司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

7月 27th, 2023

7月 27 2023

ゆうちょ銀行の相続に関する不思議な対応 遺産承継(遺産整理)⑳

ゆうちょ銀行の特殊性

ゆうちょ銀行は元は郵政公社という国営企業だったからか、他の銀行とは明らかに異なる点がいくつかあります。中でも相続手続は、かなり異なります。

まず全国どこの郵便局でも受付が可能です。これは良い点なのですが、相続の手続書類をもらうのに必ず郵便局の窓口まで行かなくはならないのはマイナスポイントです。

他の銀行では「手続書類を郵送して欲しい」と頼めば、どこでも郵送してくれます。

相続確認表を窓口に出さなくてはならない

ゆうちょ銀行で相続手続を行うためには、まずは「相続確認表」という書類を出さなくてはなりません。間違えやすいのは、相続確認表は相続手続のための書類ではないという点です。

私も最初の頃は驚いたのですが、相続手続書類をもらうために相続確認表を出さなくてはならないのです。こんな非効率な二度手間を要求してくる銀行は、ゆうちょ銀行以外にはありません。

しかも、相続確認表は郵送が認められていません。必ず窓口まで出しに行かなくてはいけないのです。ゆうちょ銀行の相続手続は各地域の貯金事務センターで行われています。だったら貯金事務センターに郵送すれば済む話ではないかと思い、何度も「郵送させてくれ」と頼んだことがありますが、答えは「ノー」でした。

相続確認表は手続書類ではないので、通帳や戸籍や印鑑証明などの重要書類を一緒に送る訳ではありません。それでも拒否されるのです。「まるで役人と話しているようだ」と思ったのは私だけではないはずです。

相続確認表の中身

相続確認表は3枚組の書面で、1枚目と2枚目に「被相続人の情報」「代表相続人の情報」「遺言書の有無」「法定相続人の情報」などを、かなり詳しく記入するようになっています。手続の前段階で、ここまで詳しい情報を書かせるのは他の銀行ではありません。
3枚目は相続財産である貯金の種類を詳しく記入するようになっています。ただ相続人が同居しているとは限らないので、貯金の種類などは不明な場合もあります。その時は貯金等照会書という書類を別に出して調べないといけません。他の銀行だと手続の段階で勝手に預金を名寄せして見つけてくれます。

相続手続書類に関する不思議な対応

相続確認表を窓口に提出すると2~3週間後に、ようやく相続手続書類が郵送されてきます。この手続書類の中には貯金事務センターに宛てた返信用封筒が同封されています。当然、この封筒に入れて返信すれば良いのだろうと通常は思いますが違うのです。

何と記入した書類と返信用封筒を持って郵便局の窓口に行かなくてはならないのです。こんな不自然な謎の対応には、何度経験しても慣れません。どう考えてもおかしいと思うからです。

窓口では、書類がそろっているかを確かめて封筒に入れて貯金事務センターに送ることになります。直接、送って何が問題なのかさっぱり分かりません。実際に郵便局員に「これ、直接送った方が効率良くないですか」と聞いたところ、「私も、そう思います」と言っていました。現場の人間から見ても不自然な対応だということです。

郵便局の口座でなければ入金できない

めでたく相続手続が完了し入金の段階になると、またしてもゆうちょ銀行特有の謎の対応があります。それは、相続預金の入金口座がゆうちょ銀行以外は認められていないことです。ゆうちょ以外で、このような対応を取っている銀行を私は知りません。
ということは、もしゆうちょ銀行の口座を相続人が持っていない時は、わざわざ相続預金の入金のために、ゆうちょ銀行の口座を作らなければならないことになります。

更に、ゆうちょ以外の銀行に入金したい時は、一旦ゆうちょ銀行に入金された相続預金を他の銀行に振り込むという2度手間をかける必要があるのです。

ゆうちょ銀行の相続手続の特殊性

このように、ゆうちょ銀行は明らかに他の銀行とは異なる特殊な手続を要求してくる部分がありますので注意が必要です。始めて経験すると驚いてしまうことも多いと思いますから、知っておかれた方が良いでしょう。

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