司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 23 2016

信託の3つの設定方法とは?(家族信託(民事信託)⑤)

そもそも、信託とはどういう意味でしょうか。
誤解を恐れずに簡単に言います。
「自分の財産を信頼できる人に渡して、その財産を管理したり、処分したり、ときには運用したりすること」です。
信頼できる人が管理運営して得た利益は、自分が受け取ることができるよう設定することが多いですが、自分以外の人に決めることもできます。

信託は、以下の3つの方法によって設定することができます。

信託契約

委託者受託者※が信託契約を締結する方法です。
注意していただきたいのは、受益者※は契約の当事者にはならないということです。
契約書の作成は公正証書によることは要求されていませんが、財産管理という非常に重要な内容の契約です。
公正証書で作成するのが一般的になっています。

※ 委託者とは財産を預ける人のこと。受託者は財産を預かって管理する人のこと。
※ 受益者とは財産から生まれる利益を受け取る人

遺言

信託の目的・信託財産・受託者・受益者など信託の内容を遺言書の中に記載する方法です。
遺言なので、当然、亡くなった後でしか、効力が発生しません。
信託契約と同様、信託の内容を記載した遺言書についても、やはり公正証書で作成することが望ましいでしょう。
気を付けて頂きたいのは、信託銀行の扱う遺言信託という商品です。
これは通常の遺言を信託銀行が代行するという意味で、ここで言う遺言による家族信託とは全く違いますので注意しましょう。

>>>家族信託と信託銀行の扱う遺言信託の違いについて、もっと知りたい方はこちら<<<

信託宣言

委託者と受託者が同一者となる場合(自己信託)には、契約当事者が一人となるため契約をすることができません。
そこで委託者の意思表示によって信託の設定をする方法です。
意思表示は、公正証書での作成のほか、公証人の認証を受けた書面や、確定日付のある証書による受益者への通知といった方法が規定されています。
信託宣言についても公正証書によって作成することが望ましいでしょう。

いずれにせよ、何を実現したいかによって、1番望ましい信託方法は違ってきます。
わからないときには、ぜひ専門家ご相談ください。

8月 22 2016

家族信託と遺言の違い (家族信託(民事信託)④)

    遺言

遺言は法的には単独行為と呼ばれ、遺言者本人が単独で行うことが可能です。
また、本人が途中で気に入らなくなったら、単独で書き換えることが可能です。
単独行為のプラス面としては、遺言を書いたこと、あるいは書き換えたことを本人以外には秘密にしておくことも出来ます。
マイナス面としては、単独行為なので、遺言、または書き換えた遺言が発見されないというリスクがあります。

    家族信託

家族信託は本人(委託者)と受託者の契約によって行われます。
契約なので本人が単独で変更することは出来ません。
当事者が複数なので契約が発見されずに履行されないというリスクは低いと言えます。

他には、遺言は遺言者が死亡するまで効力を発生させることが出来ません。
一方、家族信託の場合、生前から財産の管理を受託者に任せることが出来ます。

遺言も家族信託も、それぞれに特徴がありますので、個々の実情に合った方法を見つけて頂くことが大切だと思います。

8月 18 2016

知っておきたい 家族信託と成年後見の仕組みの違い(家族信託(民事信託)③)

成年後見の仕組み

まずは、成年後見制度をおさらいしておきましょう。
成年後見制度には、法定後見制度任意後見制度があります。

法定後見制度は、認知症などにより判断能力がなくなった場合に、裁判所が選任した後見人によって財産の管理をしてもらうことになります。

任意後見制度は、判断能力がなくなったときのために、事前の契約によって後見人になってもらう人を決めておくものです。
判断能力がなくなったら、後見監督人の監督のもと、事前に決めておいた後見人に財産の管理をしてもらうことになります。

法定後見、任意後見のいずれの場合も、「本人の財産を減らさない」ことを大前提とし、裁判所や後見監督人の監視のもとで財産管理をすることになります。

後見開始後は相続対策のために財産を贈与したり、財産を使ってアパートを建てたりすることは一切できなくなります。

家族信託の仕組み

一方、家族信託の場合はどうでしょうか。
後見制度のような制約が一切ありません。

本人(委託者)の判断能力が喪失した後も、信託の目的の範囲内においては、財産を託された受託者の判断によって相続対策などを行うことが可能です。

持っている土地にアパートを建てようと思っている。
孫が留学するときに、ある程度の金額を贈与しようと思っている。

これらのことは、そのとき「思っている」だけでは、認知症になったときに、実現することができなくなってしまいます。

家族信託の場合は、本人の意識がしっかりしているときに、信託契約をしますので、しっかりしていたときの本人の意思を、財産の管理に活かすことができるのです。

もちろん、例にあげたこと以外にも、細かくオーダーメイドで契約内容を決めることができます。
一度、ご家族で話し合って見てはいかがでしょうか。

>>>家族信託について、詳しく知りたい方は<<<

8月 17 2016

家族信託で節税?ちょっと待って!(家族信託(民事信託)②)

「家族信託をすれば、節税になる」
そんなふうに聞いたから実際どうなのかと、質問を受けることがあります。
これには注意が必要です。
家族信託という制度が注目されるようになってから、まだそんなに経っていません。
誤解を生むこともあるでしょう。
特に税金に関しては、個別の状況に応じて違ってきますので、事前によく考えなくてはなりません。

贈与税と相続税はどうなる?

家族信託をすると、財産の名義が委託者から受託者へ変わります。
その際、贈与税や相続税はどうなるのでしょうか。

贈与税
まず贈与税については、税務上は実質的な財産の移転が誰に移るのかで判断されます。
信託における委託者から受託者への名義の変更については形式的なものです。
財産から得られる利益については、あくまで受益者が獲得します。

従って、実質的な移転は受益者とみなされますので、受託者ではなく受益者に対して贈与税が課税されることになります。
この性質を利用して、家族信託では委託者と受益者を同一人物に設定することにより贈与税の発生を無くすことが可能となります。

この方法を自益信託と呼びます。

この方法を使えば、たとえ名義が受託者に移転しても贈与税の対象とはなりません。

相続税
一方、相続税については、受益者が移転した場合、通常と同様に相続税がかかります。

あくまで基準は受益者なので、受益者が変更したかどうかがポイントです。
受益者移転による相続税は、基礎控除や軽減措置なども通常の相続と全く同じになります。

家族信託でなければ、できないことは?

家族信託では、遺言では不可能だったことができるようになります。
たとえば、最初に指定した相続人が亡くなった後の、次の相続人まで指定できるという大きなメリットがあります。
一定の条件を満たせば、次の相続人が亡くなった後、さらにその次の相続人まで指定することも可能です。
自身が亡くなったあと、かなり先まで、財産の行方(使い道)を指定できるということですね。

相続で家族信託を検討する時は、上記のような信託でないと実現できないようなメリットに注目して考えて頂くのが良いでしょう。

>>>家族信託について、詳しく知りたい方は<<<

8月 16 2016

家族信託と信託銀行の「遺言信託」は別物です(家族信託(民事信託)①)

信託には大きく分けて民事信託商事信託があります。
家族信託は民事信託に含まれます。

商事信託と家族信託

まず商事信託とは、何なのでしょうか。
1番わかりやすい例をあげましょう。
金融商品の「投資信託」です。
信託銀行や信託会社などが不特定多数の人の財産を預かって投資運用をし、その手数料を得るという信託の形態です。

では家族信託とは、どういうものなのでしょう。
不特定多数の人の財産を預かるわけではありません。
特定の親族から託された財産についての管理や承継を行う信託の形態です。
様々なバリエーションがあり、依頼主の状況に応じてオーダーメードで作成が可能です。

どこが違う?信託銀行と家族信託の「遺言信託」

注意して頂きたいのは「遺言信託」という言葉についてです。
信託銀行が扱っている「遺言信託」という商品の中身は何なのでしょう。

    遺言の作成サポート
    遺言の管理
    相続が発生したときの遺言執行を行う

というものです。
正直なところ、なぜ商品名に「信託」という言葉が付いているのか疑問に思うような内容になっています。
信託銀行における「遺言信託」とは、単なる遺言の総合サポートのことを意味しているのであって、法律的な意味での信託とは関係が無いのです。

一方、家族信託での「遺言信託」とは、どういうものなのでしょうか。
遺言の中に信託契約を書き込んでおいて、相続発生と同時に信託契約が発効するように遺言に残しておくものです。
文字通り、遺言による信託契約なので、本来は遺言信託とはこの意味で使うべきでしょう。

このように同じ遺言信託という言葉を使っていても、信託銀行と家族信託では意味が全く違いますので注意が必要です。
信託銀行から「遺言信託」をすすめられたら、このことを思い出しましょう。

>>>家族信託について、詳しく知りたい方は<<<

7月 22 2016

相続手続は、自分で出来る?司法書士に依頼する?2

前回は、戸籍収集から相続関係説明図の作成までをご説明しました。
今回は、遺産分割協議書の作成と、不動産の相続に関する登記についてご説明いたします。

遺産分割協議書の作成

    相続人の方がご自身で行う場合

相続人が確定し、財産目録を作成した後は、遺産分割協議を行います。
遺産分割を行う際には、法定相続分や遺留分といった決まりごとを把握しておく必要があります。

また、相続登記や金融機関の名義変更に使う為には、遺産分割協議書にも、一定の要件があります。

せっかく作った遺産分割協議書が、法的な不備がある等の理由で、相続登記や金融機関での名義変更で使用できなかった例も少なくありません。
司法書士に再作成してもらい、署名・捺印をすべて取り直さなければならなかったということも起こり得ます。

    当事務所にご依頼頂いた場合

ご要望があれば、遺産分割協議書を作成する前の遺産分割協議の段階からサポートさせて頂くことが可能です。
司法書士は弁護士とは異なり、特定の相続人の代理人として協議に参加することはありません(これをやると、他の相続人とは敵対してしまいます)。

代わりに公平な第三者の立場で、すべての相続人の間で協議するにあたっての分割案作成のアドバイスや、協議で決定した内容が法的に問題がないかのチェックを通してサポートさせていただきます。

相続人の皆さまで遺産分割の方法が決定しましたら、その内容をもとに、各種手続に使用するための要件を満たした遺産分割協議書を作成させていただきます。

不動産の相続に関する登記

    相続人の方がご自身で行う場合

被相続人が残した土地や建物などの不動産を相続した場合、所有者の名義を変更しなければなりません。
名義変更が済んでいない不動産は、長期間手続をせずにいると、相続人の間で新たな相続が発生することもあり、将来トラブルが起こりやすくなります。

所有者が変わったタイミングで名義変更の手続を行うことをおすすめします。
相続登記(名義変更)は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
まず、相続する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、その不動産の正確な情報を把握します。
登記事項証明書は法務局へ交付申請を行います。
その後、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等と、相続人の戸籍謄本を収集します。相続人の住民票も必要です。

相続登記を行う際に、「登録免許税」という税金を支払う必要があります。
この税金を算出する根拠となる「固定資産評価証明」も取得する必要があります。
物件所在地の市区町村の役所で取得します。

また、一般的な相続登記では、遺産分割協議書や相続関係説明図の作成が必要となります。

すべての書類が揃った段階で法務局に申請を行います。

このように様々な役所に何回も出向く必要が出てきます。
不足書類に後から気付いた場合、同じ役所に再び行く必要が出てくることもあります。
また、法務局は他の役所に比べて申請書類の間違いに非常に厳しい傾向があります。
不動産という高額な財産を扱っているので仕方がない部分もありますね。
ほんのわずかな間違いでも補正という呼び出しがかかり、その為に再び法務局の窓口まで行かなくてはならなくなります。

    当事務所にご依頼頂いた場合

まずは必要な戸籍関係書類の収集をさせていただきます。
また、対象不動産の登記情報の確認、登記手続に必要な書類の作成を行い、署名・捺印等をいただきます。
これらのことは、慣れているので、間違いがありません。

法務局への登記申請は、司法書士が代理して行います。
登記が完了すると、登記完了証や登記識別情報通知書等の完了書類の受け取りも代行します。
時間の節約もかなりできますね。

相続関係が複雑になっていたり、被相続人が死亡してから時間が経っているなど、トラブルも起こりやすい場合でも、司法書士に依頼すれば、早くて正しく手続きが進みます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

当事務所は相続による各種手続に早くから積極的に取り組んでいます。開業15年を超えました。
仕事が忙しくて時間が取れない場合、高齢のため役所に何度も行くのが大変な場合、遠方の相続人がいて書類のやり取りが大変な場合など、司法書士に任せることでスムーズに解決できる可能性が高いです。当てはまる方は、経験豊富な当事務所にご相談

>>>相続登記について、詳しく知りたい方は<<<

7月 22 2016

相続手続は、自分で出来る?司法書士に依頼する?

相続手続は、そもそも自分で出来るのでしょうか?
はい、自分で出来ます。
やろうと思えば。
では、なぜ司法書士に依頼する人がいるのでしょう。

当事務所が各種の相続手続をさせていただくのは、相続手続というものが、

    多くの専門知識が必要となる
    複雑で非常に手間がかかる
    失敗したらやり直しがきかない場合がある

からです。

自分の時間を大切にしたい方や、取り返しのつかない失敗は絶対に避けたいという方は、プロに任せたほうが無難ですね。
当事務所の専門知識と経験をご活用いただくことで、少しでも相続人の皆さまの負担を軽減できればという思っています。

自分でする 対 専門家に依頼

相続手続をご自身で行うということは、具体的にどういうことをするのでしょう。
まず相続に関して様々な勉強をして正確な知識を取得しなければなりません。
更に平日に仕事を休んで役所や金融機関等の窓口へ何度も行くことになります。
他の相続人全員から署名・捺印や印鑑証明書を取り付ける必要があります。
そして、失敗しないように慎重に手続きを進めなくてはなりません。

次に、実際に、相続人の方がご自身で行った場合と、当事務所にご依頼頂いた場合とで、どれだけ相続人の皆さまの負担が変わってくるかを具体的にご説明したいと思います。

相続人の方がご自身で行う場合

今回は、戸籍収集から相続関係説明図の作成までを見て行きましょう。

相続が開始した場合に、必要になる書類

    戸籍謄本
    除籍謄本
    改製原戸籍謄本

などの戸籍関係書類です。

遺産分割協議を行う前提として、法定相続人を確定させなければなりません。
そのために、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を取得する必要があります。

また、他にも添付書類として戸籍関係書類が必要となる場合があります。
相続放棄申述手続や遺言書検認申立といった家庭裁判所での各種申立手続を行う場合や、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の名義変更を行う場合です。
覚えておかれると良いでしょう。

戸籍関係書類を収集する流れ

  1. 被相続人の本籍地の役所から戸籍謄本の取得
  2. 被相続人の戸籍関係書類を収集する場合、死亡時の戸籍から遡って取得していくことが一般的です。
    まず、被相続人死亡時の本籍地の役所に戸籍の請求をします。

  3. 被相続人の戸籍をチェックしながら、出生から死亡までの戸籍をすべて取得
  4. 自分でやろうとして、挫折しやすい最初のポイントは、ここです。
    取得した戸籍を読みながら、死亡時から出生時までの戸籍をすべて収集していきます。
    戸籍を読み解くためには、相続に関する法律知識が必要になってきます。

    戸籍を収集していくと、最終的には5~8通程度の戸籍が必要となることが一般的です。必要な戸籍が1通のみである場合はほとんどありません。
    出生時は親の戸籍に入りますが、婚姻時には新たに戸籍が作成されますので、それだけでも必要な戸籍は2通となります。

    また、戸籍は平成6年に紙形式での保存から電子データでの保存が認められたため、各自治体において、順次戸籍データの電子化が進められました。
    よって、平成6年以前に生まれている方であれば、ほぼ確実に、電子データの「現在戸籍」と改正前の紙で作られた「改製原戸籍(古い戸籍)」が存在しています。

    更に、昭和32~40年の間にも戸籍様式の変更が行われていますので、被相続人の方がご高齢であればあるほど、存在する戸籍は増えていきます。

    出生時から死亡時までの一連の戸籍を取得するということは、上記のように改正された戸籍も含めて全て取得しなくてはいけないということです。

    どの戸籍が必要かを把握するだけでも知識がないと大変です。

    また、古い戸籍なると、手書きで書かれており、始めて見る人にとっては、まるで古文書のように読みにくいものとなっています。
    これを一つ一つ読み解いていくのは非常に困難な作業となります。

    更に、出生時に戦前の親の戸籍に入っていた場合、戦前の戸籍を取得することになります。戦前は家族法が現在とは異なり、「戸主制度」に基づいて戸籍が編成されていますので、新戸籍が作られるのは婚姻では無く家督相続が起こった時になります。
    従って、戦前の戸籍を読み解く為には旧家族法の知識が必要です。

  5. 本籍地が移転していた場合、全ての役所から戸籍謄本を取得
  6. 自分でやろうとして、挫折するポイントの2つ目がこれです。

    被相続人が、婚姻により、居住地を変えていた場合や、引越しをした際には、市区町村をまたいで本籍地が移動している場合も少なくありません。
    その場合には、出生まで遡ってそれぞれの役所から戸籍を取得する必要があります。

    また、最近では、市町村合併等により市区町村名が変更になっている場合もあり、どの役所に請求をすればいいのかが分かりにくくなっていることもあります。
    郵送で請求手続が行えるとはいえ、この作業を複数回繰り返すことは非常に手間がかかります。

  7. 法定相続人を確定する
  8. 実は、難しい、法定相続人の確定。
    ここで挫折する人もいます。
    そもそも、何のために戸籍がたくさん必要になるのかというと、目的は1つです。
    法定相続人を確定することです。
    法定相続人を全員確定するのに必要な戸籍を全部集めなければなりません。
    戸籍関係書類の収集において一番難しいのが、この相続人の判断
    です。
    どのような場合に誰が法定相続人となるのかという知識が必要となります。
    もし、法定相続人の抜け漏れがあった場合は、相続手続完了後でも、一からやり直さなければいけません。
    兄弟姉妹が相続人である場合、また、「代襲相続」や「数次相続」が発生している場合には、被相続人以外の複数の方の出生から死亡までの戸籍を収集する必要があります。
    こうなると、戸籍の量が膨大になります。
    全て集めると、厚さ数センチになります。

  9. 法定相続人全員の戸籍と必要書類の収集
  10. ここまでで、ようやく相続人が確定しました。
    さて、ここから、もうひと仕事あります。

    相続人が確定した段階で相続人全員の現在戸籍を取得する必要があるのです。
    また、被相続人や相続人の住所を確認するための書類として、被相続人と相続人の戸籍の附票や住民票を取得する必要があります。

    この附票というのが、わかりにくいですね。
    戸籍謄本からは住所の移動までは分かりませんので、それを補完するために「戸籍の附票」や「住民票(本籍地入り)」といった書類が必要になるのです。

  11. 相続関係説明図の作成
  12. 相続関係説明図の作成は、上記の戸籍収集に付随する業務です。
    相続関係説明図を作成することで、不動産の名義変更(相続登記)を行う際に戸籍の原本を還付してもらえるといったメリットがあります。
    相続関係説明図を作成する場合には、必ず記載しなくてはならない事項等が決められています。
    相続関係が複雑になった場合は特にですが、慣れていないとレイアウトだけでも、時間と労力がかかります。

当事務所にご依頼頂いた場合

最低限、被相続人の氏名と死亡時の住所をお知らせ頂くことで、必要となるすべての戸籍関係書類を収集させていただきます。
((尚、被相続人の最後の本籍や被相続人の子・親・兄弟姉妹に関する情報(氏名・住所・本籍等)についてもお知らせいただければ、より短期間でスムーズに取得できます。))

また、相続登記に使用することができる要件を満たした相続関係説明図を作成させていただきます。

相続関係説明図には、作成者として司法書士の氏名及び印鑑を押させていただきますので、よりご安心いただけるものになるかと思います。

(次回へ続く)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

当事務所は相続による各種手続に早くから積極的に取り組んでいます。開業15年を超えました。
仕事が忙しくて時間が取れない場合、高齢のため役所に何度も行くのが大変な場合、遠方の相続人がいて書類のやり取りが大変な場合など、司法書士に任せることでスムーズに解決できる可能性が高いです。
当てはまる方は、経験豊富な当事務所にご相談ください。

>>>遺産整理について、詳しく知りたい方は<<<

2月 29 2016

後見制度支援信託の専門職への報酬(成年後見⑧)

成年後見人に専門職がついた場合、報酬が発生します。
専門職はプロの法律家ですから、法律上の手続きである以上、報酬が発生するのは普通のことです。
けれど、親族の立場からすると、気になる部分でしょう。
今回は、後見制度支援信託の報酬について、ご説明しましょう。

報酬額の決定と、具体的な報酬額

まず、重要な点ですが、報酬の額は家庭裁判所が決定します。
専門職には額についての決定権はありません。
従って、もし、報酬の額に不満があるならば、家庭裁判所に言うということになります。
(専門職に、どうか不満を言わないでくださいね。)

では、報酬の額は、どの程度なのでしょうか。
これは私の経験で申し上げるしかありません。
後見制度支援信託の場合、だいたい15万円から20万円の間ぐらいで決定されることが多いようです。
(名古屋家裁の場合です。他の裁判所は異なるかもしれません。)

司法書士の側から、この報酬額を見た場合、どのような感想があるかと言うと、正直、「安い」と感じている人が大半だと思います。
逆に親族は「そんなに高い金額を支払うのか」と感じる人も多いようです。

高い?安い? 専門職の後見支援信託報酬

司法書士や弁護士にとっては、後見支援信託手続きの報酬は、安いと感じている人が実は多いのです。なぜでしょう。
その理由は、いくつか挙げられます。

  1. ほとんどの事務処理を事務員に任せることが出来ない
  2. 例えば、金融機関への後見人届出などは、専門職本人が行くことが義務付けられています。信託契約も同様です。
    つまり専門職の負担が他の仕事に比べて大きいのです。
    銀行以外にも専門職が直接どこかへ出向くことも珍しくありません。
    それだけ、専門職の時間を拘束していることになるのです。

  3. 責任が大きい
  4. 高額の財産を預かる訳ですから、司法書士も細心の注意を払う必要があります。
    一般の仕事なら、財産が大きくなれば、報酬も高くなるものですが、支援信託の場合は、預かる財産の額に関係なく報酬額は、ほぼ一定です。
    これが、「報酬が安い」と感じる理由の2つ目です。

  5. 通常の仕事以外の仕事をしても、ほとんど報酬額に反映されない
  6. 例えば、私の経験ですと、相続の手続をしたり、遺産分割後の財産の分配をしたり、確定申告をしたり、未払いの永代供養料の減額交渉をして、遠方の寺院まで支払いに行ったりしたことがありましたが、報酬額はほとんど変わりませんでした。

このような実情を知らない親族の方は、「専門職の報酬は高いんじゃないか」と考えたりしがちだと思います。
「一般的な他の手続きの報酬と比べたら決して高くない、むしろ安い」という事実は分かって頂けたらと思います。
(実際に、家庭裁判所に対して報酬額の引き上げを望む声は、司法書士の中にも結構あります)

>>>成年後見について、もっと詳しく知りたい方は<<<

2月 26 2016

後見制度支援信託における、家庭裁判所の指示書(成年後見⑦)

後見制度支援信託の場合、信託する金額が決定したら、信託銀行に振り込みます。
その際、家庭裁判所の指示書が必要になります。
(通常の民事信託では不要です。)

信託する金額はどのように決まるのか

まず、司法書士などの専門職が、本人予算収支表を精査して作成します。
そのうえで、適切だと考える信託金額を報告書に書いて家裁に提出します。

しばらくすると、報告書の金額を家裁が妥当と考えれば、指示書が発行されます。
これで、信託する金額が決定します。

しかし、家裁が金額の訂正を求めてくることもあります。
どのようなときに、家裁が訂正を求めてくるのでしょうか。

家裁の信託金額訂正事例

名古屋家裁の基準では、
「手元に200万から300万の現預金を残して、他は全て信託せよ」
となっています。
この基準に従えば、現預金額が1,100万円になった場合、信託金額は900万円ということになります。
手元に200万円残すと900万円ですよね。

従って、私は900万円の信託金で家裁に報告しました。
900万円ですと、三菱UFJ信託や三井住友信託といった手数料の安い信託銀行は選択できません。
しかし、家裁が基準を設けている以上、仕方がないと判断した訳です。

ところが、家裁は「信託金額を1000万円に変更して、手数料の安い信託銀行で再検討」と言ってきたのです。
もちろん、手数料は安いに越したことはありません。
ただ、親族後見人の手元に残る金額が100万円に減ってしまいます。
これでは、万が一のときの出費を考えると、親族後見人は少々不安になります。
家裁に電話して、「基準とは異なりますが、いいんですか」と聞きました。
すると、「手数料が安くなるなら構わない」という回答でした。

親族後見人の万が一の支出に備える金額をある程度確保しておくのか、それとも手数料を安くして、被成年後見人の財産を守るのかの選択です。
家裁は、被成年後見人の財産を守る立場ですから、当然こうなるわけです。
こういうところが、もう少し、融通が利いて欲しいですね。
あるいは、全ての信託銀行が、財産が1000万円以下でも、信託の手数料を無料にしてくれれば、問題ないのですが。
それぞれ、事情があるのでしょう。

申込みから信託手続き終了までの流れ

  1. 家裁から指示書が送付されたら、原本を添付して信託銀行に申し込みをします。
  2. 申し込みの際には、後見登記事項証明書の原本も必要になります。
    そして、ここが肝心な部分ですが、信託の申込は
    「家裁の指示書が交付されてから3週間以内にする必要がある」のです。
    もし、3週間を超えてしまったら、再び家裁の指示書をもらうところから始めなければなりません。
    このあたりが、役所っぽいですよね。

    従って、申込の手続に手間取っている暇はありません。
    信託銀行の中には、「家裁の指示書が交付された後でないと、申込書類の送付を受け付けない」というところもあります。
    そうなると結構、タイトなスケジュールです。
    できるだけ、早く正確に進めていく必要があります。
    だからこそ、信託に際して専門職が選任されているのだろうと私は思っています。

  3. 信託の申込が済み、信託金の入金が済んだら、信託銀行から信託契約書が送られてきます。
  4. (契約書が2通送られてきて、両方に署名・押印して送り返すと、1通返送されてきます)
    これで信託手続は終了になります。

  5. 最後に、終了報告を家裁に提出します。
  6. (同時に後見人辞任の申立・報酬付与の申立を行います)

では、次回は司法書士の報酬についての、お話をしましょう

>>>成年後見について、もっと詳しく知りたい方は<<<

2月 15 2016

後見制度支援信託の追加信託って何?(成年後見⑥)

後見制度支援信託の制度で、ほとんどの被成年後見人の財産を信託銀行に預けました。
何年か経過して、家庭裁判所から、「追加で信託するように」との指示がありました。
一体、どういうことなのでしょう。

追加信託は、以下の二つの場合に発生します。

  1. 本人予算収支表が黒字の場合
  2. 収支が黒字の場合です。
    収支が黒字ということは、財産が毎月、少しずつであっても、増えていくことになります。
    そこで家裁は、黒字額が増えていって、手元財産が一定額を超えた場合は、追加信託を求めてきます。
    そもそも、親族後見人の手元に残す財産は、一定額を超えないようにすることが、家庭裁判所の基本方針です。
    通常手元に残る財産は、万が一の状況を考えての200~300万円程度になることが多いです。
    この金額を大きく上回ってきたら、追加信託を求められる可能性があるでしょう。
    一定額を超えたかどうかは、毎年1回の定期報告の時しか家裁は分かりませんので、追加信託を指示されるのは、その時になります。

  3. 生命保険の満期や不動産の売却などで一時的に財産が増えた場合
  4. 生命保険の満期は数百万という金額が増えることもありますよね。
    不動産の売却なら、千万円単位になることも多いです。
    両方とも手元財産の増加になりますので、家裁が追加信託を求めてきます。
    特に不動産の売却などは家裁の許可が必要なので、すぐに追加信託を指示される可能性があります。

家裁としては、被成年後見人の財産が増えた場合、きちんと管理し保護しなければと考えているのでしょう。

次回は家裁の指示書について説明しましょう。

>>>成年後見について、もっと詳しく知りたい方は<<<

« Prev - Next »