司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

2月 12 2016

後見制度支援信託の定期給付金って何?(成年後見⑤)

定期給付金とは、信託銀行から定期的に指定口座に振り込まれる金銭のことです。
指定方法は様々な種類があり、金額はもちろん、毎月か、3か月おきか、半年おきか、などいろいろ設定できます。
手数料は無料の銀行が多いです。

では、定期給付金は、どうやって金額を決めるのでしょうか?

家庭裁判所から選任された専門職(司法書士・弁護士)が、金額と支払方法を決めることになります。
親族後見人の希望で自由に設定できる訳ではないのです。

専門職は定期給付金を決めるとき、何を基準にするのかというと、本人予算収支表になります。

>>本人収支表について、詳しく知りたい方はこちら<<<

後見制度支援信託を家裁から任された専門職は、本人予算収支表の点検を家裁から求められます。
簡単に言えば、親族後見人が作成した本人予算収支表に、漏れが無いかを確認する作業です。

このようなことを書くとすぐに、「家裁に疑われている」と思ってしまう人がいるのですが、この点検でかえって定期給付金の額が増える人も珍しくありません。

本人予算収支表の支出欄に書き漏れがあったりすると、反映する金額が増えるということです。
今までの私の経験では、減る人よりも増える人の方が多かったです。

家裁が求めているのは、「より正確な収支」であって、減らすことではありません。
もちろん、明らかに被後見人とは関係ない出費があれば別ですが。

さて、専門職が情報を集めた結果、より正確な本人予算収支表が作成されましたら、その収支表に基づいて定期給付金の額が決定されます。
たとえば、収支表が黒字ならば、定期給付金は0円になります。
収入で支出を賄えているので、新たに引き出す必要はないですよね、ということです。
もしも収支表が毎月3万円の赤字ならば、定期給付金は毎月3万円となる訳です。

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2月 12 2016

後見制度支援信託におすすめの信託銀行はどこ?(成年後見④)

後見制度支援信託の仕組みに沿った信託商品を提供しているのは今のところ4行です。

    三井住友信託銀行
    みずほ信託銀行
    三菱UFJ信託銀行
    りそな銀行

それぞれの銀行によって、特徴があります。

4つの信託銀行、信託商品の比較

手数料が安いのは?

    三菱UFJ信託銀行
    三井住友信託銀行

維持費もかからず、定期給付金の手数料も無料です。
ただし、一時金を引き出すときや、解約時に手数料がかかる場合があります

逆に、手数料が高いのは、りそな銀行です。
契約時、契約中の信託管理報酬、一時金の引き出し時に、手数料がかかります。

信託できる金額は?

1,000万円以上でないと信託できない

    三井住友信託銀行
    三菱UFJ信託銀行

1,000万円以下でも信託できる

    みずほ信託銀行
    りそな銀行

きれいに2行ずつに分かれました。

信託財産の制限は?

5年以内に信託財産が0円になる場合、信託ができない
(定期給付金を支払った場合)

    三井住友信託銀行
    三菱UFJ信託銀行
    みずほ信託銀行

5年以内に信託財産が0円になる場合でも、信託ができる

    りそな銀行

簡単に言うと、手数料が安い銀行は何かと制限があり、りそな銀行のように手数料が高い銀行は自由度が高い、ということになります。

後見制度支援信託における家庭裁判所の判断例

実際に家庭裁判所の判断を見てみると、1,000万円以下で、手数料の高い信託銀行を選択せざるを得ないような場合は、信託自体を不要とするような傾向があります。

私も、りそな銀行しか選べない状態の人の信託を任されたことがありますが、その旨を家裁に報告したら、「信託は不要」という決定が出ました。
(財産は1,200万円を超えていましたが、月々の施設の支払いが高額なため、定期給付金を支払った場合、5年以内に財産が0円になるケースでした。)

後見支援信託における、おすすめの信託銀行は?

私の経験から言うと、三菱UFJ信託銀行が、後見制度支援信託には最も適していると考えています。
手数料が比較的安いのも大きな理由ですが、それ以外にも、以下のようなメリットがあります。

  1. 全ての事務手続きが郵送で可能
  2. 信託銀行は一般的に支店の数が少なく、繁華街にしか無いのが普通です。
    郊外に住まわれている方や、忙しい方などには、これは大きなメリットです。
    申込の時はもちろん、引き継いだ後の各種変更手続きなども全て郵送で可能です。

  3. 質問に対する回答が早い
  4. 三菱UFJ信託銀行は東京に専門部署を設けて、一括対応をしています。
    当然、専門部署には詳しい人材を配置していますので、質問した時の対応が早いです。
    他の信託銀行が支店ごとの対応になっています。
    支店に電話すると、「詳しいものから、後ほど折り返します」と言われることがほとんどで、時間がかかります。
    場合によっては、回答が翌日になることもあります。

以上のことから、特別な理由が無い限り、後見制度支援信託には三菱UFJ信託銀行が、おすすめだと思います。
(今後、各銀行は、信託商品を見直すかもしれません。また新しいことがわかりましたら、お伝えしますね。)

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12月 04 2015

後見制度支援信託の実際の手続は?(成年後見③)

被後見人の財産の確定

後見制度支援信託の実際の手続について見ていきましょう。

まずは被後見人の財産の中から、

    未払いで支払うべきもの
    回収するもの
    現金に換価すべきもの

を判断して分類します。

以下は私の経験で例を挙げます。
未払いで支払うべきものとしては、

    滞納施設費用
    滞納入院費・治療費
    相続が発生した後の相続分の分配
    滞納葬儀費用(被後見人の母親が亡くなったケースでした)
    永代供養に伴う墓石の撤去費用

などです。

回収するものとしては、被後見人が相続人になった時の相続分の回収、がありました。
これ以外には、被後見人が貸していたお金の回収などが考えられます。
私は経験していません。

現金に換価するものとしては、今後利用する可能性の無い不動産の売却、株や証券の売却、などです。

以上の分類が終わったら、支払うべきものは支払い、回収するものは回収し、換価すべきものは売却して現金にします。
これらを全て処理した上で、最終的な被後見人の財産の総額を確定します。

ここまででも、手続はまぁまぁ煩雑ですね。

金融機関への後見制度支援信託手続の届出

さらに、上記の手続と並行して、金融機関への届出と集約の手続をします。

届出とは、金融機関に新しく成年後見人になったことを報告して窓口に届け出ることを言います。
実際にやったことがある人は分かると思いますが、これがなかなか大変です。
特に金融機関の数が多い場合は丸一日かけても終わらないときもあります。

何故、大変かと言うと、届出の仕方が各金融機関によってバラバラだからです。
(正直、もっと統一して欲しいと強く願います)。
用紙も違えば記入方法も違い、必要書類も異なります。
しかも、後見人本人が記入して、後見人本人が窓口に出向く必要がありますので、事務員に任せることも出来ません。

金融機関の集約

これは、信託手続をする為の準備と言えるものです。

信託では手元に残す財産は一部で、残りは全て信託銀行に預けてしまいます。
通常、金融機関は一か所だけ残して他は全て解約してしまいます。
(各種引き落としや年金の振込などの関係で2か所残す場合もあります)

解約した金融機関から、残すべき金融機関に解約金を直接振り込みます。
証拠を残す為に、解約したその場で全額を直接振り込むのが原則です。
これにより、現金が残すべき金融機関に集約していきます。

それなら、先ほどの届出は一か所か二か所で済むのではないかと思った人もいるかもしれません。
残念ながらそうではないのです。
通常、解約する為には、その前提として成年後見人の届出をしなくてはならないようになっています。
たまに、届出をせずに解約できる金融機関もありますが、圧倒的に少数派です。
(今後、多数派になってくれるとうれしいですね)

後見制度支援信託の指示書の申請

準備が整ったら、家庭裁判所に信託の指示書の申請をします。
信託指示書が送られて来たら、記載された日付から3週間以内に信託手続を終了させる必要があります。
具体的には、信託銀行に申込書類を送り、信託契約書に署名押印して、信託金を振り込むことになります。

信託金の振込が終わったら、しばらくすると信託銀行から通帳と信託契約書が送られてきます。
これで全て終了です。
専門職は後見人を辞任して、親族に財産を引き継ぐことになります。
ここまで大体半年くらいです。(4カ月くらいで終わる場合もあります)

いかがでしょうか。結構、大変なことをやっていると分かって頂けたでしょうか。では、次回は信託銀行の種類と定期交付金について説明しましょう。

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12月 03 2015

持っている財産で決まる?後見制度支援信託の現状(成年後見②)

最近、全国の家庭裁判所で強力に推し進められているのが、「後見制度支援信託」と呼ばれる制度です。

この制度は、そんなに古い制度ではありません。
最近になって急に増加しました。

自分が関わった時に、どうして良いのか分からないという人も多いのが実情です。
そこで、詳しく説明しようと思います。

後見制度支援信託の概略

後見制度支援信託とはどういうものなのでしょう。

被後見人さんの、財産はどのくらいありますか?
一定額以上の財産をお持ちの場合、財産の一部を手元に残して、残りを信託銀行に預けるよう、家庭裁判所から指示が出ることがあります。
信託銀行からのお金の引き出しに関しては家庭裁判所の指示書が必要となります。

家庭裁判所が、被後見人さんのお金の管理に関して、より積極的に関わる制度ということです。

一定額とは、いくら位なのかと気になりますよね。
これは各家庭裁判所によって異なるようです。

ちなみに、名古屋家庭裁判所の場合は、1000~1200万円以上あると、この制度の対象となるケースが多いようです。

では手元に残る一部の財産とは、いくら位なのでしょう。
これも名古屋家裁の場合ですが、だいたい200万から300万の間というのが相場のようです。

後見制度支援信託の2つのパターン

①複数後見方式
既に親族後見人が付いていて、その上で更に、司法書士や弁護士などの専門職が二人目の後見人として選任されます。

この場合、権限分掌が行われることが多いです。
権限分掌とは、親族後見人が身上監護、専門職後見人が財産管理というように権限が分かれていることを言います。

そして、専門職後見人が信託手続を進めて、信託が終了した段階で後見人を辞任して、全ての権限を再び親族後見人一人に戻すというパターンです。

②リレー方式
バトンタッチするパターンです。
誰から誰にバトンタッチするのでしょうか。

専門職後見人から、後見人候補者(親族の場合が多い)にです。

新規に成年後見の申立がされた時に、先ほどの一定額以上の財産があることが確認できた場合、まずは専門職後見人一人を選任します。
そして信託手続を任せて、信託が終了した段階で専門職後見人は辞任して、後見人候補者
にバトンタッチするのです。

後見制度支援信託2つのパターンの現状

現状では、①のパターンが圧倒的に多いです。
しかし、①のパターンは徐々に少なくなっていくと思われます。
それは、②のパターンが同時に行われているからです。

そのうち、一定額以上の財産がある人は、ほとんどが新規申立の時点で信託が終了している状態になります。
名古屋家裁の予想では、①パターンのピークは2016から2017年ごろです。

では次回は、具体的な手続について、お話をしたいと思います。

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12月 03 2015

兄弟姉妹の相続登記は、書類収集が大変!(相続登記⑥)

被相続人(亡くなった人)には、配偶者は既に亡くなり、子どももいませんでした。
そこで被相続人の兄弟姉妹が、相続をすることになりました。
手続はどうなるのでしょうか。
簡単にはいきません。
証明しなくてはならないことが、たくさんあるからです。

兄弟姉妹が相続人になる場合

日本の民法では、相続順は以下のようになっています。
まず配偶者は生きていれば必ず相続人になります。
それ以外には、

(1)第一順位  子供
(2)第二順位  直系尊属
(3)第三順位  兄弟姉妹

となっています。

上記の例の場合では、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
そのためには第一順位と第二順位が全て生存していないことを証明しなくてはなりません。
主に戸籍で証明します。
他の相続人のときとは異なり、膨大な量の戸籍の収集が必要となります。
正直なところ、司法書士ですら、兄弟姉妹の相続の資料を集めるのは相当に大変な作業です。

では具体的に何が大変なのかを説明していきましょう。

①兄弟姉妹が何人いるかの証明

これを証明する為には、被相続人の父親と母親、双方の出生から死亡までの全ての戸籍の収集が必要となります。
なぜ必要なのでしょうか。

被相続人の父親または母親に、過去のどこかの時点で生まれた、被相続人の把握していない子が存在するかもしれないですよね。
だから、必要になるのです。

実際に、ありますよ。
「うちはそんなこと、一度も聞いたことがないから大丈夫」
調べてみると、母親が若い頃、誰かと結婚していて子どもを1人産んでいたということは、珍しくありません。

わたしは何度も、目にしています。

それに、そもそも父母の戸籍自体が、集めるのに時間がかかることもあります。
よくお引越しをされている方は注意が必要です。
本籍も動いていたりすると、特に面倒なことになりやすいですよ。

②直系尊属がいないことの証明

まずは、両親が既に亡くなっていることの証明が必要です。
しかし、これだけでは済みません。

祖父母が亡くなっていることの証明も必要になります。
祖父母は、父方、母方と双方いますので、合計4名分の証明が必要となります。

ちなみに、祖父母が生年月日から110歳を超えていることが明らかな場合は、生年月日の証明だけで良いということになっています。
これは、法務局が、110歳を超えていれば亡くなっていると推定してくれる取り扱いになっているからです。

裏を返せば、110歳を超えていないことが明らかな場合は、祖父母の上の世代の証明も必要となります。
(若くして亡くなられた場合の相続では、可能性がありますね)

③兄弟姉妹で既に亡くなられた方がいる場合は?

兄弟姉妹は被相続人と年齢が近い場合が多いですね。
そうすると、被相続人が亡くなられたときには、兄弟姉妹の中にも亡くなられた人がいるケースが多くなります。

その場合、親に代わって兄弟姉妹の子供に相続権が発生します。

これを民法では代襲相続と呼びます。

兄弟姉妹の相続の場合は、代襲相続が発生しているケースが珍しくありません。
そのときは、亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの全ての戸籍を収集する必要があります。
子どもが何人いるのかを調べる為です。

終わりに

いかがでしょうか。
ここまで読んできて、うんざりしてきた方も多いのではないでしょうか。
兄弟姉妹の相続登記は、一筋縄ではいきません。
あれも足りない、これも足りないと、何度もあとから取る必要が出てくることもよくあります。
法律に詳しい方でも途中であきらめしまうのも、うなづけますね。
多少のお金で解決するなら、司法書士に依頼するのも1つの方法です。
貴重な時間の節約にもなりますよ。

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12月 02 2015

「敷地権の無い区分建物」の登記事項証明書の取得方法(相続登記⑤)

敷地権の無い区分建物とは、どういうものでしょう。
その登記はどうなっているのでしょうか。
登記事項証明書を取得するときの注意事項もあります。
見ていきましょう。

マンションで、敷地権の表示がある場合

マンションのことを不動産登記法では区分建物と呼んでいます。
区分建物の場合、登記の仕方が一戸建てとは異なり、登記事項証明書(登記簿)を見れば、すぐに分かるようになっています。

具体的には、「専有部分の建物の表示」という項目があり、全体の中の一部を所有していることが表示されているのです。
(一戸建てには、この表示はありません)

更に、区分建物の場合、「敷地権の表示」がある場合があります。
これは必ずある訳ではありません。

敷地権の表示がある場合は、一戸建てのように土地と建物に登記が分かれていません。
土地が建物にくっつく形で、建物の登記に土地の登記も含まれているのです。
従って、建物の登記事項証明書を取れば、土地の登記事項証明書は不要となります。
(不動産登記法では、「敷地権付区分建物」と呼びます)

マンションで敷地権の表示が無い場合

一方、区分建物であっても敷地権の表示が無い場合は、土地と建物の両方の登記事項証明書を取得する必要があります。
この時に、ちょっと、ややこしいことが起こります。

区分建物の土地の場合、当然、マンションの住人全員が、その土地の所有者となっています。
この状態を「共有」と呼び、共有している人を「共有者」と呼びます。
大規模マンションの場合は、かなりの人数の共有者がいることになります。

敷地権の表示の無い区分建物の土地の登記事項証明書を、何の指定もせずに取得すると、これらの共有者全員分の情報が記載されたものが出てきてしまいます。
大規模マンションの場合は相当に分厚い束になり驚く人も多いようです。

中身は共有者全員の住所・氏名、いつ購入したか、購入した時の借入金額、担保を付けている金融機関の名称などです。

ここまで読んで「そんなの個人情報の流出じゃないか」と思った人は、残念ながら早合点です。
上記の情報は公開が義務付けられた情報なのです。
不動産登記法では、「登記事項証明書は誰でも取得することが出来る」と規定されているからです。

もともと、不動産登記とは、買主が不良物件をつかませられないように、購入する前に不動産の情報を入手する為に整えられたものです。
不動産は高額な商品ですから、何かあったら取り返しがつきません。
それで常に情報を公開して安心して取引できるようにしたのです。

必要な部分だけ登記事項証明書を取得する方法

司法書士が敷地権の無い区分建物の登記を引き受けた時は、通常、依頼者以外の部分は記載されていない土地の登記事項証明書を取得して渡します。

例え公開が義務付けられていると言っても、わざわざ第三者の情報が満載されたものを渡すのには抵抗があります。
また、何ページにもなる分厚い書類だと依頼者の情報を探すのも一苦労で、分かりにくいというのもあります。
窓口で特定の所有者を指定して取得するのは可能なのです。

そこで問題になるのが、最近、増加してきたオンライン申請です。
オンライン申請は費用も安く窓口に出向く必要も無いので非常に便利です。
しかし、欠点もあります。
それが、「敷地権の無い区分建物の土地の登記事項証明書を取る時に特定の所有者の指定が出来ない」というものです。
つまり、オンラインで取ると必ず共有者全員分が記載されたものが届いてしまう
のです。

従って、特定の所有者のものだけを取ろうと思ったら、窓口で申請するか、郵送申請するか、しかありません。
しかし、どちらもオンライン申請よりも100円高くなります。

情報が少ない薄い方が高いなんておかしいと思った方もいるかもしれません。
発行する側からすれば、一人だけ抜き出す方が事務作業としては手間がかかる訳です。

法務省は、いずれオンライン申請でも、特定の所有者を抜き出して申請できるようにしたいとは言っていますが、目途はたっていません。
今のところは、窓口か郵送の申請で取得するしかないのが実情です。

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7月 10 2015

登記識別情報のシールはがれ、紛失の対処法(相続登記④)

登記識別情報の失効という手続

登記識別情報の目隠しシールが気づかないうちにはがれていた、あるいは登記識別情報の記載された紙を紛失してしまった、というような場合、どうしたら良いでしょうか。

こんな場合に備えて、登記識別情報には「失効」という手続が用意されています。
登記識別情報を失効した場合、そのパスワードは登記には使えなくなります。
ようするに無効になるのです。
クレジットカードを失くした時の「紛失の届出」のようなものだと言えば分かり易いでしょうか。

登記識別情報の再発行はありません!

しかし、クレジットカードとは異なる点が一つあります。
それは再発行が出来ないということです。どんな理由であれ、法務局は登記識別情報の再発行を認めていません。

これは恐らく、もし再発行を認めてしまったら、大きなトラブルになるからでしょう。
免許証などを偽造して本人になりすまして再発行を申請してきた場合に、法務局が「なりすまし」を見抜けなかったら大変です。
何しろ、不動産ですから金額も高額になりますので、謝って済む問題ではなくなります。

失効後、次に登記するには?

では失効させた場合、次に登記をする時には、どうすれば良いのでしょうか。

これについても対策が用意されています。
司法書士に「本人確認情報」というものを作成してもらうのです。
これが添付されていれば、「登記の専門家である司法書士が間違いなく本人確認をした」ということで、法務局は登記手続を受け付けてくれます。

しかし、本人確認情報は司法書士にもリスクがあります。
登記識別情報を持っていない人に対して、不動産の権利者であることを保証する訳ですから、もし間違っていたら当然、司法書士の責任になります。

ですから、本人確認情報を作成する場合、追加の費用を頂くのが通常です。
これは責任が重い立場なので、ご理解頂きたいと思います。
また、登記識別情報よりも慎重な審査が法務局でされますので、通常よりも時間がかかることも覚悟しておいて下さい。

例え時間と費用が余分にかかったとしても、他人に見られた可能性がある登記識別情報を放置しておくことは、おすすめできません。
不動産という高額の財産を安全に維持する為にも、心配だと思ったら迷わず失効手続をしましょう。

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7月 09 2015

登記識別情報とは? 昔の権利証との違い(相続登記③)

不動産登記法が改正されてから、新しく登記を行うと、従来の「権利証」とは異なり「登記識別情報」というものが発行されます。
今回は、まだ見慣れない人も多いと思われる登記識別情報について説明しましょう。

権利証から登記識別情報へ

長らく日本の不動産登記では、所有権を証明する重要書類として「権利証」が使われてきました。
権利証とは正式名称を「登記済証」と呼び、不動産を譲ることを「権利証を譲る」と表現する場合もあり、金庫などに大切に保管していた人も多かったのです。
(厳密には、権利証を持っているだけでは所有権の証明にはなりませんが、一般的にはそのように考えられていますね。)

ところが長く親しまれていた権利証が、不動産登記法の改正により発行されなくなりました。
その後は、新しく「登記識別情報」という名前の1枚の紙が発行されるようになりました。

実は、この登記識別情報は、従来の権利証とは大きく性質が異なっています。では何が違うのでしょうか。

その違いを理解するためには、まず何故、権利証が重要な書類なのかの説明をする必要があります。

売買、借入時の必要添付書類としての権利証

不動産の権利を売買で他人に移転する場合、所有権移転という登記手続が必要です。
金融機関から金を借りて不動産を担保に入れる場合も、抵当権設定という登記手続が必要です。
その手続をする際に、申請する法務局に対し必ず権利証を添付書類として提出しなければなりません。
権利証が添付されていなければ、登記は却下されてしまいます。

権利証を持っていなければ、他人に売ることができない、金を借りて担保に入れることも出来ません。だからこそ権利証は重要書類だったのです。

これが登記識別情報になった場合、どのように変わるのでしょうか。

登記識別情報の注意点!重要なのは、紙ではない!

登記識別情報とは「紙に書かれた12桁のパスワード」です。重要なのは発行された紙ではなくて、パスワードそのものなのです。

従って、売買による所有権移転登記や、担保に入れるための抵当権設定登記の際に必要なのは、パスワードであって紙ではありません。
ここが最も大事なところです。

ようするに、登記識別情報の場合は、紙が手元に置いてあっても、そこに書かれていたパスワードを他人に知られてしまったら、取られたのと同じことになってしまうのです。

「何と恐ろしいことだ」と思った人も多いでしょう。
しかし、一応、予防策があります。
それは、発行された紙には、パスワードが書かれた部分に特殊なシールが貼ってあって読めないようになっています。

そのシールは一度はがすと、二度と貼れないように特殊な加工がしてあります。
従って、次に登記手続をするまでは貼ったままにしておけば、見られる心配はなくなります。
もし、はがれていれば、それは誰かが見たということが分かるようになっているのです。

では、万が一、はがれていたのを見つけたら、どうしたら良いのでしょう。それは、次回に説明したいと思います。

>>>関連記事は こちら<<<

7月 07 2015

2次相続の相続登記は、遺産分割協議書の工夫が必要(相続登記②)

2次相続とは、手続前に相続人が亡くなってしまうことです。
これが発生すると、非常にややこしいことになる可能性があります。
しかし、そんな場合でも例外はあります。ご紹介しましょう。

私の事務所で受けた相談です。
父親が亡くなった後、名義変更をしないで放っておいた不動産がありました。
そのうちに母親も亡くなってしまって、「さすがにまずいかな」と思って名義変更の相談に来た人がいました。

この場合、本来ならば、

    一旦、父親の相続登記をする
    その後、母親の相続登記をする

というのが、自然な流れです。
ただし、このやり方だと手間も時間も費用もかかります。

しかし、今回紹介した事例の場合、ある条件を満たすと、1回の相続登記で手続が済んでしまうことがあるのです。
もし1回でできれば、時間も早いし費用も安いですから、その方が良いですよね。

ただし、通常の相続登記とは異なり、遺産分割協議書にちょっとした工夫が必要です。
定型的な協議書のままでは法務局の審査は通りません。

また、添付書類に関しても、取得すべき戸籍の量が増えます。
ただでさえ、相続登記は添付する戸籍の量が多い手続です。
それに加えて、母親の「出生から死亡までの全ての戸籍」が必要になります。

本来、2回で行うべき手続を1回で行う訳ですから、特殊な手続には違いありません。
確かに時間と費用は節約できますが、ある程度の手間はかかるということは知っておいて下さい。

条件に合わなかった場合は、当然、2回で行うことになります。
余分に時間や費用もかかることになります。
条件に合うかどうかは、偶然に左右されます。

ごくまれに、故意に相続登記を遅らせることを考えている人がいます。
それはリスクが大きいのでおすすめしません。
リスクを避けるためにも、名義人が亡くなったら出来るだけ早めに相続登記をしましょう。

>>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<

7月 07 2015

相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書(相続放棄④)

相続放棄のふたごの書類「通知書」と「証明書」

相続放棄には、非常に似通った名前の二つの書類があります。
「相続放棄申述受理通知書」「相続放棄申述受理証明書」です。
以下、長いので前者を「通知書」、後者を「証明書」と呼びます。

名前だけではなくて、書類自体の見かけも非常に似ています。
「こんなの名前がちょっと違うだけで、ほとんど同じじゃないか」と思うでしょう。

通知書と証明書の効果の違いは?

しかし、法的には、この二つの書類は明らかに効果が違います。
「通知書」の方は公的な証明としては使えないことが多いのです。

相続放棄の手続が終了すると、放っておいても家庭裁判所から送られてくるのが「通知書」です。
裁判所から届いたのだから、そのまま相続放棄の証明として使えるんだろうと普通の人なら思ってしまいます。
(実は私も始めは、そう思っていました。)

ところが、「通知書」をコピーしてローンの債権者に送ると、
「これではダメです。証明書を送って下さい」と言われることが多いのです。
また、不動産の相続登記(名義変更)で法務局に提出しても、
「改めて証明書を出して下さい」と言われます。

ようするに「通知書」とは、単に相続放棄の手続が完了したという、家裁からのお知らせなのです。
(その割には「証明書」とあまり違いの無い書類なのですが。)

一方「証明書」は、相続放棄をしましたということを、家庭裁判所が証明してくれている書類です。
必要なときは、添付書類と申請書と手数料をそろえて家裁に申請しなくてはなりません。

「通知書」は相続放棄をした人に送られるお知らせなので、一通しか発行されないのが普通です。
複数必要な時はコピーを取って使用することになります。

「証明書」は何通でも申請できます。
債権者や法務局に出す時は、コピーではなく原本が必要ですから、提出したい分の通数を申請することになります。

「証明書」の原本が、文字通り相続放棄の事実を公的に証明した書類になります。そのためには、手続が終了した後も一手間かかるということを覚えておきましょう。

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