10月
22
2012
今までは比較的、安定していたアコムの過払金の支払いでしたが、ついに「アコムよ、お前もか!」という展開になってきました。
最近では、空白期間の無い取引で、訴訟により請求しているケースでさえも、過払金元金の7割くらいの和解金額を提示するようになっています。これは単純に資金繰りの悪化と考えるしかないように私は思います。
何故なら、空白期間の無い取引である以上、主だった争点は無いわけで、少なくとも元金部分に関しては、アコムが訴訟で勝てる見込みは、ほとんど無いのです。既に訴訟に持ち込まれている以上、悪あがきをしても判決では勝てないでしょう。それでも元金カットを要求してくるということは、背に腹は代えられない事情があると考えるのが自然でしょう。
しかし、これでアコムから元金も回収できないと思うのは早合点でしょう。とにかく、訴訟ではダメもとで抵抗して相手に圧力をかけて、ひょっとしたら急いでいる人なら減額に応じてくれるかもしれないという作戦である可能性も高いからです。
特に急いでいない人なら、じっくりと時間をかけて判決で勝っていけば、アコムは支払う可能性が高いのではないかと個人的には思います。何故なら、やはりバックに大手銀行がついているからです。ただ、その大手銀行からも、「簡単に支払うな。少しは抵抗しろ。」という指令が出ている可能性もあります。
もはや、割と素直に元金を支払ってくる消費者金融は、レイク(新生フィナンシャル)くらいになってしまいました。クレジットカードも最近は、分断を主張してくるようになっています。まさに過払金を取り巻く情勢は厳しくなりつつあるようです。
9月
24
2012
過払金返還請求のページの上部に「最近の業者の状況」というアイコンがあるのを、ご存知でしょうか。各業者別に当事務所の経験に基づいて過払金返還請求をした場合の一般的な対応を書いています。
しかし最近では、各業者の経営状態も頻繁に変化し、それに伴って過払金の支払態度も変わっていきますので、ある程度の期間で、このページは更新する必要があります。
これをふまえて、このページの冒頭に更新日付を記載しています。いつ頃に更新したのかを閲覧する人が分かりやすくする為です。
本日、「最近の業者の状況」は更新されましたので、報告いたします。
このホームページを訪れた人の参考になれば幸いです。
9月
11
2012
株式会社ギルドは変化の激しい消費者金融業界においても、かなり目まぐるしく変化した業者の一つでしょう。ここで、その変遷を整理してみます。
もともとは、ハッピークレジット株式会社、株式会社信和(スマイル)、山陽信販株式会社の3社が合併したのが始まりです。それぞれ地盤にしていたのが、ハッピーは関西、信和は中部、山陽は中国と分かれていたので、合併しても競合することが無く有利に働いたということがあります。
合併してできたのがトライト株式会社です。この会社はアイフルの子会社でした。トライト時代は過払金の支払いも良かったのは記憶に新しいところです。
その後、親会社のアイフルの経営が悪化し始めたので、アイフルが子会社を売却するようになり、トライトも例外ではありませんでした。結局、アイフルの方針でトライトはネオラインキャピタルに譲渡されることになりました。この時に社名を変更し株式会社ヴァラモスになりました。
しかし、消費者金融の経営悪化の波はネオラインキャピタルにも及び、再び株式を譲渡されることになります。今ではネオライングループとの資本関係は無くなり、この時に社名が株式会社ギルドに変更され現在に至っています。
アイフルやネオライングループから離れた結果、完全に資金力が無くなったようで、ギルドの過払金の支払いは悪化の一途をたどっています。もはや訴訟で勝訴判決を取っても1割以下の支払いを強要されます。
しかし、ヴァラモス時代から、強制執行をすると満額支払ってきたことがある会社です。ギルドになって、より厳しくなりましたが、強制執行の後に財産開示請求まですると満額支払うことがあるという情報もあります。ヴァラモス時代のこともありますので、試してみる価値はあるかもしれません。
8月
07
2012
不動産担保切替とは、取引の途中で無担保ローンから不動産担保ローンに切り替えることを言います。通常は、取引の最初の頃は金額が低い為、無担保ローンで始まって、だんだんと信用をつけてきたところで徐々に限度額が上がっていき、業者から「不動産を担保につけてくれれば、もっと大きな金額が貸せますよ」とささやかれて、不動産担保に切り替わるというケースが多いと思います。
私は数年前に、珍しいケースだと思いますが、この逆のパターンの依頼を受けたことがあります。最初、不動産担保で始まって、そのうち返済が苦しくなったところで不動産を売却して、でも住宅ローンを先に支払ったら消費者金融の借金は少し残ってしまって、その残金も含めた無担保ローンを組んで、その後も取引を続けたというものです。
この頃は、まだ不動産担保切替のケースは、あまり話題になっていなくて、借り換え契約なんだから一連に決まっているだろうと考えて訴訟を起こしたら、何と第一審では負けてしまいました。
その後、控訴して第二審では、こちらの有利に裁判が進み、ほとんど勝訴に近い金額で和解が結ばれたので本人は喜んでいましたが、私としては第一審の負け判決が後味の悪い事件として記憶されています。
その後、不動産担保切替のケースは過払金返還訴訟の全国的な問題としてクローズアップされてきて、裁判の結果も結構割れています。ようするに必ず勝てるというケースではないということです。
私の考えでは、切り替わる時に全く期間が空いていないことや、前の取引の残債務を、新たな借入金で充当していることに注目すれば、当然に一連計算になるように思えますが、一部の裁判官の考えは違うようです。
現在、最高裁判所で、この問題が争われていますが、どうも雲行きが怪しいようです。最高裁判所は、別に法律で決められている訳ではないのですが、習慣的なルールがあって、弁論が開かれるのは高裁判決をひっくり返す時が多いという特徴があります。(あくまで習慣ですから、絶対ではありません)
そして、今回、高裁判決では債務者側が勝っているケース(取引を一連だと認めた)が最高裁に上がっていて、何と弁論が開かれているのです。習慣的ルールに従えば、最高裁は消費者金融側を勝たせる可能性が高くなっていることになります。
不動産担保切替の事案は、取引額が大きいため、過払金も高額になりがちです。従って、これで債務者不利の最高裁判決が出れば全国的に大きな影響があるでしょう。判決結果は9月に出ると聞いていますので注目です。
8月
06
2012
事故情報(ブラックリスト)のルールが変更になって、過払金が発生している場合は過払金返還請求をしても事故情報に掲載されなくなって、しばらく経ちます。以前よりは過払金請求が、やり安くなったのですが、まだ一つ疑問が残っています。
それは、現在使用中のクレジットカードの過払金請求をする場合、例えブラックリストに掲載されなくても、その過払金請求をしたカード自体は使い続けられるのか、という問題です。
一見、「さすがに請求したカードを今までどおり使うのは無理だろう」と思えます。私も最初は、そう考えていました。しかし、直接、カード会社(具体的にはイオンカードです)に問い合わせたところ、次のような答えが返ってきました。
イオンは、「過払金請求を受けた場合、そのカードのキャッシング機能は使用停止になりますが、ショッピング機能は今までどおり使用できます」と回答してくれました。ようするに、カードは持ち続けられる訳です。
もちろん、全てのクレジット会社が同じ取り扱いをしているとは限りません。従って、請求する前に確認するのは重要でしょう。しかし、イオンがOKだということは、他のクレジットに対しても希望は持てる訳です。少なくとも、確認する前に、あきらめてしまうのは判断が早すぎると思います。
7月
18
2012
株式会社ギルド(旧ヴァラモス)の控訴審判決が最近、出ました。結果は全面勝訴でした。やれやれというのが正直な感想です。
ギルドは旧ヴァラモスが最近、商号変更になったものですが、1審で勝訴判決を取っても全く支払う素振りを見せず控訴してきました。(控訴とは、第1審の判決が気に入らなかった場合に、もう一度、上の裁判所で審理をやり直してもらうことです。今回の場合、簡易裁判所が1審だったので、控訴は地方裁判所で行われます)
以前、ヴァラモスの時代は控訴などされたことが無かったのですが、よほど経営が苦しいのでしょう。まさに時間稼ぎとしか思えません。控訴審で争点になったのは、何と過払金の金額ではなく、実際に支払っていたのが依頼人の姉だったので、依頼人ではなくて姉に支払うべきだというものでした。(こうなると、まさに嫌がらせ以外の何物でもないと言えます。何しろ過払金は満額認めると言ってるのですから)
しかし、依頼人が、確かに姉から受け取ったという証拠を出せと主張したら、電話の通話記録を出してきて、依頼人が「姉が支払う」と言ったという記録を出して証拠だと主張してきました。しかし、その記録には、途中で支払いが止まった時に、姉が「妹には請求しないでくれ」と言ったところ、旧ヴァラモスは、「あんたは関係ない。契約者は妹さんだから、妹に請求する」と言っていたことまで記載されていました。これはヴァラモスには予定外だったでしょう。(ヴァラモス自身が妹が契約者だと認めていたことになりますから)
最終的には勝訴判決で、「過払金は契約者である妹に支払え」という結果でした。その理由は、「1審でヴァラモスは妹からの請求であることを争っていなかったので、これが自白に当たるというものでした。そして、その自白が錯誤に陥ったものとは言えない。何故なら、全ての返済が姉からのものであったのかが、ヴァラモス自身も、はっきりとは証明できないから」と書かれていました。ちょっと私の書いた書面の主張とは違うところが理由になっていましたが、まあ勝ったのだから、良しとしましょう。
しかし、これからがまた大変です。ギルド(旧ヴァラモス)が素直に支払ってくるとは、とても思えません。さて、いくら回収できるか、今から頭が痛いです。
5月
07
2012
丸和商事の配当金の支払いが4月下旬にありました。これで丸和商事の民事再生が一通り終了したことになります。
あまりにも低い配当率に納得できない人も多いと思いますが(私も、その一人です)、一応、裁判所が決定したことなので従わざるを得ません。
同じ静岡県の旧クレディアと比較すると余りの配当率の違いに唖然としてしまいます。今。思えば旧クレディアは結構、良心的だったと思います。
ところが、最近、フロックス(旧クレディア)の支払が急速に悪くなってきています。民事再生後に発生した過払金は原則、満額、支払わなければならないのですが、かなりの減額を要求してくることが多くなったのです。
これも丸和商事の、極端に低い配当率の影響ではないかと疑わしくなります。フロックスからしてみれば、「何で同じ民事再生をやった会社なのに、あんなに配当率が違うんだ。真面目に支払っているのが馬鹿馬鹿しい」となるのは容易に想像できます。
まさしく私が恐れていたのが、他の業者のこういう態度なので、これ以上、広まらないように願いたいです。
この連載を止める為にも、低い配当率を発表した会社は再建を認めるべきではありません。これからは、皆さん、反対に投票しましょう。
4月
17
2012
このブログでも何度か取り上げていますが、過払金返還請求には時効があります。具体的には完済してから10年経過すると請求が法的に認められなくなってしまいます。
それなら、現在、残高がある状態で長期間の取引がある場合は、時効の問題は生じないだろうと思ったら、大間違いなのです。
例えば、以下のような取引の場合(決して、珍しくありません)、残高のある長期間の取引でも時効の問題が生じてしまいます。
では、具体的に紹介してみましょう。
今は平成24年4月ですから、平成4年から平成14年3月まで取引をして一旦、完済しました。完済は店頭に出向いて行い、その時、契約書も返還されて、カードも店に返却したとします。
その後、5年ほど経った平成19年に再び契約して新たにカードも発行して再び取引を始めました。そして、現在、取引が継続していて残高は約50万円あります。この人が司法書士事務所に相談に来たとします。
この場合、本人の意識としては全体の取引期間は10年以上なので、きっと過払いになっているに違いないと思っていることでしょう。ところが、過払金の時効が大いに影響してしまうのです。
まず、契約書の返還やカードの返却、取引を止めていた期間の長さから言って、前半の取引と後半の取引は分断されていると判断される可能性が極めて高いでしょう。
そうなると、前半の取引の完済は平成14年3月ですから、相談に来た時には1ヵ月前に時効が完成していて(時効完成は平成24年3月です)、本人にとって長期間の取引だったはずの前半部分の取引は、丸ごと時効にかかって請求できなくなってしまいます。
すると残るのは、後半部分の取引だけになり、後半の取引期間は5年しかありませんから、残高が残ってしまう可能性が非常に高くなります。
結果として、このケースの場合、あと1ヶ月、早く相談に来ていたら過払金が請求できたのに、わずか1か月の差で過払金どころか残高を支払わなければならなくなった、などということが起こる訳です。(現実に似たような事例で、相談があります。もちろん、ぎりぎり間に合ってセーフだった人の相談もあります)
従って、取引の途中で完済して、その後、しばらく取引の無い空白期間のある人は、完済した時期から10年が経過していないか良く思い出した方が良いでしょう。
ぎりぎりの時期で微妙だという人は、一度、業者に連絡して自分の取引履歴を請求して取引を確認してみることを、おすすめします。(取引履歴の請求は業者の法的義務になっていますので、基本的に業者は断ることが出来ません。請求にあたって理由も不要とされていますから、聞かれても「確認したいから」で問題ありません)
それで、もし、途中完済の時期から10年がせまっていたら、急いで専門家に相談した方が良いでしょう。
3月
19
2012
ヴァラモス(旧トライト)の対応に変化があったようです。
ヴァラモスは以前は、判決を取っても支払わず、和解条件は10%や5%などの到底、和解できない非常に、やっかいな業者でした。
ところが以前に、和解を徹底して拒否した後、判決を取得した後で電話がかかってきて、やはり同じ和解条件しか言わないので、「それなら強制執行の準備をします」と言って電話を切ったら、何とそれから1週間も経たないうちに直接、本人の元に郵便為替で判決金額満額を郵送してきたという経緯がありました。(依頼人がとても喜んだのは言うまでもありません)
いずれにしても、判決を取っても積極的には支払わない業者であることには変わりは無く、どうせ払うつもりが無いので判決も放っておくというのがヴァラモスの方針だったと思います。
しかし、どうやらこの方針が変わったようなのです。(ヴァラモスがネオライングループから見放されたのが原因ではないかと思われます)
具体的には、判決を取得した後、和解の電話が一切かからずに、いきなり控訴してきました。いくらなんでも和解の打診くらいは普通、控訴の前にはあるものです。非常に驚きました。
それにしても、どう考えてもヴァラモスに勝ち目のある控訴とは思えない内容なのです。時間かせぎくらいしか意味の無い行為だと思っています。それにしても、どうせ支払わないなら、控訴など費用の無駄のような気がします。
唯一、考えられる嫌なシナリオは、倒産のための時間稼ぎです。倒産前に強制執行されるのが嫌なのかなと想像しています。
できれば上記のシナリオは外れて欲しいと祈っていますが、果たして、どうでしょうか。
3月
14
2012
最近、相談にきた方に、「まだ残債のあるクレジットの取引で、記憶では10年くらい取引していると思うんだけど過払請求をしてもらえないか」という依頼がありました。
私は、この人に「まだ残債が残っている以上、可能性は高いですけど必ず過払いになっているとは限りません。そもそも取引期間の記憶が違っているかもしれませんし、カードは持っていてもショッピングだけでキャッシングは使っていなかった期間があるかもしれません。もし、過払いにならなかったらブラックリスト(事故情報)に登録されてしまいますけど、それでも、よろしいですか。」と尋ねたところ、この人は、「ブラックリストって何ですか」と聞き返してきました。
かなりポピュラーになってきたなと思っている債務整理の専門用語ですが、今でも知らない人は結構いるものです。やはり法律専門家は、このような相談者の利害にかかわるような情報は、きっちり提供しなくてはいけません。
ブラックリストについて詳しく説明すると、この人はびっくりして、「テレビのコマーシャルとか見ていたら、もっと簡単に出来るのかと思ってました。」と答えたのです。
他にも、このような人は、きっと沢山いると思います。テレビコマーシャルや地下鉄の吊り広告では、いかにも何のリスクも無く過払請求が出来るように勘違いしてしまう人がいるということが良く分かった瞬間でした。
結果的に、この人は一度、持ち帰って検討することになりました。今までリスクがあることを知らなかった訳ですから、ある意味、当然でしょう。
コマーシャルなどを流している事務所は、他の広告媒体とは比べ物にならないくらい大量に人の目にふれる訳ですから、その分、他の広告よりも責任も重くなると考えるべきでしょう。
ノーリスクで過払請求が出来るような誤解を生むような表現は、出来れば改善して欲しいものです。(ちなみに完済して債務が無い状態で過払請求をする場合は、ブラックリストには載りません。この場合はノーリスクと言えます。)