司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

10月 3rd, 2018

10月 03 2018

遺言⑮ 公証人に聞かれること

遺言による相続手続で最も揉めるのが、遺言者が遺言を残した時に認知症になっていなかったかどうか、という部分です。

日本では欧米に比べて、ぎりぎりまで遺言を残さない傾向があるため、どうしてもこのようなトラブルが起こりやすいと言えます。遺言に反対する相続人からすると、。遺言をひっくり返せる唯一の手段とも言えます。

実際に、「遺言作成時に認知症ではなかったのか」という訴訟は全国で起こっていて増加傾向にあります。(遺言の場合、他に争う手段が余り無いという実情もありますが)

これを防ぐ最も確実な方法は、遺言作成時に医師の診断書をもらっておくことです。医師が作成した「認知機能は問題ない」というお墨付きがあれば、後で万が一、訴訟を起こされても勝てる確率が高いでしょう。

後は出来るだけ公正証書遺言で残すべきです。公証人は面談の際、遺言者に対して質問をします。例えば以下のような質問です。
(1)本人確認として住所・氏名・生年月日を聞く
(2)どのような遺言を残したいかを聞く

(2)の質問では「はい」「いいえ」で答えられる聞き方をしません。遺言者自らが残したい遺言の内容の概略を答えなくてはいけません。認知症だったら、まず答えられないでしょう。

しかし、公正証書遺言ならば必ず裁判になっても勝てるという訳ではありません。公証人が当時の事情を忘れてしまっていて、しっかりした証人になってくれるとは限らないからです。

ですから相続人の中で遺言の内容に反対しそうな人がいる場合は、①公正証書で残して、更に②医師の診断書をもらっておく、という2段構えで備えておくのがベストな方法だと思います。

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