍は不要になるか、一度確かめてみてください。
預貯金の相続についてもう少し詳しく知りたい方はこちら
7月
03
2017
皆さんは、税理士と言えば、全員が相続税に詳しいと思っていませんか。
実はこれは大きな間違いなのです。
現実には、相続税に詳しくない税理士は普通に存在します。
むしろ税理士の半分以上は相続税は専門外だと言っても過言ではないでしょう。
税理士試験の仕組み
それは、税理士試験の仕組みを知れば、納得できると思います。
税理士試験は5科目合格が条件となっていますが、この5科目の中には選択科目が混ざっています。
そして相続税は選択科目なのです。
つまり、相続税を選択しなくても税理士になることは可能なのです。
そして選択科目の中でも相続税は難関とされています。
すると受験生の気持ちを考えれば容易に想像できますが、選択できるのに、わざわざ難しい科目を受験しようとする人は少ないのは、お分かり頂けるでしょう。
実際に、相続税を選択して合格している人は半分以下と言われています。
税理士の中心業務
でも税金の基礎は出来ているのだから、合格してから勉強しているのではないか、と思われるかもしれません。
確かに、合格後も真面目に勉強している人も中にはいるでしょう。
しかし、税理士の仕事で圧倒的に多いのは中小企業の税務申告です。
それに比べて個人の相続税の件数は非常に少ないのが現実です。
とすると、仕事として少ないにもかかわらず、時間をかけて細かいところまで詳しく勉強している税理士が果たして多くなるでしょうか。
答えはNOです。
相続税は扱ったことが無いという税理士も珍しくありません。
これは医者に置き換えて考えてみれば分かり易いでしょう。
皆さんは、普段、内科しかやっていない医者に手術をしてもらいたいと思うでしょうか。医者は医学部ではどの分野も一通り勉強しています。
そんな医者でさえ、医者になった後は、それぞれ専門に分かれていくのが普通です。
相続税が得意な税理士に巡り合うには
税理士も同じです。
当然のように得意分野と苦手な分野というのがあるのです。
それをはっきりとさせてくれているのなら良いのですよね。
ところが、試験のときに相続税を選択していないし、その後の経験もあまり無いにもかかわらず、それを相談者に言わずに引き受けてしまう税理士も残念ながらいるのです。
一般の人が、そのような税理士を見分けるのは正直、難しいでしょう。
むしろ、他士業(司法書士・弁護士など)から、詳しい税理士を紹介してもらった方が間違いは少ないと思います。
税理士業界も最近は競争が激しくなっていますので、無理に仕事を取ろうとして、専門外のことまで引き受けてしまう傾向があります。
相続税がかかりそうだと思ったら、ブログの注意点を思い出して、より良い税理士にめぐり合って下さい。
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